最近よく耳にする「抗酸化作用」。実は、体の内側から健康や美しさを支える大切な働きです。日々の食事や生活習慣を少し意識するだけで、抗酸化力を高めることができます。 本記事では、「抗酸化作用」の基本から、積極的に取り入れたい食べ物や習慣までをわかりやすく解説します。毎日の積み重ねで、内側から健やかさと若々しさを保ち、“サビない体づくり”をはじめてみましょう。
活性酸素から私たちの健康を守る「抗酸化作用」 「抗酸化作用」とは、体の中で増えすぎた「活性酸素」が細胞を傷つけるのを防ぐことを指します。その結果、健康や美肌を保つのに役立ちます。 「活性酸素」はウイルスと戦うなど、免疫機能にも関わりのあることが知られている一方で、増えすぎると体に悪影響を与えます*1。 「活性酸素」が増える原因は、偏った食生活、過度な飲酒や喫煙、ストレス、環境汚染など様々です*2。 毎日作られる「活性酸素」を抑えるために、ビタミンAやビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化物質*2を多く含む食品を積極的に摂ることがおすすめです。
「抗酸化力」が低下すると様々なリスクが… 体内の抗酸化力が低下すると、活性酸素によるダメージを受けやすくなり、病気の一因になる可能性があります*1。 たとえば、動脈硬化や心疾患などの生活習慣病にかかりやすくなるなどの影響を与えることもあります。さらに活性酸素は、がんとの関連も指摘されています*1。美容の面では、「活性酸素」が肌の細胞を傷つけシワやシミの一因に。特に紫外線を浴びると活性酸素が生成され、肌のハリや弾力をつくるコラーゲンがダメージを受けてしまいます*3。また、活性酸素の影響で色素「メラニン」が過剰生成され、黒色化するためシミが目立つようになります*3*4。
抗酸化作用のある栄養素とおすすめの食べ物 こうした「活性酸素」によるダメージは、「酸化」と呼ばれ、老化の一因となると考えられています。この状態は、体がサビていくことにたとえられ、「体のサビ」と表現されることもあります。酸化の影響をやわらげるために大切なのが、抗酸化作用を持つ抗酸化物質を日常的に取り入れることです。 抗酸化物質にはさまざまな種類があり、それぞれ働きや特徴が異なります。特定の栄養素だけに偏るのではなく、バランスよく摂取することが、効率的なケアにつながります。 また、栄養素は調理方法によって吸収率が変わることもあります。加熱や油との組み合わせによって吸収が高まるものもあれば、水に溶けやすく調理中に失われやすいものもあります。ここでは、代表的な抗酸化物質と、その働きやおすすめの食べ物、効果的な摂り方について解説します。 ■ビタミンA(β-カロテン)*5 ビタミンAは、肌や粘膜の健康を保つ働きに加え、活性酸素の発生を抑えたり減らしたりする抗酸化作用を持つ栄養素です。特に、緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンA(レチノール)に変換される「プロビタミンA」として働くと同時に、それ自体も強い抗酸化作用を発揮します。 β-カロテンは、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などに豊富に含まれています*6。 脂溶性のため、油と一緒に調理することで吸収率が高まるのが特徴です。例えば、油を使った炒め物やスープにすることで効率よく摂取できます。 成人(18〜75歳以上)のビタミンAの1日の推奨量は、男性で800〜900μgRAE、女性で650〜700μgRAEとされています。日々の食事の中で、無理なく取り入れていきましょう。 ■ビタミンC ビタミンCは、水溶性ビタミンのひとつで、強い抗酸化作用を持ち、活性酸素を減らす働き*5があります。また、コラーゲンの生成をサポートするため、肌のハリや健康維持にも関わる重要な栄養素です。 多く含まれる食品は、ピーマン、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類などが挙げられます*6。 ただし、ビタミンCは熱や水に弱く、加熱や長時間の水洗いによって失われやすい性質があります。そのため、生で食べられるものはそのまま食べて、加熱する場合は短時間にとどめることが効果的です。成人の推奨量は1日100mg程度*5とされています。 ■ビタミンE ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、細胞膜の脂質が酸化されるのを防ぐ働き*5があります。特に血管や細胞を守る役割があり、体内の脂質の酸化を抑える重要な栄養素の一つです。 多く含まれる食品には、アーモンドなどのナッツ類、植物油(ひまわり油・オリーブオイルなど)、アボカド、かぼちゃなどがあります*6。 ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。例えばサラダにオイルをかける、ナッツを間食に取り入れるなどで、日常的に効率よく摂取できます。成人の1日の目安量は、男性で6.5~7.5mg、女性で5.0~7.0mg*5とされています。 ヘルシーなおやつ代表の「ナッツ」特集!を見る> ■ポリフェノール*7 食品の色素成分や苦味・渋味成分であるポリフェノールは、抗酸化作用を持つことが知られています。 種類が非常に多く、それぞれに異なる特徴があります。 代表的なものとして、緑茶に含まれるカテキン、ブルーベリーのアントシアニン*8、高カカオチョコレートのカカオポリフェノール*9、大豆製品に含まれるイソフラボン*10などがあります。 ポリフェノールは体内に長くとどまらない性質があるため、一度にまとめて摂るのではなく、食事や間食の中でこまめに取り入れることがポイントです。飲み物や食材を上手に組み合わせることで、無理なく継続できます。 ■カロテノイド カロテノイドは、野菜や魚などに含まれる色素成分で、強い抗酸化作用を持つことが知られている成分*11です。体内で活性酸素を除去し、細胞のダメージを抑える働きがあります。 代表的なものに、トマトに含まれるリコピン*12、ほうれん草に含まれるルテイン*13、鮭に含まれるアスタキサンチン*14などがあります。これらは、目や皮膚の健康維持にも関わるといわれています。 カロテノイドは脂溶性の成分のため、ビタミンEと同様に、油と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。例えば、トマトをオリーブオイルと合わせて調理したり、サラダにドレッシングをかけたりする方法がおすすめです。毎日の食事にも取り入れやすいため、継続して摂取することを意識するとよいでしょう。
抗酸化作用のために見直したい生活習慣 抗酸化作用は食事だけでなく、日常の生活習慣にも深く関わっています。活性酸素は体内で自然に発生しますが、増えすぎると細胞や血管にダメージを与え、老化の一因になります。食事に加えて運動や睡眠、紫外線対策を見直し、無理なく続けられる習慣で内側から健康と若々しさを保ちましょう。 ここでは、抗酸化の観点から意識しておきたい生活習慣について、具体的に解説していきます。 ■適度な有酸素運動 適度な有酸素運動は、酸化ストレスの軽減につながる可能性があります*15。継続的な運動により、活性酸素を分解する酵素の働きが高まり、体のバランスを保ちやすくなると考えられています。 ただし、激しい運動はかえって活性酸素を増やす可能性があるため注意が必要です。無理のない範囲で、会話ができる程度の運動を継続することがポイントです。毎日の生活に取り入れやすい運動を習慣にしていきましょう。 ■質の良い睡眠を取る 睡眠に関わる「メラトニン」と呼ばれるホルモンは、抗酸化作用がある*16ことが知られています。体内の活性酸素を抑える働きがあるため、質の良い睡眠は抗酸化の観点でも重要です。 一方で、就寝前にスマートフォンやパソコン、照明に含まれる強い光を浴びると、ブルーライトの影響でメラトニンの分泌が抑えられる可能性があります。そのため、寝る前は照明を落とす、画面を見る時間を控えるなど、入眠しやすい環境を整えていきましょう。 ■紫外線対策を徹底する 紫外線を浴びると、皮膚の細胞内で活性酸素が発生しやすくなります*17。これにより、肌の老化やダメージが進みやすくなるため、日常的な紫外線対策が大切です。 外出時には日焼け止めを使用する、帽子や日傘を活用するなど、基本的な対策を徹底しましょう。また、紫外線は季節を問わず降り注いでいるため、年間を通じた継続的なケアを心がけましょう。 ■お酒・たばこを控える 過度な飲酒や喫煙も、活性酸素の発生を増やす要因*18*19といわれています。特に喫煙は、多くの有害物質とともに活性酸素を取り込むことになり、体への負担が大きくなります。 また、アルコールも分解の過程で体に負担をかけるため、適量を守ることが重要です。できるだけ控えることで、体内の酸化ストレスを軽減することにつながります。 ■ストレスをためない 強いストレスを感じると、体内で活性酸素が発生しやすくなり、体の酸化を進める一因になる可能性があります。 そのため、日常的にストレスを上手に発散することが大切です。深呼吸や軽い運動、趣味の時間を持つなど、自分に合ったリラックス方法を見つけて、心身のバランスを整えましょう。
「抗酸化作用」を意識したバランスの良い食事と生活習慣を 私たちの体の中で日々生まれる「活性酸素」。だからこそ、野菜やフルーツなどの「抗酸化作用」の高い食品を、毎日こまめに摂ることが“ウェルネスライフ”につながります。 あわせて、十分な睡眠や適度な運動、紫外線対策といった生活習慣を整えることも、抗酸化力をサポートする大切な習慣です。 食事と生活習慣の両面から「抗酸化作用」を高めて、体の内側から若々しさをキープしましょう! *1 中村成夫. 活性酸素と抗酸化物質の化学. 日医大医会誌. 2013, 9巻3号, p.164-169 *2 活性酸素 - 松戸市医師会 *3 市橋正光ほか. 皮膚のアンチエイジング. オレオサイエンス. 2018, 第18巻第3号, p.125 *4 環境省 | 紫外線による 健康影響 *5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ビタミン(脂溶性ビタミン) ビタミン(水溶性ビタミン) *6 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 *7 ポリフェノールと循環器疾患|日本循環器病予防学会 p12 *8 農林水産省 夏の食材で「涼」を感じよう<フルーツ編> *9 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」 *10 日本豆類協会「豆の主な機能性成分」 *11 カロテノイドの生体内抗酸化作用を再考する p168 *12 農林水産省「トマトまるごとまるわかり!」 *13 農研機構「ほうれんそうに含まれるルテイン定量法と日本農林規格(JAS)化」 *14 農林水産省「サケは赤身の魚ですか、白身の魚ですか。」 *15 The Effects of Aerobic Exercise on Oxidative Stress in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis Moderate exercise is an antioxidant: upregulation of antioxidant genes by training *16 Melatonin’s Impact on Antioxidative and Anti-Inflammatory Reprogramming in Homeostasis and Disease *17 紫外線による人の健康への影響 178 *18 Alcohol, Oxidative Stress, and Free Radical Damage *19 The effects of heavy smoking on oxidative stress, inflammatory biomarkers, vascular dysfunction, and hematological indices (参考文献閲覧日:2026年6月17日)