サステナブルなお仕事No.35

海洋環境かんきょう保全グループUMIRUウミル代表

落合真弘おちあい まさひろさん

海洋環境かんきょう保全グループUMIRUウミル代表

落合真弘おちあい まさひろさん

海の仲間をゴミから守りたい!
魚型ロボットで進める環境教育
んで“さかなくん”。大好きな魚をはじめ、海の生き物をゴミから救うため、中学2年で団体を発足ほっそく。大学生になってからも活動を進めているよ。使うのは、魚型ロボット! 楽しく海の生き物のことを知ってもらい、海をきれいにすることの大切さを伝えているんだ。

↓さらにくわしいインタビュー↓

Q1.
どんなお仕事クエッ?
海のゴミ問題の解決を目指し、海岸の清掃せいそうと環境に関する教育に取り組んでいます。

海岸の清掃も必要ですが、清掃だけでは過去にすてられたゴミの回収かいしゅうだけになってしまうので、本当の解決になりません。大切なのは、これからすてられるゴミをなくすこと、つまり、すてる人をなくすことです。

合わせて行っているのが、幼稚園ようちえんやイベントでの環境に関する知識を知ってもらうための教育活動です。手作りの魚型ロボットを使い、泳ぐ様子を見たり、さわったりすることで、楽しみながら海の生き物に親しんでもらい、海をよごしたくないという気持ちになってもらえたらと思っています。

ロボットを使っている理由は、本物の魚だと、人がさわると弱ってしまい、死んでしまうこともあるからです。ロボットなら、そんなことはありませんよね。

ロボットの種類は、アカウミガメ、スズキ、クロダイ、オオイカ、マンボウなど。身近にいるものを中心に作っています。ちなみに、アカウミガメは特別な海にしか来ないと思われがちですが、三重県をはじめ、日本各地の海岸にもたまごを産みにきています。こんな生き物が実は近くにいると知ることから、海の豊かさに気づいてほしいという想いもロボットにこめています。
約10種類ある魚型ロボット(写真は合成)。スズキのヒレは竹ぐしを使ってトゲトゲを表現したり、砂(すな)に体を似せるイシガレイの色は、色々な場所から集めた砂を比べながら決めたり。本物をじっくり観察し、リアルさを追究しているいます。
約10種類ある魚型ロボット(写真は合成)。スズキのヒレは竹ぐしを使ってトゲトゲを表現したり、すなに体を似せるイシガレイの色は、色々な場所から集めた砂を比べながら決めたり。本物をじっくり観察し、リアルさを追究しているいます。
アカウミガの甲羅(こうら)にナゾの物体? 「これ何だと思う?」「?」「フジツボだよ」「へぇーおもしろーい!」と喜ぶ子どもたち。こんな風に興味を引き出す工夫も。
アカウミガの甲羅こうらにナゾの物体? 「これ何だと思う?」「?」「フジツボだよ」「へぇーおもしろーい!」と喜ぶ子どもたち。こんな風に興味を引き出す工夫も。
UMIRUは「海を見る」と「海流(海=うみ、流=る)」をかけた名前。中高時代からのメンバー約15名が、各地の大学で学びながら活動を続行中。最近は中学や高校の探求(たんきゅう)授業で、魚型ロボットのミニチュア版を作ってもらったり、自分たちの活動を伝えたりすることも始めた。
UMIRUは「海を見る」と「海流(海=うみ、流=る)」をかけた名前。中高時代からのメンバー約15名が、各地の大学で学びながら活動を続行中。最近は中学や高校の探求たんきゅう授業で、魚型ロボットのミニチュア版を作ってもらったり、自分たちの活動を伝えたりすることも始めた。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
家が海のそばにあり、海の生き物を身近に感じられる場所で育ちました。

中学2年生の時、近くの漁港の反対側の海岸へ行ってみたら、そこにあったのは大量のゴミ。遠い世界のイメージだった海のゴミ問題が身近で起こっており、苦しんでいる生き物がいることを知り、ショックを受けました。

何とかしたいと思い、まず海岸の清掃を始めるために、同級生と団体を立ち上げました。メンバーたちと清掃活動をしているうちに、ゴミをすてる人は、海に生き物がたくさんいることを想像できていないのだと気づき、環境の教育もスタート。ロボットを使うのは、小さいころに、病気で海へ行けない子どもたちに魚のロボットで海の面白さを伝える活動を見たことがあり、その経験からヒントをもらいました。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
ロボットが完成する前の中学3年生の時、海に関する中高生の研究をサポートするプログラムに応募おうぼしたのですが、「ロボットでは、本物の代わりはできないのでは」「環境教育にはつながらないのでは」など、きびしいことを言われてくやしかったですね。でも、このくやしさをバネに、実際に作って証明しようと自らをふるい立たせ、実現させました。

感動したのは、イベントで環境教育を始めて2年目のこと。見覚えのある女の子が来ていて、「あれからゴミをすててないよ」と言ってくれたのです。ハッとし、思わずメンバー同士で顔を見合わせました。ぼくらは「魚がかわいそう」とか「ゴミをすててはいけないよ」と言わないようにしています。おしつけではなく、自分で感じてもらいたいからです。だれか一人にでも伝わればいいという気持ちでいたのですが、その一言で努力が報われました。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
おさない時からとにかく魚が好きで、読書の時間も見るのは魚図鑑ずかんばかり。ページをめくりながら「こんな魚が本当にいるのかな?」とワクワクしていました。

近くの漁港へ父のつりについて行き、アミで魚やカニをすくって遊ぶのも好きでした。小学校の卒業文集に書いた夢は、水族館の館長。

好きだったお菓子は、「おっとっと」です。どの魚が出るか楽しみで、今もよく食べています。

魚以外のことも何でも楽しんでやる性格で、幼稚園からサッカー、中学からテニスを、その中でピアノや習字などもやっていました。興味を持ったことをやらせてもらえたのはありがたかったですね。
Q5.
未来の大人たちへ
ただ大好きな魚を守りたくて、この活動を始めました。みんなも、好きを極めていってほしいと思います。その中で、きっと回りまわって社会の役に立てることがあるはずです。

また、環境にいい商品や、サステナブルな製品などが受け入れられるようになってきていますが、それがもっと当たり前な社会になるといいなと思っています。そんな社会をいっしょに作っていきましょう。
プロフィール
2002年三重県鈴鹿市すずかし生まれ。2016年に海洋環境保全グループSOM(後にUMIRUへ改名)を設立。2021年に慶応義塾けいおうぎじゅく大学環境情報学部へ進学。2019年イオン・エコワングランプリ内閣ないかく総理大臣賞、2023年朝日新聞社・大学SDGsアクションアワード選考委員特別賞など受賞歴も多数。
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