サステナブルなお仕事No.26

グローバルポーターズ社長

米沢谷友広よねざわや ともひろさん


グローバルポーターズ社長

米沢谷友広よねざわや ともひろさん

野球と資源しげんを未来へつなぐ!
中古グローブを再生
元野球少年で、甲子園こうしえん出場も果たした米沢谷さん。大好きな野球をより多くの人が楽しめるようにする会社を立ち上げ、中古グローブの再生に取り組んでいるよ。新しい命をふきこむグローブには、子どもたちに野球を楽しんでほしい、資源しげんを大切にしたいという思いがつまっているんだ。

↓さらにくわしいインタビュー↓

Q1.
どんなお仕事クエッ?
使わなくなった野球グローブを引き取り、再生し、次に使う人へつないでいます。グローブの多くは上質な牛のかわが使われ、再生可能な、貴重きちょうな資源です。それなのに、使わずにしまいこんだままの人が多く、場合によっては引っこしする時などにすてられてしまうことも少なくないのです。

新品のグローブはもともと高価なものなのですが、この20年ほどでさらに1.5~1.8倍に上がっており、野球を始めるのをあきらめてしまう子もいます。そこで、使われなくなったグローブを活用し、新品の1/3から半分ぐらいの値段ねだんで必要とする人へわたせるようにしているのです。

グローブは、主にウェブサイトやお店で買い取る他、野球のチームや団体が回収かいしゅうしたものをゆずり受け、それを修理・リメイク(=仕立て直し)し、再生グローブとしてサイトとお店で販売はんばいしています。
「Re-Birth(リバース)」の名前でウェブサイトと実店舗(てんぽ)(東京に4店)を持ち、修理からリメイクまで、月に100~120個のグローブを再生している。再生グローブは革がやわらかく、手になじみやすいのもメリット。
Re-Birthリバース」の名前でウェブサイトと実店舗てんぽ(東京に4店)を持ち、修理からリメイクまで、月に100~120個のグローブを再生している。再生グローブは革がやわらかく、手になじみやすいのもメリット。
再生は職人の手作業で行われる。50~60のパーツから成るグローブを分解し、いたんだ部分を交換(こうかん)してぬい直すなど、高度な技術を要する。米沢谷さんは職人の育成にも取り組んでいる。
再生は職人の手作業で行われる。50~60のパーツから成るグローブを分解し、いたんだ部分を交換こうかんしてぬい直すなど、高度な技術を要する。米沢谷さんは職人の育成にも取り組んでいる。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
小学3年生からずっと野球をやってきました。野球は走る、ボールを打つ、投げる、取るなど、色々な運動能力もきたえられるし、チームワークも身につくすばらしいスポーツ。試合では、一人ひとりがバッターや守備で注目されやすく、みんながヒーローになれるのもいいところです。だから多くの人が野球を楽しめるように、役に立てる会社をいつか作ろうと思っていました。

まず、野球用品の開発・販売をスタート。小さい子向けのバッティングセットなど、野球を始めるきっかけになる商品などを作りました。そんな中、たくさん作って売るだけでなく、今ある資源を活用できないかと考えて始めたのがグローブの再生です。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
グローブの再生を始めた時、内容を知ってもらうのにとても苦労しました。だれもやっていなかったことなので「再生って何?」から伝えなくてはいけません。うまくいかず、再生するためのグローブもなかなか集まりませんでした。でも、コツコツとウェブサイトやお店で説明し、一人ひとりに満足してもらう努力を重ねているうちに、知ってくれる人が増えていきました。

この努力が実ったことが感動ですね。「やわらかくてすぐに使えるグローブを安く買えた」「道具を大切に使うことを子どもに教えられてよかった」といった声をよくもらいます。

30年前に使っていたグローブをリメイクし、久しぶりに草野球をやってみようかなとか、お孫さんとキャッチボールをしようかなと言う人も増えました。大人から子どもへ、野球の楽しさがリレーのようにつながることで、野球の持続可能性にも貢献こうけんできているのではと思っています。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
野球づけの少年時代でしたが、勉強も好きで、算数はじゅくにも通ってがんばっていました。もちろん、絵や音楽など、苦手なこともいっぱいありましたよ。

運動は得意で、体育の100m走やマラソン大会で1番になることも多かったです。秋田で育ったので、雪がふる冬はクロスカントリースキー※をやっていました。野球が好きになったのは、父が毎日キャッチボールをしてくれたからです。

遊びはオニごっこやカンけりなど、外遊びが多かったのですが、自分の家や友だちの家でワイワイすることも多く、野球ゲームなどテレビゲームもよくやりましたね。

お菓子は近くの駄菓子だがし屋さんでよく買いましたし、チョコボールもいっぱい食べていました。

※ふつうのスキー板より細くて長く、かかとを固定しないスキー板を使い、雪の積もった野山や平原を歩いたりすべったりするスポーツ。
Q5.
未来の大人たちへ
スポーツや習い事の多くは道具が必要ですよね。道具はちゃんと手入れすることで長く使えます。それによって資源を大切にでき、地球環境かんきょうにもやさしくなれます。また、愛着を持って道具を使っていると、技術や感性がのびるのを助けてくれます。わたしはそれをグローブで実践じっせんし、甲子園にも行けました。

みなさんにもぜひ、道具を大切にしながら好きなことを楽しんでほしいと思います。
プロフィール
1982年秋田県生まれ。小3から野球を始め、秋田商業高校で甲子園に出場。大学卒業後、スポーツ用品会社でスポーツ事業に関わり、アメリカの大学でビジネスの資格も取得。ネット通販会社で野球用品の開発・販売などに関わった後、2017年にグローバルポーターズを設立した。
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