サステナブルなお仕事No.22

コドモエナジー代表

岩本泰典いわもと やすのりさん


コドモエナジー代表

岩本泰典いわもと やすのりさん

電気がないのに光る!
地球と人にやさしい不思議なタイル
灯りをともす時、ふつうは電気を使うよね。ところが、電気を使わずに発光し、長時間、強い明るさを保てるタイルがあるんだって! 開発を進めた岩本さんは、子どもたちの未来を守るためにサステナブルなモノづくりに取り組んでいるんだよ。
Q1.
どんなお仕事クエッ?
日光や電灯の光を吸収きゅうしゅうしてたくわえ、暗くなると自然に発光する不思議なタイルを作っています。名前は「ルナウェア」といいます。
400年の伝統を持つ有田焼の技術を応用していて、セラミック製※の土台に光を蓄える性質のある材料をぬって焼きつけています。同じような性能のものはプラスチックではありましたが、熱に弱く、すり減って性能が失われるのが弱点でした。
ルナウェアはセラミック製なので耐久たいきゅう性が高く、熱にも水にも強く、火事などの災害時でも性能を保てます。代表的な使い方が避難誘導ひなんゆうどう標識で、停電で真っ暗になっても光って非常出口へ案内します。ゆかにつけたものでも、これまで一度もれたことがありません。命を守るものなので、丈夫じょうぶでなくてはいけないのです。
また、電気を使わないので二酸化炭素を出さず、地球環境かんきょうにやさしいエコな素材です。

工場があるのは福島県の川内村。2011年の東日本大震災しんさいの原発事故の影響えいきょうで、住む人や働く人が減ってこまっているところなので、工場だけでなく、古民家を再生して宿やカフェ、交流の場などみんなが集まる場所も作りました。地元の人と協力するこの取り組みは、人のつながりの再生でもあるのです。

※土や石などの原料を高温で焼き固める素材
太陽や室内の光を蓄え、暗くなると自然に光るルナウェア
太陽や室内の光を蓄え、暗くなると自然に光るルナウェア
停電時でも12時間光り続けることができることから、地下鉄やビルなどの避難誘導標識に多く使われている。また、建物の内外や観光スポットなど、空間のデザインや演出としても活用されている。
停電時でも12時間光り続けることができることから、地下鉄やビルなどの避難誘導標識に多く使われている。また、建物の内外や観光スポットなど、空間のデザインや演出としても活用されている。
福島県の川内村に工場を作り、産業と仕事を生み出した。
福島県の川内村に工場を作り、産業と仕事を生み出した。
再生した築100年以上の古民家は、人が集まり、交流できる場になっている。
再生した築100年以上の古民家は、人が集まり、交流できる場になっている。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
チャレンジと人のえんから、今の仕事につながりました。
最初は父の会社でユニットバス※の職人になり、24さいで独立。全国を飛び回って技術をみがき、大きな仕事も任されるようになりました。そんな中、仕事相手だった人にさそわれて、人と環境にやさしいモノづくりに取り組む会社をいっしょに始めました。
ところが2年目にパートナーが病気でなくなり、いったん事業を休止。立て直しを考えていた時、紹介しょうかいされた有田焼の窯元かまもとで出合ったのが、自然発光する焼き物でした。これなら自然エネルギーを利用するから、サステナブルなものを作ることができる。工業製品にして広めたい。そう思い、窯元の人と力を合わせました。

※壁や天井、床、浴槽よくそうが一体化している浴室のこと
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
工業製品にするには、同じものを安定的に作れるようにしないといけません。そこは苦労の連続でした。材料の最適なバランスをさがし、作るための機械も作る必要がありました。
そしてついに成功した時はとてもうれしくて、「ものづくり日本大賞 内閣ないかく総理大臣賞」という立派りっぱな賞をもらい、総理官邸かんてい表彰ひょうしょうされた時は信じられない思いでした。一人ではできなかったことです。力を合わせられる人がいて、絶対やるぞという強い意志があれば、むずかしいこともできるんだとわかりました。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
飛行機や車やバイクが好きで、小さいころなりたかったのはパイロットやレーサー。ミニカーや飛行機のおもちゃなどでよく遊んでいました。
外でもよく遊び、近くの川の大きな魚を全部とってしまい、校長先生によび出されたことも。講堂のカーテンに登ってしかられるなど、わんぱくでしたね。
勉強はできた方でしたが、お金がたくさんかかる学校には進めませんでした。お菓子もしょっちゅうは食べられず、たまに食べるミルクキャラメルはごちそうでした。今もつかれた時にはよく食べています。
Q5.
未来の大人たちへ
興味を持ったことをつきつめてください。わたしは大人になってからでしたが、興味を持ったことを勉強し、作りたいものを作ることができました。そこで大きかったのは人の縁です。まずは友だちや家族と仲良くしてください。
みなさんが大人になるころは、地球のうら側の人とももっとかんたんにやりとりできるようになっているでしょう。話ができれば世界の人と仲良くなれます。だから英語を勉強してほしいと思います。世界地図って、日本から見たものと他の国から見たものではちがうんですよ。同じように視点してんがちがう人同士がわかり合うために、言葉は大事です。
プロフィール
大阪府生まれ。高校卒業後、父親が営む設備工事の会社を経て独立。2004年、省エネルギーで安全な製品を製造・販売はんばいする会社、コドモエナジーを設立し、「ルナウェア」で2012年「ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」を受賞。2014年に福島県双葉郡ふたばぐん川内村で工場を稼働かどうし、古民家再生にも取り組む。
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