この記事の監修者 石原 新菜|医師・イシハラクリニック副院長 この記事の監修者 石原 新菜|医師・イシハラクリニック副院長 ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事、フェムテック・ジャパン理事、秋田栄養短期大学特任教授、日本内科学会会員、日本東洋医学会会員、日本温泉気候物理医学会会員。漢方薬処方を中心とする診療を行うかたわら、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。 オフィシャルサイト 冷房の効いた部屋で過ごしていると手足が冷たくなった、暑い日でも足先だけ冷えて眠れなかった、という経験はありませんか。 「冷え」は冬だけの悩みと思われがちですが、冷たい飲み物や冷房の影響、忙しい毎日の過ごし方によって、季節を問わず「冷え」で体調を崩すことがあります。そんなときに取り入れたいのが「温活」です。特別なことを始めなくても、湯船につかる、飲み物を温かいものにする、少し体を動かすなど、暮らしの中でできる工夫はたくさんあります。 この記事では、温活の意味や冷えにつながる原因、今日から無理なく始められる体の温め方、食べ物や習慣のポイントをご紹介します。ほっとひと息つく時間を大切にしながら、自分に合った温活を見つけてみましょう。
そもそも温活とは?季節を問わず続けたい理由 「温活」という言葉を耳にする機会が増えたものの、「具体的に何をすればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。まずは、温活の意味や、体を温めることがなぜ大切だと考えられているのかを見ていきましょう。 温活とは?冷えは冬だけじゃない、1年を通して体を温める習慣に 温活とは、一般的には食事や入浴、運動などを通して体を温める活動を指します。無理のない範囲で続けられる「暮らしの中で体を温める習慣」として捉えられています。 そして温活を「冬だけのもの」ではなく通年で続けたいのには、理由があります。冬なら、手足が冷たくなった時点で気づき、靴下をはくといった対策が自然にとれます。ところが暑い季節は、暑さのほうが気になるため、体が冷えていることに意識が向きにくくなりがちです。薄着のまま長時間過ごしても、素足で一日を終えても、そのときは「たいしたことではない」と流してしまいます。そうして見過ごされた小さな「冷え」の積み重ねが、あとあと体の不調につながることがあります。 【こんな習慣や体の冷えに心当たりはありませんか?】 暑い日に、冷房の効いたオフィスや電車で足元が冷える シャワーだけで済ませることが多い 夜になると手足が冷たくなり、なかなか寝つけない こうした夏の冷えによる不調を持ち越さないよう、今のうちに「温活」でリセットしましょう。 体が温まると、毎日はどう変わるのでしょう? 「体を温めましょう」とよく言われますが、そもそも温めると何が変わるのでしょうか。 体が冷えると、手足が冷たく感じたり、朝なかなか布団から出られなかったりと、毎日の暮らしの中で小さな不調を感じることがあります。体が温まると、冷たさやこわばりがほぐれ、体がリラックス状態になります。夜も眠りにつきやすくなり、「今日も気持ちよく過ごせそう」と感じられることもあるでしょう。 大きな変化ではなくても、この「なんだか過ごしやすい」「朝のスタートが軽やかになった気がする」といった過ごしやすさこそ温活のねらいです。湯船につかる、軽く動く、温かいものを飲む。そのどれもが、日々の元気を取り戻す入り口になります。
冷えはどこからくる?暮らしの中にある原因 厚着をしても手足だけ冷たい。温かい飲み物を飲んでも、30分後にはまた指先が冷えている。ひざ掛けもカイロも使っているのに、なぜか足元だけ戻らない。そんな冷えは、体質だけの問題ではないかもしれません。実は、毎日くり返している何気ない習慣が、冷えやすさにつながっていることがあります。まずは、自分に当てはまるものがないか見ていきましょう。 運動不足で冷えやすくなる 朝から夕方まで、椅子から立ったのは昼食とお手洗いのときだけ。そんな1日に心当たりがある方は、要注意かもしれません。私たちの体は、筋肉を動かすことで熱を生み出しています。そのため、筋肉量が少ないと、熱をつくる力が弱くなり、冷えを感じやすくなる傾向があるといわれています。 【こんな生活を送っていませんか?】 長時間、座ったまま過ごすことが多い エレベーターや車を使う機会が増えた 運動する習慣がない 休日も家で過ごすことが多い 特に、デスクワークが中心の方や、運動する機会が少ない方は、なかなか体を動かす時間をつくるのは難しいもの。ただ、すぐに筋肉量を増やすことは難しくても、毎日の暮らしの中で少しずつ体を動かすことが、温活の第一歩になります。 生活リズムの乱れで冷えやすくなる きちんと湯船にもつかっているのに冷えが抜けない。そんなときは、睡眠不足や忙しさが続いていないかなど生活リズムに目を向けてみましょう。 私たちの体には、自律神経の働きによって体温を調節する仕組みがあります。しかし、夜更かしや不規則な食生活などで生活リズムが乱れたり、仕事や家事の忙しさ、人間関係の悩みなどによるストレスが続いたりすると、自律神経のバランスが崩れやすくなると考えられています。バランスが崩れると、手足が冷たく感じられたり、なかなか体が温まらないと感じたりすることがあります。冷えが気になるときは、入浴などの温活に加えて、十分な睡眠や規則正しい生活を心がけ、ゆっくり休息をとることも大切です。
毎日の生活に取り入れたい6つの温め習慣 温活というと、「特別なことを続けなければいけない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、体を温める習慣は、毎日の暮らしの中に簡単に取り入れられるものばかりです。 大切なのは、無理をせず、続けやすい方法を見つけること。ここでは、今日から始めやすい6つの温活をご紹介します。 ①湯船につかる時間をつくる 忙しい日が続くと、ついシャワーだけで済ませてしまうことはありませんか?しかし、湯船にゆっくり浸かる時間をつくることは、温活の基本の一つです。 お湯に肩まで浸かると、体全体がじんわりと温まりやすくなります。熱すぎるお湯は体の負担になることもあるため、38〜40℃程度のお湯に10〜15分ほど浸かるのが目安です。 【入浴時間を心地よくする工夫】 好きな香りの入浴剤を使う 照明を少し落としてくつろぐ 湯上がりに温かい飲み物を飲む 毎日長時間入る必要はありません。まずは週に数回でも、湯船に浸かる時間をつくってみましょう。 ②ココアなど温かい飲み物で内側からポカポカに 寒い日に温かい飲み物を飲むと、ほっとした気持ちになる方も多いのではないでしょうか。 白湯やスープ、ハーブティーなどの温かい飲み物は、手軽に始めやすい温活の一つです。特に朝起きたときや、冷房の効いた部屋で過ごしたあとに取り入れると、体をいたわる時間にもなります。 また、ココアに含まれるカカオフラバノールには、皮膚の血流や指先の冷え感覚の改善が報告されています。朝の一杯や、甘いものが欲しくなる午後のひとときに、ココアを取り入れてみるのもおすすめです。 ③体を動かして「熱を生む体」へ 「運動が冷えにいいのはわかっていても、なかなか続けられない」という方も多くいるのではないでしょうか。身構えなくて大丈夫。温活で目指すのは、特別なトレーニングではなく、暮らしの中の「ついで」に体を動かすことです。 【取り入れやすい運動の例】 一駅分だけ歩いてみる エレベーターではなく階段を使う テレビを観ながらスクワットを数回行う 歯磨きのあいだにつま先立ちを数回してみる 全部やろうとしなくて大丈夫。今日はどれか一つ、思い出したときに動いてみる。その積み重ねが、少しずつ「熱を生み出しやすい体」につながっていきます。 ④1日5分のストレッチで血行を促す 長時間同じ姿勢でいると、体がこわばってしまうことがあります。そんなときは、1日5分ほどのストレッチを取り入れてみましょう。 ストレッチで体を伸ばすことは、血流を促すサポートになると考えられています。運動が苦手な方でも無理なく始められ、仕事や家事の合間にも続けやすい方法です。 おすすめのストレッチ ■ふくらはぎ伸ばし 両手を壁につき、片足を後ろへ引いてかかとを床につけたまま気持ちいいと感じる強さで 20〜30秒間伸ばします。 ■肩甲骨回し 肩に指先をのせ、10回ひじで大きく円を描くように前後へ回します。 「朝起きたとき」「お風呂上がり」「寝る前」など、毎日の習慣と組み合わせると続けやすくなります。 ⑤睡眠でリズムを整える 睡眠と自律神経は深く関わっており、寝不足が続いたり、生活リズムが乱れたりすると、心や体が休みにくい状態になります。 忙しい毎日の中では、睡眠時間を十分に確保するのが難しいこともあるでしょう。だからこそ、眠る前の過ごし方を少し見直してみることが大切です。 【ぐっすり眠るための工夫】 寝る前はスマートフォンを見る時間を減らす ぬるめのお風呂に浸かる 毎日できるだけ同じ時間に寝る 部屋の明かりを落として過ごす 心地よい眠りは、翌朝をすっきり迎えるための大切な習慣です。 ⑥腰を温めじんわりケア 冷えが気になるときは、腰まわりを温める方法もあります。 腰まわりを温めると、じんわりとした心地よさを感じる方もいるでしょう。研究では、腰を温めることで足の表面温度の変化が見られたという報告*1もあります。 【腰を温める方法】 腹巻きを使う ひざ掛けを腰までかける 蒸しタオルを当てる カイロを衣服の上から使う ただし、カイロや電気毛布などを長時間同じ場所に当て続けると、低温やけどにつながるおそれがあります。熱すぎない温度で、心地よいと感じる範囲で取り入れましょう。
温活で取り入れたい食材|体の中からじんわり温める 毎日の食事も、温活を支える大切な要素の一つです。たくさん食べる必要はありません。いつもの食事に少し加えることから始めてみましょう。 ●生姜を上手に取り入れる 寒い日は、生姜湯や生姜入りのスープでほっとひと息つくのもおすすめです。研究では、生姜を摂ることで肌の表面温度が上がったり*2、エネルギー消費量が高まったりすることが確認されています*3。冷えが気になるときに生姜がすすめられるのには、こうした理由があるのですね。 とはいえ、たくさん食べる必要はありません。毎日の食事に取り入れやすいことも、生姜のうれしいポイント。まずは普段の献立に少し加えるところから始めてみましょう。 【生姜を取り入れるアイデア】 温かいスープに加える 生姜湯にして飲む みそ汁の薬味にする 炒め物や鍋料理に使う 冷えが気になる日は、いつもの献立に生姜を少し足してみてはいかがでしょうか。 ●たんぱく質で温まりやすさを後押し 肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれるたんぱく質は、筋肉や体をつくる材料になる大切な栄養素です。 また、食べ物を消化・吸収するときにはエネルギーが使われますが、そのなかでも、たんぱく質は比較的多くの熱を生み出す栄養素として知られています。 【たんぱく質を含む身近な食品】 鶏肉や豚肉 魚介類 卵 豆腐や納豆などの大豆製品 牛乳やヨーグルト まずは朝食にゆで卵を一つ加える、みそ汁に豆腐を入れるなど、できることから始めてみてください。毎日の食事に少したんぱく質を取り入れることが、体を温める習慣づくりにつながります。
頑張らない温活で、毎日をもっと元気に 温活は、短い期間で結果を求めるものではありません。「毎日続けなければ」と気負うと、かえって負担になってしまいます。 大切なのは、自分の暮らしに合った方法を見つけること。朝に温かい飲み物を飲む、お風呂にゆっくり浸かる、寝る前に少しだけ体を伸ばす。そんな小さな積み重ねが、すこやかな毎日につながります。 まずは今日、湯船にゆっくり浸かることから始めてみませんか。自分に合った温め習慣が見つかれば、毎日の暮らしも少しずつ心地よいものへと変わっていくかもしれません。 *1 福岡県立大学看護学研究紀要「下腹部と腰部の温罨法が生体に及ぼす効果の検討」 *2 ショウガ摂取がヒト体表温に及ぼす影響 *3 生姜抽出物の経口摂取が冷え性の人のエネルギー消費等に及ぼす効果 (参考文献閲覧日:2026年9月21日)