サステナブルなお仕事No.19

サファリガイド

太田おおたゆかさん


サファリガイド

太田おおたゆかさん

野生の王国アフリカで

自然と人をつなぎ、動物を守る
アフリカは野生動物の王国! でも、地球温暖化おんだんかで増えるかんばつ、お金もうけのための密猟みつりょうなどで、多くの動物が苦しんでいるんだ。日本人女性でただ一人、南アフリカ政府公認こうにんのサファリガイドの資格を持つ太田ゆかさんは、野生動物を守りたいという想いをむね活躍かつやくしているよ。

↓さらにくわしいインタビュー↓

Q1.
どんなお仕事クエッ?
南アフリカ共和国のサバンナ※で、サファリガイドをしています。わたしがいるのはクルーガーというエリア。ライオンやバッファロー、アフリカゾウやシマウマ、キリンなど、多種多様な動物がくらしていて、全ての生き物が役割やくわりを持ち、絶妙ぜつみょうなバランスでつながることで生態系せいたいけいが保たれています。

例えば、ゾウはあまり消化効率がよくないためウンチにたくさん栄養分が残っていて、そのウンチが他の動物の食料になります。全てのことに理由があり、つながっているのです。

サファリガイドの仕事は、お客さんをサファリカーなどに乗せ、野生動物をさがして見せるのが基本ですが、ただ見せるのではありません。生態系の中での役割や、野生動物を守らなければいけない理由も伝えます。テーマは人と自然をつなぐことです。

最近取り組んでいるのはバーチャルサファリ。動物をさがす様子をオンラインで日本へ生中継ちゅうけいするサービスで、チャット機能などで質問に答えることも可能です。コロナをきっかけに始めたのですが、これまで限られた人しかできなかったサバンナ体験が気軽にできるようになり、病院、学校、老人ホームの人たちにも楽しんでもらえました。

ガイドの仕事と並行して、サイなど野生動物の保護活動も続けているのですが、支援しえんしてくれた人に、活動の様子をリアルタイムで見てもらう試みにもチャレンジしています。日本とアフリカの距離きょりをこえ、地球温暖化や密猟の問題をリアルに感じて考えてもらえる機会として、今後も続けていきます。


乾季かんき雨季うきがある
熱帯・亜熱帯あねったい地方にある草原。サバナともいう。
太田さんは、アフリカ大陸最南端の南アフリカ共和国で政府公認のサファリガイドとして活躍している。🄫YukaonSafari: One Planet Café
太田さんは、アフリカ大陸最南端さいなんたんの南アフリカ共和国で
政府公認のサファリガイドとして活躍している。
©YukaonSafari
クルーガーは四国ほどの広さの国立公園を中心にした動物保護区で、147種のほにゅう類をはじめ、さまざまな野生動物がくらしている。🄫YukaonSafari: One Planet Café
クルーガーは四国ほどの広さの国立公園を中心にした動物保護区で、
147種のほにゅう類をはじめ、
さまざまな野生動物がくらしている。©YukaonSafari
クルーガー国立公園
サイの保護活動の様子。サイの角は高く売れるため、密猟者に命を狙われやすい。そこで、南アフリカでは、安全な方法で角を切ることでサイの命を密猟者から守っている。ちなみに、角は髪や爪と同じで切ってもいたくない。このサイも角を切り、もともといた自然の中へ放した。©️Mike Kendrik: One Planet Café
サイの保護活動の様子。サイの角は高く売れるため、密猟者に命を狙われやすい。そこで、南アフリカでは、安全な方法で角を切ることでサイの命を密猟者から守っている。ちなみに、角はかみつめと同じで切ってもいたくない。このサイも角を切り、もともといた自然の中へ放した。©Mike Kendrik
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
小さいころから動物が大好きで、動物を守る仕事をするのが夢でした。

きっかけは、大学2年生の時に参加した、アフリカ・ボツワナでのサバンナ保全プロジェクトのボランティア。野生動物の世界が広がるアフリカに魅了みりょうされ、この時にサファリガイドという仕事を知ったのです。

次の年、大学を休学して南アフリカのサファリガイドの訓練学校に入学。英語の授業は大変でしたが、仲間の助けを得て1年で卒業し、サファリガイドの資格を取得しました。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
毒グモにさされたこともありますし、毒ヘビも身近にいる環境です。とはいえ動物に囲まれる日々が幸せで、苦労と思うことはありません。ただ、停電が多いのはこまります。最近も数か月間、ほとんどが停電で、ポンプが止まって水道も使えませんでした。

感動はたくさんあります。サファリガイドになって間もないころのこと。サイの足下にイボイノシシがいるように見え、双眼鏡そうがんきょうで見たら、生まれたばかりのサイの赤ちゃんでした。なかなか会えない新しい命のたん生に出会え、感動しました。

サイの保護活動を実現できたのは、アフリカ生活の中でも格別のこと。サイの角は東南アジアで高く売れるため、密猟はアジア人のせいというイメージがあり、わたしもそういう目で見られることが少なくありません。それが、日本からの支援でサイを守ることに貢献こうけんでき、現地の人に知ってもらえたのです。うれしかったですね。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
とにかく動物好きな子でした。母が動物好きだったので、常に動物が家にいて、テレビで観るのも動物関係ばかり。山火事からコアラを助ける映像えいぞうを見て、自分もやってみようと、公園の木とコアラのぬいぐるみで練習したこともあります。

外で遊ぶことが多く、近くの田んぼでつかまえたオタマジャクシをカエルに育ててから返すといったこともよくしていましたね。

おやつはチョコレートやクッキーが好きでした。あまいものは今も好物で、里帰りした時は日本のお菓子を買いこんでいきます。
Q5.
未来の大人たちへ
行動することが大切です。色々なことに挑戦ちょうせんし、好きなことをつきつめていく中で、未来に続くきっかけにきっと出会えます。やりたいことの場が海外なら英語は必要なので、準備をしておくといいですよ。

それから、知ることが大切です。環境保護のために何をすればいいかとよく聞かれるのですが、色々な問題が複雑にからみ合っており、かんたんな答えはありません。まずは現状を知り、なぜこうなったのか考える。すると見方が変わり、行動や状況じょうきょうを変えていけるはずです。
プロフィール
アメリカ・ロサンゼルス生まれ、神奈川県育ち。大学生の時に南アフリカ政府公認のサファリガイドの資格を取得し、2016年からガイドとして活動する。同時に野生動物の保護活動にも参加。サバンナの現状を広く伝えようと、SNSでも情報を発信中。
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