サステナブルなお仕事No.39

「ピリカ」開発者

小嶌こじま不二夫ふじおさん

「ピリカ」開発者

小嶌こじま不二夫ふじおさん

「ごみ拾いSNS」で
世界のごみ問題を解決かいけつ
道のごみを拾ったら、世界中から「ありがとう」がとどいたよ!うれしい!続けよう!
そんなステキな仕組みを、XエックスInstagramインスタグラムみたいなSNSで作った小嶌さん。
ITの力で世界のごみ問題を解決しようとしているんだ。
Q1.
どんなお仕事クエッ?
ポイてなどのごみ問題を解決するためのサービスを展開てんかいしています。 一つが2011年に開発した「ピリカ」というごみ拾いSNS。ごみを拾う人同士が交流できるアプリです。 拾ったごみの量や場所を記録したり、写真を投稿とうこうしたり、「ありがとう」を送り合ったりできます。 投稿するとすぐに世界中から「ありがとう」がとどき、ごみをきっかけにユーザー同士のつながりがどんどん広がります。 個人こじんだけでなく、企業きぎょうや自治体からも参加してもらっていて、グループごとにごみ拾いの活動を発信したり、成果をWEBページにまとめたりするサービスもあります。 企業の社会貢献こうけん地域ちいきの町づくりにも役立ててもらっています。
ごみ拾いを楽しくする、世界最大級のごみ拾いSNS「ピリカ」。
ごみ拾いを楽しくする、世界最大級のごみ拾いSNS「ピリカ」。
無料でダウンロードできるアプリを通し、これまでに120以上の国・地域でるい計3億個以上のごみが拾われました。会社名にもなっている「ピリカ」は、アイヌ語で「美しい」という意味の言葉。自分自身でごみを拾うことはもちろん大事ですが、一人が拾うだけでなく、多くの人が拾いたくなるようなシステムを作りたいと思ったことが開発のきっかけです。

※北海道に住む先住民族「アイヌ民族」の言語
ごみ拾いSNS「ピリカ」の他にも、海や河川(かせん)でマイクロプラスチック(大きさが5ミリ以下のプラスチックごみ)の調査(ちょうさ)をする装置(そうち)「アルバトロス」を開発。
ごみ拾いSNS「ピリカ」の他にも、海や河川かせんでマイクロプラスチック(大きさが5ミリ以下のプラスチックごみ)の調査ちょうさをする装置そうち「アルバトロス」を開発。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
最初のきっかけは小学2年生の時。学校の図書室にあった「地球の環境かんきょう問題シリーズ」という図鑑ずかんを読み、未解決みかいけつの問題がたくさんあることを知り、解決したいと思いました。 大学院生の時、世界の環境について知りたくて18カ国をめぐり、ごみは都市だけでなく、ジャングルのおく砂漠さばくの真ん中まで、人が行く場所には必ずあり、世界共通の問題だと実感しました。 そこでごみ問題に取り組もうと決め、SNSをごみ拾いに生かせないかと考えたんです。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
まずアプリの開発が大変でした。ぼくは理系りけいでも専門せんもんがちがうので、プログラミングの勉強からスタート。 友達に教えてもらったけどうまくいかず、結局その友達が仕組みを作ってくれました。 その次はアプリを知ってもらうために、ごみ拾い活動に参加してアプリを紹介しょうかいして回ったり、海外で使われるとインパクトがあると考え、海外を旅行中の友達にお願いしてごみを拾ってもらったり、試行錯誤しこうさくごしました。
それが今や当たり前に世界中で使ってもらえるようになり、南極から投稿されたことも。いつか宇宙うちゅうからの投稿が届くかもしれません。
道路に散らかされたごみの種類や分布(ぶんぷ)を人工知能(ちのう)を使って調査する「タカノメ」というサービスも展開している。路上のごみが多い地点は赤やオレンジ色に表示される。
道路に散らかされたごみの種類や分布ぶんぷを人工知能ちのうを使って調査する「タカノメ」というサービスも展開している。路上のごみが多い地点は赤やオレンジ色に表示される。
感動したのは、初めて知らない人がアプリを使ってくれた時。 使ってもらうために開発したのですが、本当に使ってもらえた時はやっぱりうれしくて。 企業や自治体がサービスを使ってくれて、応援おうえんすると言ってくれた時も、こんなにうれしいことがあるのかと思いました。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
ちょっと変わった子で、親からは、人とちがう角度で物事を見たがる、ひねくれ者と言われていました。 目立つ方ではなかったです。 運動は苦手だったこともあり、クラスの中心になるタイプではなく、小学校高学年のころ、好きだった女の子から「存在感そんざいかんがない」といじられた記憶きおくが……。本が好きで、特に科学の本が好きでした。

3人兄弟で、ぼくは真ん中ですが、お菓子を出しておくとだれかが食べちゃうので、かくす親とそれをさがす3兄弟との対決でした。その中で、よく食べたのはチョコボール。おもちゃのカンヅメももらいました。
大学院生の時に世界18カ国を巡り、ごみ問題の深刻(しんこく)さを知った。
大学院生の時に世界18カ国を巡り、ごみ問題の深刻しんこくさを知った。
Q5.
未来の大人たちへ
2040年までに「自然界に流出するごみの量」と「回収されるごみの量」を逆転ぎゃくてんさせることを目指しています。 全力でなんとか達成したいと思っています。

世界には、ごみの問題をふくめて未解決の問題がたくさんあります。 それを解決しようとするのはかっこいいし、面白いからおすすめします。 苦労も面倒もありますが、それがなかったら、始めた瞬間しゅんかんにクリアしているゲームのようなもの。 乗りこえるものがあるから解決しがいがある。ぼくはそう思います。
プロフィール
1987年富山県生まれ。小1で兵庫県神戸市へ。 大阪府立大学(機械工学)卒業。京都大学大学院(エネルギー科学)に進むが、半年で休学して世界を旅する。 帰国後の2011年、ごみをはじめとする環境問題の解決を目指す会社、ピリカを創業そうぎょう。 ごみ拾いSNSを発表した。
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