「疲れやすい」「寝ても眠気が残る」「顔色が悪いと言われる」。そんな不調を、年齢のせいだと思っていませんか?どれかひとつでも心当たりがあるなら、鉄分不足が関係しているかもしれません。 鉄分は、特に女性に不足しがちな栄養素です。また食事量が減ったり、吸収が落ちたりすると、年代を問わず足りなくなることがあります。 この記事では、鉄分の役割や1日の必要量、鉄分を多く含む食べ物、効率よく摂るコツと続けやすいレシピを紹介します。
まずは鉄分不足かセルフチェック! 鉄分不足は体にさまざまな不調として表れることがあります。次の項目に思い当たるものがないか、まずは自分の状態をチェックしましょう。 【鉄分不足が疑われる不調|セルフチェックリスト】 以前に比べて疲れやすく、だるさが抜けない 立ちくらみやめまい、頭痛、耳鳴りがよく起こる ちょっとした動作でも動悸や息切れがする 集中が続かなくなったり、イライラしやすい 十分に睡眠をとっても、起床時や日中に眠気を感じる 爪が薄くなり、割れやすい 氷を無性に食べたくなる 当てはまる項目が多い場合や不調が長引く場合は、一度医療機関に相談してみましょう。
鉄分は酸素の供給を支え、エネルギーづくりに欠かせない働き者 鉄分は、血液や筋肉を構成する大切なミネラルです。成人の体内に約3~4gあり、その約70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在します。残りは肝臓や骨髄などに蓄えられ、必要なときに利用されます*1。 ここでは、鉄分の具体的な働きや種類、足りないときの体の変化についてお伝えします。 鉄分は酸素を運ぶヘモグロビンの材料、筋肉とエネルギーを支える 鉄分は、全身へ酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる重要な栄養素です。ほかにも、筋肉で酸素を蓄えるミオグロビンの構成成分であるほか、エネルギーを作る際に働く酵素の成分としても活躍します。もし鉄分が不足すると酸素やエネルギーが行き渡りにくくなり、疲れやだるさにつながることがあるので、しっかり鉄分を補いましょう。 【2種の鉄分】ヘム鉄と非ヘム鉄、どちらがいい? 鉄分には、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や豆類、海藻類などの植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。 【ヘム鉄|肉や魚などの動物性食品に多く含まれる】*1 体内への吸収率が高く、効率よく鉄分を補給できるのが特徴です。鉄分が不足気味の方など、しっかりと鉄分を摂りたい場面におすすめです。 【非ヘム鉄|野菜や豆類、海藻類などの植物性食品に多く含まれる】*1 ヘム鉄に比べて吸収率が低いものの、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取することで吸収率が高くなります。ベジタリアン・ヴィーガンの方をはじめ、肉や魚をあまり食べない方にとっての主な鉄分の補給源になります。野菜・大豆製品・海藻などは、毎日の食事に取り入れやすいので、日常的に鉄分を補いたい方に向いています。 もし鉄分が不足するとどうなる? 鉄分が不足すると、酸素を運ぶヘモグロビンが十分に作られなくなり、【鉄欠乏性貧血】につながることがあります。 【鉄欠乏性貧血の主な症状】*2 疲労感 倦怠感 動悸や息切れ 顔面蒼白 爪の変形 もし鉄分不足が気になる場合は、まず食事の見直しが基本です。食事からすべて摂るのが難しい場合は、鉄剤やサプリメントの使用を検討する方法もあります。ただし、過剰摂取により吐き気などの不調が出ることもあるため、必ずパッケージ記載の目安量を守りましょう。 また、貧血が疑われる場合や症状がある場合は、自己判断でサプリメントに頼らず、医療機関を受診しましょう。鉄欠乏性貧血以外の病気が原因となっていることもあるため、原因に応じた治療を受けることが大切です。
鉄分は1日あたりどれくらい摂ればいい?【年代別の目安】 鉄分不足を防ぐためには、自分に必要な摂取量の目安を知ることが大切です。ここでは、年齢や性別ごとの鉄分の推奨量を紹介します。 あなたに必要な鉄分はどれくらい?年代・性別の目安をチェック! 1日に必要な鉄分の量は、年齢や性別で異なります。とくに女性はライフステージによって変化するため、鉄分が不足していないかどうか、意識しておくことが大切です。 厚生労働省が示す推奨量を確認し、日々の食事で十分な鉄分を摂取できているかチェックしてみましょう*3。
何を食べればいい?鉄分豊富な食材を紹介! 忙しい毎日でも、いつもの食事に鉄分の多い一品を足すだけで鉄分を補えます。買い物や献立の参考になるよう、鉄分が豊富な身近な食材を種類別に紹介します。 ■ヘム鉄の多い食べ物(動物性) レバー 鉄分を補いたいとき、頼りになるのがレバーです。 【鉄分量(100g当たり)】*4 豚レバー 13.0mg 鶏レバー 9.0mg 牛レバー 4.0mg 豚レバーは特に鉄分量が多く、「疲れが抜けにくい」という日の心強い味方になります。炒め物や甘辛煮がおすすめです。 赤身肉・赤身魚 赤身肉や赤身魚もおすすめです。 【鉄分量(100g当たり)】*4 和牛もも肉(脂身なし) 2.7mg 天然クロマグロ(赤身) 1.1mg ステーキやお刺身、漬け丼など、ごちそう気分の一皿で鉄分を補えるのがうれしいですね。 貝類 あさりやしじみは、汁物にすればそのまま旨みと鉄分が摂れる頼れる食材です。 【鉄分量(100g当たり)】*4 あさり 2.2mg しじみ 8.3mg しじみも鉄分が豊富で、効率的な鉄分補給に役立ちます。缶詰や冷凍を常備しておけば、忙しい日でも一杯のみそ汁で鉄分をプラスできます。 ■非ヘム鉄の多い食べ物(植物性) 大豆製品(豆腐、納豆、高野豆腐など) 大豆製品は、植物性食品の中でも鉄分を豊富に含む食材です。特に高野豆腐がおすすめです。 【鉄分量(100g当たり)】*4 高野豆腐(凍り豆腐) 7.5mg 納豆 3.3mg 大豆製品の魅力は、鉄分だけでなく良質なたんぱく質も同時に摂取できる点です。 青菜(小松菜・ほうれん草) 毎日の副菜で鉄分を足したいなら、青菜が手軽です。 【鉄分量(100g当たり)】*4 小松菜(ゆで) 2.1mg ほうれん草(ゆで) 0.9mg ほうれん草より小松菜のほうが鉄分含有量が多く、おひたしや炒め物、みそ汁の具など、ぜひ毎日の食卓に登場させてみてください。 海藻類・乾物(ひじき・切り干し大根) 海藻類や乾物は、鉄分を摂るためにも買い置きしておきたい食材の一つです。 【鉄分量(100g当たり)】*4 ひじき(乾) 6.2mg カットわかめ(乾) 6.5mg 切り干し大根(乾) 3.1mg 乾物の「100gあたり」の数値は水分が抜けて凝縮された値で、実際に食べるのは水で戻した少量です。数値ほどの鉄分が一度に摂れるわけではありませんが、煮物やサラダ、みそ汁に加えるだけで手軽に鉄分をプラスできます。 種実類(ごま・ナッツ) ごまやナッツ類はひとつまみで手軽に鉄分を足せる、トッピングの定番です。 【鉄分量(100g当たり)】*4 ごま(いり) 9.9mg アーモンド(いり) 3.7mg サラダや和え物のトッピング、ちょっとした間食として、毎日少しずつ取り入れるのがコツ。すりごま・ねりごまにすると、鉄分やセサミンが吸収されやすくなるので、トッピングは「すって」使うのがおすすめです。 コンビニ・スーパーで買える鉄分豊富な食べ物 市販のお惣菜や缶詰も上手に活用してみましょう。 調理いらずで、動物性の鉄(肉・魚・貝)と植物性の鉄(野菜・豆)を無理なく組み合わせられます。手に取りやすい、おすすめの一品をいくつか紹介します。 鉄分が豊富な小松菜とごまのダブルで「小松菜の胡麻和え」 吸収のよいヘム鉄が手軽に摂れる「あさりご飯・あさりのみそ汁」 そのまま食べたり飲んだりしやすく非ヘム鉄を含む「枝豆や豆乳」 常備しやすく簡単に鉄分を補える頼れる一品「サバ缶」
鉄分の吸収率は、食べ方で変わる! 鉄分は摂取量だけでなく、合わせる食材でも吸収率が変わります。 鉄分には、ビタミンC・動物性たんぱく質との組み合わせがおすすめ! 鉄分のなかでも「非ヘム鉄」は、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まります*1。 【たんぱく質】 肉・魚などの動物性たんぱく質には、非ヘム鉄の吸収を助ける働きがあります。 【ビタミンC】 非ヘム鉄を吸収しやすい形に変える作用があるため、ブロッコリーやピーマン、柑橘類、いちごなどと組み合わせるのがおすすめです。 鉄分にお茶は控えるべき?鉄分vsタンニンの関係 緑茶やコーヒー、紅茶などに含まれる「タンニン」は、鉄分と結合して吸収を妨げることが知られています*2。特に鉄分不足が気になる方は、食事中や食後に緑茶やコーヒー等を大量に摂取することは避けた方がよいでしょう。食事中や食後の飲み物には、水や麦茶などタンニンをほとんど含まないものを選ぶのがおすすめです。
今夜作れる鉄分たっぷり簡単レシピ レバニラ炒め 調理時間の目安:約20〜25分程度 レバニラ炒めは、鉄分を豊富に含む豚レバーを使用した定番料理です。レバーに含まれるヘム鉄は体内への吸収率が高く、効率よく鉄分を補給できます。 【材料|約2人分】 豚レバー 150g ニラ 1束(100g) もやし 100g ごま油 大さじ1 しょうゆ 大さじ1 酒 大さじ1 オイスターソース 大さじ1 片栗粉 大さじ1 【作り方】 ① レバーは食べやすい大きさに切り、酒を振って10分ほど置き、水気を拭き取って片栗粉をまぶします。 ② ニラは5cm程度の長さに切ります。 ③ フライパンにごま油を熱し、レバーを炒めます。 ④ 火が通ったらもやしとニラを加え、さらに炒めます。 ⑤ しょうゆとオイスターソースで味付けし、全体を混ぜ合わせたら完成です。 レバーは加熱しすぎると硬くなるため、火を通しすぎないよう注意しましょう。 ほうれん草の卵炒め 調理時間の目安:約10〜15分程度 ほうれん草の卵炒めは、鉄分を含むほうれん草とたんぱく質が豊富な卵を組み合わせた栄養バランスの良い一品です。手軽に作れるため、朝食や副菜にもおすすめです。 ほうれん草には鉄とビタミンCの両方が含まれており、鉄分補給に役立つ食材です。食後に果物を取り入れて、さらにビタミンCをプラスするのもよいでしょう。 【材料|約2人分】 ほうれん草 1束(200g) 卵 2個 ごま油 大さじ1 塩 少々 こしょう 少々 【作り方】 ① ほうれん草はよく洗い、4〜5cmの長さに切ります。 ② 卵はボウルで溶きほぐします。 ③ フライパンにごま油を熱し、卵を半熟状になるまで炒めて一度取り出します。 ④ 同じフライパンでほうれん草を炒めます。 【ポイント】 さらに鉄分を効率よく摂るなら、ほうれん草を一度下茹でしてから入れるとよいでしょう。 ⑤ ほうれん草がしんなりしたら卵を戻し入れ、塩・こしょうで味を調えて完成です。
今日の一品から鉄分を意識した食事を始めてみよう 鉄分は、毎日を元気に過ごすための大切な栄養素です。今日のみそ汁にしじみを足す、ほうれん草や小松菜などの色の濃い野菜を積極的に使ってみる。そんな一歩が明日のコンディションを支えてくれます。 毎日の積み重ねが、健康維持や貧血予防につながります。まずは普段の食事に鉄分の多い食材を一品加えることから始めてみませんか? *1 厚生労働省|健康日本21アクション支援システム Webサイト *2 一般社団法人 日本鉄バイオサイエンス学会「鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂[第3版]」 *3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 *4 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 (参考文献閲覧日:2026年8月17日)