サステナブルなお仕事No.42

フラワーデザイナー

大谷おおたに裕佳ゆかさん

フラワーデザイナー

大谷おおたに裕佳ゆかさん

花をてない!
フラワーロス・ゼロを実現じつげんする花屋さん
きれいな花を見ると幸せな気持ちになるよね。でも、お店で売れ残った花がたくさん捨てられているらしい……グスン。 そのことに心をいためた大谷さんは、花の廃棄はいき「フラワーロス」をしない花屋さんを作ったんだ。 もう17年間も花を捨てていないんだって!
Q1.
どんなお仕事クエッ?
お花をムダなく使って、世界に一つのお花のプレゼントを作っています。お花をムダにしない工夫の一つが、「プリザーブドフラワー」です。お花に特別な技法ぎほうを使って、れることなく、お花を楽しむことができます。お花のやわらかさや丸みも、そのまま1~2年はきれいな状態じょうたいたもてるので人気があります。もう一つの工夫は、お花や葉っぱをつないで、輪っかの形にした花かざり「フラワーリース」です。くきが短い、曲がっているなどの理由で売ることができないお花でも、丸くならべるリースならすてきな花かざりに生まれ変わります。

お花は生きていますから、どうしても時間がたてば枯れてしまったり、しおれてしまったりします。また、くきの長さや花の形がそろっていないものもあります。そのため、売れずに捨てられるお花の割合わりあい「フラワーロスりつ」は、30%以上とも言われています。私のお店では、注文を受けてから一人ひとりに合わせたブーケやアレンジメントを作ることで、2006年から0%を続けています。お花をムダなく使うことで、お花はもとより、お花を育てた人やお客様にも、幸せの輪を広げられると思っています。

※花のかざりつけ
大谷さんの花屋「グラウンド」では17年間にわたりフラワーロス・ゼロを達成。2022年にはフラワーリースの専(せん)門店も始めた。
大谷さんの花屋「グラウンド」では17年間にわたりフラワーロス・ゼロを達成。2022年にはフラワーリースのせん門店も始めた。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
お花が好きだったのはもちろんですが、仕事にしたいと思ったのは、中学生の時。母にスーパーで買ってもらったお花を学校に持って行き、教室にかざったことがありました。「何の花?」とクラスの中で会話が生まれ、みんなが笑顔になったのを見て、お花は人と人をつなぐんだと感じたことがきっかけです。

ただ、高校生の時に花屋さんでアルバイトを始めると、売れ残ったお花が捨てられていく状況じょうきょうを目の当たりにしました。幸せを生むお花がゴミになることに違和感いわかんを持ち、「お花を捨てないようにするにはどうすればいいか」を考えるようになりました。お店を開業する時に「お花をぜったい捨てない」と決意。注文を受けて、必要なお花だけ用意する今のスタイルにしました。
ブーケやフラワーリースは、花をできるだけ長く楽しめるように、特殊(とくしゅ)な方法で生花のようなみずみずしい状態を1~2年も保てるよう加工したプリザーブドフラワーを使う。
ブーケやフラワーリースは、花をできるだけ長く楽しめるように、特殊とくしゅな方法で生花のようなみずみずしい状態を1~2年も保てるよう加工したプリザーブドフラワーを使う。
くぎが曲がって売ることができない花も活用できるフラワーリース。お客様に合った花や色を選び。世界で一つのフラワーリースを作る。
くぎが曲がって売ることができない花も活用できるフラワーリース。お客様に合った花や色を選び。世界で一つのフラワーリースを作る。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
重いバケツを運んだり、水を使う仕事なので寒かったりもしますが、苦労と思ったことはありません。仕事の全てが幸せにつながっていると感じているからでしょうね。私自身がお花からパワーをもらっています。

感動は、毎日です。お客様が私のお花をだれかにプレゼントする時、その相手は家族だったり友達だったり様々です。誕生たんじょう日のお祝いや感謝かんしゃの気持ちなど、お客様によって目的もちがいます。お客様がお花にこめる思いに感動し、それを伝える使命をかみしめています。結婚けっこん式のお花は、それまでの人生を聞きながらいっしょに作り上げるので、感動のあらしです。あるお客様は、恋人こいびとの誕生日にお花をプレゼントし、1年後に結婚する時も、さらに1年目の結婚記念日にも、節目ふしめにお花をプレゼントし続けていました。そんなふうに、人生の歩みと共に感動を分かち合えることもあります。
「お花は家族」と考え、家族のように一輪一輪を大切にする。完全予約制(せい)、注文を受けて作るオーダーメイドのスタイルでは、ムダが出ないだけでなく、贈(おく)る人の思いを深く聞き、それをしっかり形にすることができる。
「お花は家族」と考え、家族のように一輪一輪を大切にする。完全予約せい、注文を受けて作るオーダーメイドのスタイルでは、ムダが出ないだけでなく、おくる人の思いを深く聞き、それをしっかり形にすることができる。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
私は5人兄弟の長女で、妹・弟といつもいっしょに遊んでいました。自転車に乗って出かけたり、図書館へ行ったり。お休みには両親がセミとりや海水浴、ハイキングなど、あちこちへ連れていってくれました。自然に親しむことが多かったからか、お花は小さいころから好きで、道の木のお花が気になったり、夏休みの自由研究でロベリアというお花の観察をしたり、父と庭に球根を植えたりしていましたね。よく食べたおやつはチョコボール。今も、6才のむすめがチョコ好きなので、いっしょにチョコボールや、チョコチップクッキー、チョコモナカジャンボなどをよく食べます。

※南アフリカが原産。チョウのような青い小さな花がさく
Q5.
未来の大人たちへ
いきなり世界を幸せにするのはむずかしくても、まず家族や友達など、近くにいる人を大切にすることから、幸せを広げていけます。小さく深くきずなを深めていくことが大事。それをお手伝いできる一つがお花だと思います。花屋さんになりたい人は、自然にいっぱいふれて、太陽の元気、もれびのやさしさなど、自然を感じることで感性かんせいをみがいてみてください。
プロフィール
兵庫県神戸市生まれ。17才から花屋でアルバイト。大学卒業後に大きな花屋につとめ、花のディスプレーや講師こうし経験けいけん。ウェディングフラワーのプロデュースを手がけた後、2006年に夫婦ふうふで花屋「グラウンド」をスタート。ネットショップから始め、後に予約制サロンを開いた。
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