医師と考える食育

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筋肉をつけて健康長寿に!
大切なのは、運動とたんぱく質①

近年、筋肉量が多いほど長生きできることがわかってきました。運動や適切な食事によって、筋肉量を増やし、健康寿命をのばすことができるのです。どんなことに気をつければよいか、順天堂大学医学部特任教授の齋田良知先生と考えました!

齋田 良知 先生

(順天堂大学医学部医学研究科スポーツ医学・再生医療講座 特任教授)

順天堂大学医学部整形外科学講座に籍を置きつつ、スポーツ医学を専門とし、全国でも珍しい社会人サッカークラブ併設のクリニックを開院。
自身もサッカー経験があり、女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)のチームドクターを務めるなど、トップアスリートの健康とパフォーマンスを支えるスポーツドクターとして活躍中。

筋肉の大切な役割とは?

筋肉はからだの重量全体に対し、約40%を占める

筋肉は、私たちのからだの約40%を占める重要な器官です。姿勢を保ち、からだを動かすといった働きは、筋肉しだいです。

また、筋肉はエネルギーの貯蔵庫でもあり、運動をするときは、この貯蔵庫に蓄えられている糖質をエネル
ギー源として利用しています。そのため、筋肉量が減ると、体力が低下し、疲れやすくなります。消費エネル
ギーも減るので太りやすくもなります。

筋肉はからだの重量全体に対し、約40%を占める

ですから、筋肉量を減らさない生活をすることが大切です。

筋トレというと、やはり競技スポーツをするような方が色々な器具を使ってガンガンからだを鍛えるようなイメージがあると思います。

私自身も子供のころからサッカーをしており、足が速くなりたいとか強いシュートを打ちたいと思って、がむしゃらに筋トレをしていました。

しかし、医師になり高齢者の方々と接する機会が増えるにつれ、筋肉とは、鍛えるためというよりはむしろ身体活動を「維持」するためにも非常に必要であること、そして特別な器具などがなくとも誰でもどこでもできるものという事に気づかされました。 健康寿命を延ばす秘訣は、筋肉が衰え始める中高年の時期になるべく筋力を落とさないよう維持する「貯筋」にあると私は考えています。

筋肉は老化に逆らえる組織!

無理なく続けられる筋トレを習慣に

40代を迎えて体力の衰えを感じる、という人は少なくありません。一般に筋肉量は20代をピークに少しずつ
減っていき、40代からは10年ごとに約8~10%減っていくといわれています。
「今から鍛えても間に合うだろうか」と不安になるかもしれませんが、筋肉は、からだの中でもめずらしい「自分で増やすことができる」組織。いくつになっても筋肉を増やすことができます。
「筋肉は裏切らない」という言葉がありますが、まさにその通りだと思います。

じつは、私は屋内のジムなどで行うマシンを使った筋トレはあまり好きではないのです(笑)。

私の場合、筋トレだけをやるために時間を取ることはなく、週に2回程度、5~10kmの屋外のジョギングをしながら、途中でストレッチや軽い筋トレを挟むようにしています。

筋トレは無理なく続けられることが大切ですから、自分に合ったものを探してみるのもよいかもしれません。

無理なく続けられる筋トレを習慣に

筋肉量は、筋肉を構成するたんぱく質の代謝(合成と分解)によって決まります。つまり、合成が多ければ筋肉が増え、分解のほうが多ければ筋肉がやせ細っていくというわけです。

この代謝には、加齢と生活習慣が深く関わっています。栄養を考えて食事をバランスよくとっている人や、運動をしている人は合成が行われるため、筋肉量を維持できるのです。

ですから、しっかり「貯筋」をするには、運動をして、たんぱく質を不足なくとることが大切です。