「便秘がちだから食物繊維を摂ろうと思って、毎日サラダを食べているのに、なかなか便秘が解消されない…」こんなお悩みを抱えている方はいませんか? 実はそれ、「食物繊維を摂っているつもり」で、必要な量には到達していないかもしれません!食物繊維の1日あたりの摂取目標量*1は、成人男性(18~64歳)では、20~22g以上/日、成人女性(18~64歳)では18g以上/日です。レタスなどの葉物野菜には食物繊維が多いと思われがちですが、生野菜のほとんどは水分。十分な食物繊維を摂るには、かなりの量を食べなければならないのです。 この記事では、AI食事管理アプリ『あすけん』管理栄養士・道江美貴子さんに、食物繊維を効率よく、賢く摂るための「〇✖クイズ形式」で解説していただきました。賢い摂り方を知って便通改善や生活習慣病予防に役立てましょう!
突然ですが、食物繊維の上手な摂り方〇✖クイズ! お米は炭水化物というイメージが強いですが、ご飯茶碗1杯(150g)に含まれる食物繊維は約2.3gもあります。3食分(450g)食べれば、約6.8gもの食物繊維を摂取できるのです。 食物繊維の不足は便秘を引き起こし、お腹の張りなどの不快感につながることもあります。もしダイエット中でも、極端に減らすのではなく、適量を意識して摂ることが大切です。 穀物の外皮や胚芽の部分には、食物繊維だけでなく、鉄、ナイアシン、葉酸などの、現代人に不足しがちな栄養素が豊富に含まれています。 また、これらのパンは噛み応えがあるため、噛む回数が増えて満腹感にもつながるというメリットもあります。 朝食で食物繊維を摂ると、昼食後の血糖値上昇を緩やかにする「セカンドミール効果」が期待できます。例えば、朝食で食物繊維が多い「低GI」の食品を選ぶことで、昼食後の血糖値の上昇を抑えることができるのです。 忙しくて朝食を抜いてしまった日や、朝食と昼食の間が空いてしまう場合は、ランチの30分前に食物繊維を含む野菜ジュースなどを飲んでおくのも良いでしょう。これだけでもセカンドミール効果を期待できます。 青汁は、1杯あたり(3~6g程度)に食物繊維が0.8~1.6g程度含まれており、手軽に食物繊維を補うことができます。 ただし、「青汁を飲んでいるから大丈夫」というわけではありません。さまざまな食材から食物繊維を摂ることで、ビタミン・ミネラルなどの他の栄養素もバランスよく摂れるからです。食物繊維が足りない日のサポートとして、1日1杯程度を目安に活用するのがおすすめです。 ケーキを選ぶときは、アップルパイのようにフルーツが使われているものを選ぶと、リンゴ由来の食物繊維やビタミン、ミネラルを同時に摂れるのでおすすめです。 一見ヘルシーそうなレアチーズケーキですが、生クリームやチーズ、バターなどが多く使われているものもあり、飽和脂肪酸の摂りすぎにつながることも。一方、アップルパイの飽和脂肪酸含有量は、レアチーズケーキの3分の1程度であることが多いです。
食物繊維の摂取目安量と、足りていない現実 食物繊維の1日あたりの摂取目標量*1は、成人男性(18~64歳)では、20~22g以上/日、成人女性(18~64歳)では18g以上/日です。 しかし、食物繊維の摂取量の目標量に対し、多くの人が足りていないのが現状です。 成人の摂取目標量を基準にした場合、1日3食を前提として、1食あたり約6~7gを目安に摂取することを目指しましょう。 具体的にどのような食事をすればよいのか、1日のモデル例をご紹介します。 ●普段の食事に食物繊維を増やす工夫 いつもの食事を少し置き換えたり、手軽な1品をプラスしたりする工夫で、食物繊維の量を増やすことができます。 ・主食の置き換え パンは全粒粉やライ麦を選ぶ。白米に麦や玄米を混ぜる。 ・野菜・果物の摂取 量といろいろな種類でしっかり摂る。 ・麺類の工夫 トッピングにわかめやきのこ、根菜をプラスする。 ・副菜の活用 ごぼう、かぼちゃなどの根菜や、わかめ、ひじきなどの海藻類を積極的に取り入れる。 ●ストックしておくと便利なアイテム ・出来合いのパック総菜(ひじき煮、きんぴらごぼう、根菜の煮物など) ・料理にちょい足しできる食材(塩昆布、乾燥わかめ、のりなど) ・乾燥野菜や冷凍野菜(スープや炒め物に手軽に加えられる)
50代以上の女性が「食物繊維」を特に意識したいワケ 食物繊維は、私たちの体にある消化酵素では消化されにくい成分(難消化性成分)です。このため、消化がゆっくりで、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、腹持ちを良くしたりと、単なる便通改善にとどまらない多くのメリットがあります。 ●ホルモンバランスの変化と生活習慣病予防 50代以上になると、ホルモンバランスの変化などによりお通じの悩みが増えがちです。また、筋肉量が減少し基礎代謝が低下することで、内臓脂肪が蓄積しやすくなり、体重増加、血糖値、コレステロール値などが気になり始める時期でもあります。 食物繊維には、腸内環境を整える効果や、脂質や糖の吸収を穏やかにする働きがあるため、積極的に摂ることで、健康リスクの軽減に役立つかもしれません。 ●摂取時に注意したいポイント 食物繊維は体に良いものですが、効率よく、安全に摂るために以下の点に注意しましょう。 摂りすぎに注意 食物繊維は消化に時間がかかるため、胃や腸の機能が低下している方は注意が必要です。一度にたくさん摂りすぎると、お腹の張り、腹痛、消化不良につながることもあります。 水分補給を徹底 食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やすため、水分が不足すると、かえって便が硬くなり便秘になったり、腸閉塞のリスクが上がったりするといわれています。水やお茶をこまめに摂る習慣をつけましょう。 調理で工夫 食物繊維を含む食材は、噛み応えがあるものが多いです。歯の状態に不安がある、または飲み込む力が低下していると感じる場合は、やわらかく調理することを心がけましょう。
【レシピ】食べ過ぎが気になる日にも!食物繊維が豊富に摂れる鍋 食物繊維がたっぷり摂れる「切り干し大根のヘルシーサンラータン風鍋」をご紹介します。 切り干し大根やえのきといった食物繊維を含む食材で栄養を補いながら、鶏ひき肉でたんぱく質をしっかり補給できます。酢の酸味でさっぱりと食べられるので、食べ過ぎが気になるときにもおすすめです。 【材料|1人分】 鶏ひき肉 50g 切り干し大根 15g えのき 1/2パック ミニトマト 3個 卵 1/2個 絹豆腐 1/2丁 万能ネギ(小口切り) 3g 酢 大さじ1 ラー油 小さじ1/2 (A)水 200ml (A)鶏ガラスープの素 小さじ2/3 (A)ナンプラー 小さじ1 (A)おろししょうが(チューブ) 2cm 【作り方】 鍋にAと鶏ひき肉を入れ、中火にかける。ほぐし、あくを取りながら加熱する。 切り干し大根はさっと洗い、①に入れる えのきは石突きを切り落とす。半分の長さに切り、上の部分はそのまま鍋へ、下の部分はほぐして加える。ミニトマトも半分に切って加える。 えのきが煮えたら、酢を入れて混ぜる。卵を溶いて流し入れ、かき玉を作る。 ④に豆腐をスプーンで適度な大きさにすくって加える。しばらく煮て温まったら、ラー油をかけ、万能ネギを振る。 食物繊維を日々の食事に上手に取り入れて、健康的で快適な毎日を目指しましょう! *1 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)炭水化物 より (参考文献閲覧日:2025年12月29日)