基礎代謝を上げるには?

夏に向けて痩せやすいカラダをつくろう

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「年齢とともに基礎代謝が下がり、痩せにくくなる」と思っていませんか? 実は、 基礎代謝の低下は加齢が原因ではないのです。

このページでは、 基礎代謝を上げることのメリットと基礎代謝を上げる方法を紹介します。健康的な体型維持に、ぜひ役立ててくださいね。

「年齢を重ねると代謝が下がる」は事実ではなかった!

「年齢のせいで代謝が下がって痩せにくい」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?なんと、これは事実ではないことが判明しました。

近年の研究で、20歳~60歳までの基礎代謝量はほとんど変わらないことが分かりました*1。 基礎代謝は、脂肪が少なく筋肉が多い人ほど高くなる傾向にあります。つまり、痩せにくくなったのは加齢による基礎代謝の低下ではなく、活動量の低下や筋肉量、生活習慣などが原因と考えられます*2

1日に消費されるエネルギー量のうち基礎代謝は60%も占めており*3、基礎代謝が高い人は消費エネルギー量が増え、脂肪を燃焼しやすくなります。このように、痩せやすいカラダづくりには、基礎代謝を上げることが重要です。

【代謝を上げる食生活】バランスのよい食事とカラダをあたためる食材

基礎代謝を上げるには、筋肉量を維持しながら、脂肪だけを減らすことが重要です*2。極端な食事制限をすると脂肪以外の組織が減り、基礎代謝も低下してしまいます。基礎代謝を上げて効率よく脂肪を燃焼させるためには、バランスの良い食生活が基本です。

●朝ご飯をしっかり食べる

体温が1℃上昇すると、基礎代謝量は約13%増えるといわれています*4。体温は朝起きてすぐが最も低く、食事をとることで体温が上がります*5。そのため、朝ご飯をしっかり食べて1日のはじまりに体温を上昇させることは、基礎代謝を上げるためにとても大切です。

●こまめに水(常温or白湯)を飲む

水を飲むだけでも、代謝アップが期待できます。ただし、冷たい水は体を冷やすため、常温の水または白湯がおすすめです*6。また、筋肉は水分を多く含む組織であり、その約80%が水分で構成されています。そのため、健康な筋肉を保つには水分をしっかりとることが重要です*7

●唐辛子や生姜などのカラダを温める食材を取り入れる

体温を上昇させる効果が高い食材を取り入れることも、基礎代謝量の向上に役立ちます。唐辛子や生姜に代表される香辛料は体を内側から温めてくれます。特に、香辛料に含まれる辛味成分は、交感神経を活性化させてエネルギー代謝量を高める効果が期待できます*8また、温かいココアは手元まで温もりを感じられるのでおすすめです*9。冷えを感じたら、体を温める食べ物を積極的に取り入れましょう。

●タンパク質を積極的にとる

基礎代謝を上げるには、 筋肉量を維持したり、増やしたりすることが重要です。タンパク質を多く含む肉類やたまご、魚介類、大豆製品等の食材をしっかりとることは、筋肉量の維持・増進に不可欠です*101日3食の中に、バランス良くタンパク質を取り入れましょう。

【代謝を上げる運動】筋肉量を増やして基礎代謝を上げる

基礎代謝を効率よく上げるためには、 有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチの3つを組み合わせるのが理想的です。3つのうちどれか1つでも効果はあるので、はじめやすいものから取り組んでみましょう。

●ウォーキング(有酸素運動)

ウォーキング等の有酸素運動は、脂肪燃焼効果が期待でき基礎代謝アップにもつながります*11。ウォーキングは、特別な準備なく手軽にはじめられる運動です。外出の際に少しだけ遠回りをして歩いたり、空いた時間に散歩したりする等、日常生活に取り入れてみてください。

●筋力アップトレーニング

基礎代謝アップに欠かせない筋肉量を増やすためには、筋力トレーニングが必要です。特に、脚の筋力は20歳頃から減少しはじめるといわれています*12。また、全身の筋肉の中でもお尻と太腿の筋肉が多くを占めるため、下半身を中心とした筋力トレーニングがおすすめです。

たとえば、スクワットやカーフレイズ(かかと上げ運動によるふくらはぎの筋力トレーニング)を1日10回など、気軽に取り組めるメニューからはじめると継続しやすいでしょう。

筋力トレーニングが苦手な場合は、積極的に階段を利用すると下半身の筋力アップに効果的です。

●ストレッチ

ストレッチには、筋肉を柔らかくして、筋温や体温を高める効果があります*13。朝起きた時やデスクワークの後に、一箇所につき20~30秒かけてゆっくりとストレッチしましょう。また、ヨガやピラティスにはストレッチの要素が含まれます。趣味の1つとして日常に取り入れると、基礎代謝を高めながら気分転換にも役立ちます。

筋トレだけ行うよりも、筋トレとストレッチを組み合わせた方が筋力アップと基礎代謝向上が目指せるので*14、余裕のある人は色々な運動を組み合わせてみてください。

無理せず継続できる習慣を

今回は、基礎代謝を上げる方法について紹介しました。基礎代謝を上げるためには、バランスのとれた食生活や運動の継続が大切です。脂肪を燃焼しやすい体をつくるため、ぜひ参考にして 無理なく続けられる習慣を取り入れてみてください。

*1 Pontzer H et al., Daily energy expenditure through the human life course. Science. 2021, 373(6556), p.808-812
*2 樋口満ほか「からだの発達と加齢の科学」大修館書店, 2012, p.98-106
*3 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「身体活動とエネルギー代謝」
*4 大中政治ほか. 臥位安静時代謝の逐時的変化について. 栄養と食糧. 1974, 27巻1号, p.15
*5 厚生労働省「ホメオスターシスについて」
*6 美和千尋ほか. 人の体温調節における飲水温度の影響. 2019.82巻2号, p.78-85
*7 洸永豊. 閉経後の骨格筋における水分代謝とサルコペニア. デサントスポーツ科学. 2020, 41巻 p.153
*8 河田照雄. エネルギー代謝・体熱産生と食品機能. 脂質栄養学. 2014, 23巻1号, p.7-15
*9 COCOA REPORT「ココアの冷え性改善効果」
*10 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「たんぱく質」
*11 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「運動療法」
*12 谷本芳美ほか. 日本人筋肉量の加齢による特徴. 日本老年医学会雑誌. 2010, 47巻1号 p.52-57
*13 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「ストレッチングの効果」
*14 山口太一ほか. ストレッチングは健康の保持増進に寄与する. Creative Stretching. 2012, 23, p.1-8(日本語訳)

(参考文献閲覧日:2025年4月22日)

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