コロナ禍のため、従来型発表会が難しい中、「食べるプレスリリース」を開発。問い合わせの増加効果も
事例データ
- 【導入企業】
株式会社ジンズホールディングス様 ( https://jinsholdings.com/jp/ja/ )
- 【事業内容】
アイウエアおよび服飾雑貨、ウェアラブル端末などの企画、製造、販売及び輸出入などを展開
- 【商品】
- 【時期】
2020年10月
- 【用途】
「J!NS 1DAY COLOR」のプレスリリースに同梱し活用
今回のおかしプリント事例は「カラーコンタクト」新製品のマーケティングでの活用です。「大人女性の約9割(91.4%)が『目元の印象を変えてみたい』と思っている」という株式会社ジンズホールディングス様の調査を受けて始まった、同社のカラーコンタクト戦略におかしプリントはどのような貢献をしたのでしょうか。
ジンズホールディングス様は、従来の眼鏡店とは異なり、リーズナブルなプライス、軽いけど弾力性に富んだフレームなど、アグレッシブな戦略をアイウェア業界に投げかける眼鏡制作・販売を中心とする企業です。今回は、カラーコンタクトというファッションアイテムの新発売に当たって、新たな広報戦略の開発を、おかしプリントを活用し実施いたしました。
大人の女性のニーズに応える「新しいカラーコンタクトレンズ」を開発
‟いま、大人にこそカラコンを。” をメッセージに、眼鏡のジンズさんは、「JINS 1DAYコンタクトレンズの品質はそのままに、デザイン性が高いカラーコンタクトレンズの開発」に着手されました。その日の気分に合わせてメイク感覚で選べる幅広いデザインが特徴とのこと。
[J!NS 1DAY COLOR] ホームページ https://www.jins.com/jp/1daycolor/
使うシーンに合わせて選べる「SKY GRAY」「HONEY BEIGE」といった8色が用意され、10枚入り1500円(税別)というセットと、お試し感覚の2枚入り300円(税別)を用意。「使ってみたい」という女性の気持ちにリーズナブルな価格を提供しています。
特に期間・数量限定の「2枚入り4箱、500円(税別)」は、すでに全部売り切れ! たそうで、女性たちのカラコンへの高いニーズを感じます。
販売の準備よし、市場の手応えもあり! しかしコロナが……
通常、新製品の発表というと、まずメディア関係者を多数招待して大々的に発表会を行い、サンプル等を配布して実際に使ってもらい意見を募る、といった展開が一般的です。
しかしここで問題が2つ発生しました。まず1つは、新型コロナウィルスの感染拡大です。
カラーコンタクトレンズの発表時期である2020年10月は、新型コロナの第2波が過ぎて一旦下がってきましたが、まだ予断を許さない状況でもあり、大々的に参加者を募っての発表会を行う状況ではありませんでした。
もう1つは、これは製品の性格上、仕方がないものですが、カラーコンタクトレンズは「単純にサンプルを配布してお試ししてもらう」ということを「してはいけない」物品なのです。
高度管理医療機器というカテゴリーの物品なので、配布する場合は承諾書などの利用者の一筆が必要。そのため、プレスリリースを送ったとしても、忙しいメディアの編集者にしてみれば「承諾書を書く時間がない!」ということで、試してもらえない可能性が高いということです。
カラコンのパッケージとハイチュウの高い類似性に着目、そして「食べるプレスリリース」が誕生
この二重苦を乗り越えるべく、株式会社ジンズホールディングス 広報・PR 池川 志帆さんと、森永製菓株式会社のおかしブリント事業責任者の 渡辺 啓太は、ブレインストーミングを重ねました。
そこで気づいたのは、カラコンのパッケージとハイチュウのパッケージが「似ている」ということ。
「ならば、カラコンのパッケージをイメージさせるハイチュウを配れば!」ということで、誕生したのが「食べるプレスリリース」です。一見するとカラーコンタクトレンズのサンプル? に見えますが、開けてみるとハイチュウ! という意外性が、受け取った人のハートに矢を刺すのでは! という発想です。
池川さんは「カラコンかな〜、と思って、見てみたらハイチュウだ! と思える。かつ、これをきっかけに自分で(カラコンを)試してみたいという方がいらしたら、承諾書をご提出いただければ、実際のカラコンのサンプルを送るというコミュニケーションができて、とても嬉しいと思いました」と言葉を重ねます。
カラコンのパッケージとおかしプリント「ハイチュウ1DAY COLOR」。パッと見には区別がつかない。
しかし、開けてみるとそこにはおなじみのハイチュウが!
プレスリリースは、ドキュメントとサンプルを一緒にして、このように配布されました。
「1DAY COLORものまね」のクオリティーの高さが話題性を生む
パッケージの類似性に着目したこの「食べるプレスリリース」作戦は、なかなかのアイディアだと思いませんか? そして大切なのは、アイディアだけで勝負したのでは「ない」という点です。
先の1DAY COLORの製品パッケージと、ものまねのパッケージ写真を見て何かお気付きになりませんでしたか? ものまねとはいえ、製品の薄いピンクのパッケージカラーを寸分違わず再現している点はご立派。これなら製品を知っている人も、「あれ、これサイズ違い?」と思ってしまうでしょう。
そこで開けて見ると「あら、ハイチュウなんだ!」となるわけですが、ものまねはその質が高ければ高いほど、落差が大きくなり、驚き具合もグーンと高くなるというものです。この質の高さへのこだわりは1つのポイントと言えるでしょう。
そして、その驚きの余韻を長引かせるのが、パッケージ側面に記載されているウィットに富んだメッセージです。
※この製品は食べられますが、目には装着できません。※YOU CAN EAT. BUT DO NOT WEAR.
と書かれているのです。
こんなユニークなメッセージを生真面目に記載するユーモアには、見た人と製品との親近感をグっと近づける力があります。さらに秀逸なのは、日本語だけでなく英語でも記載があるところ。実際に、この「ものまねハイチュウ」を配布するのは、日本のメディアが中心なので英語は不要といえば不要なのですが、生真面目にあえて英語でも記載があるところに懐の深さを感じさせます。
これなら毎日、たくさんのプレスリリースが来る中で、つい埋もれてしまうという危機を回避できて、メディアの人への印象も深くなるでしょう。実際、「製品かと勘違いした」「ユーモアがあって面白い」「インパクトがあり印象に残った」という声も聞かれ、多くのメディアからサンプル依頼の問い合わせがあった、というニュース記事も散見されました。
取り出したら、ハイチュウ! という驚きとユーモアは、おかしプリントだから提供できた演出です。
集客できない、サンプルをストレートに送れない、という二重苦でしたが、見事「食べるプレスリリース」はこの高いハードルを飛び越えてメディアの人々のハートにしっかり届いたようです。
最近では、プレスリリースのネット配信が主流になっていますが、今回の取組はリアルなプレスリリースにお菓子を添えることで、そのリリース自体が目立つようになるという仕掛けです。リリースを受け取るメディア関係者へリーチするためのよい差別化ツールとなったのではないでしょうか。