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横浜F・マリノスあぐのむ選手 トレーニング密着取材 後編

2020/03/04

「RAGE Shadowverse Pro League 19-20 2nd Season」のリーグ戦を一位で通過した「横浜F・マリノス」。キャプテンとしてチームを支え、自身もキャリアハイの成績を残したあぐのむ選手は、躍進の要因に「トレーニングラボ」での取り組みを挙げました。

一見すると繋がりがないように思える、カードゲーム「Shadowverse」とトレーニング。プロシーンで戦っていく上で、何が勝敗を分けたのか。あぐのむ選手とトレーニングラボの牧野トレーナーからお話を伺いました。

前編はこちらから
横浜F・マリノスあぐのむ選手 トレーニング密着取材 前編

――「Shadowverse(シャドウバース)」をプレイするうえで、トレーニングによって「以前よりも何手先まで読めるようになった」などの変化はあるのでしょうか。

あぐのむ選手:さすがにそういった変化はないですね(笑)。トレーニングは、日々の練習をするうえでのコンディションを良くするものなんです。

毎日何時間も練習をしているので、どうしても体が疲れきってしまうんですね。そんななかで体が疲れにくくなると、練習の効率が上がっていきます。

――長時間にわたるゲームの練習は、トレーニングをしなくてもできる。ただ、トレーニングをすることで練習の質に明確な差が出ると。


あぐのむ選手:練習の質を比較することは難しいので、自分だけで黙々と練習をしていては違いに気付けなかったと思います。トレーニングラボで教えてもらったストレッチを毎日続けていくことで、体調面も良くなっていると感じていますね。

――「RAGE Shadowverse Pro League 19-20 2nd Season」では複数のデッキを扱えるようになる必要が出てきたため、練習時間が以前よりも増えたそうですね。

あぐのむ選手:そうですね。あとプロリーグでは、カードへの調整が入ってからすぐに本番ということも多いので、短期間でどれだけ詰め込めるかも求められます。

――昨年のある試合では、プロリーグの直前にカードの調整が入ったため、選手たちはほとんど寝ないで試合に臨むこともあったとか。

あぐのむ選手:調整が試合の2、3日前に入ったことがありました。たった1枚のカードが調整されるだけで環境全体が変わってしまうので、本番までに変化を探る必要があったんです。

――プロとして戦っていく上では、様々な状況に対応するための練習が大切で、それに耐えられる体が必要というわけですね。


あぐのむ選手:間違いないですね。プロシーンで試合をしていて一番大切だと感じるのは、練習の質です。本番も練習の成果が出るかが勝敗に直結にしていると思います。トレーニングによって練習の質が上がっていると実感できているので、すごく助かっています。

――とくに「Shadowverse」のプロリーグは毎週試合が行われるので、疲労が溜まりやすい環境だと思います。

あぐのむ選手:常に練習もしていますので、疲労は溜まりますね。そんななかだと、意識しないと体を動かすこともないですし。

牧野トレーナー:eスポーツはトレーニングをしなくても、試合中に体力が尽きるということはないですからね。運動をする文化にもなりにくいでしょう。

――一般的に、軽い運動をすると新たな発想が生まれやすいと言われますが、運動中に新たなデッキの構築などを思いつくことはありますか。

あぐのむ選手:新しいことを考えたいときは、ストレッチをします。ずっと椅子に座って考え込むよりも、思考がすごくクリアになるので。
発想力は試合中も欠かせないですし、本番前にも軽い運動をするようにしています。

――実際に本番前に体を動かすことで、緊張で強張った体がほぐれるなどの効果はあるのでしょうか。

牧野トレーナー:緊張によって思考が止まるタイプの人は、体を動かして血流を活性化させることで頭が働きだすと思いますね。

ただ、緊張で体に力が入らなくなるタイプの人もいるので、それぞれ対処法は違います。

――スポーツでは緊張で頭が真っ白になっても、体に染み込ませた動きで反射的に対応できる場面があります。しかしカードゲームにおいては、そうはいきませんよね。

あぐのむ選手:緊張で思考が止まった瞬間に、試合の勝敗が決まることもあります。その点でトレーニングを取り入れた今季は、緊張しにくくなって初めてシーズン勝ち越しを達成できたんです。

――あぐのむ選手は前の大会「18-19 2nd Season」「19-20 1st Season」と思うような成績を残せなかったようですが、明確な変化ですね。

あぐのむ選手:ちょうど「19-20 2nd Season」が始まる前に、トレーニングラボでお世話になり始めたので、成果が出ているのだと思います。勝ち越しで終われましたし、自分で言うのもなんですが良いプレイもできました。今季は以前と比べて、気持ちよくシーズンを終えれたと感じています。

――具体的に、「Shadowverse」における「良いプレイ」というのはどのようなものなのでしょう。


あぐのむ選手:パッと手なりでプレイしていては思いつかない選択肢が見えるようになりました。

また、「Shadowverse」は「リスク・リターン」を常に問われるんですね。今までは、緊張のせいで「リスクは大きいけど、リターンも大きい動き」に踏み切れなかったんですが、今季は思い切った選択を通して勝ちに繋げることができました。

――「Shadowverse」は「思い切って攻めなければ負ける」とよく言いますものね。

あぐのむ選手:守ってもほとんど勝てないですね。今季はとくに「攻めれば僅かな確率で勝ちに繋げられる」という場面で、勝ちに繋がる選択をすることができました。

――牧野トレーナーは、世界の第一線で活躍するプロアスリートを指導されています。やはりトレーニングによって自信を持ち、本番の緊張を解消することはよくあるのでしょうか。

牧野トレーナー:メンタル面への作用は確実にあると思いますね。「ここまで練習をしてきたから、もう大丈夫」と本番に臨む選手は実際にいます。

――あぐのむ選手もカードゲームという身体的な優劣を問わない種目ではありますが、違いを体感されているのでしょうか。

あぐのむ選手:自信はつきましたね。トレーニングはメンタル面に関わってくると実感しました。

――あぐのむ選手といえば、「瞑想」などのメンタルトレーニングに取り組むイメージが定着しています。身体的なトレーニングによるメンタルへの作用は、大きな収穫ではないですか。

あぐのむ選手:自分はメンタルが原因で負けることが多かったので「なんとかしなければ」とメンタルトレーニングの勉強を始めたのですが、そのなかでも「運動」は重要だとよく出ていました。

――もともと身体的なトレーニングにも関心があったわけですね。

あぐのむ選手:ちょうど関心を持ったタイミングで、トレーニングラボでの取り組みが決まりました。しかも牧野さんのような一流のトレーナーに指導してもらえるわけですから、こんなに嬉しいことはありません。

――まだまだeスポーツ選手のなかでも、トレーニングへの関心を持つ選手は少ないと思います。あぐのむ選手のように率先して参加する方は貴重ですね。

牧野トレーナー:実は今回の取り組みを始めるにあたり、かなりの人数の選手と会ってお話をさせてもらっているんです。今回の取り組みは「運動の良さ」を普及する目的もあるので、モチベーションが高い選手とスタートしたいという思いがありました。

――実際に短期間で、あぐのむ選手の成績が向上するという成果が出た。これは驚きです。

牧野トレーナー:僕もいきなり成果が出るとは思っていなかったので、嬉しい誤算ですね。

――今後のトレーニングですが、ここからは本格的な体作りに入っていくのでしょうか。

牧野トレーナー:シーズンが落ち着いたので、下地作りから「強化」に入っていきます。見た目から相手のメンタル面を圧倒できるといいですね(笑)。

――「eスポーツメディアあるある」で、eスポーツ選手は姿勢が悪いせいで立ち姿の写真が決まらないという問題があったりします(笑)。

あぐのむ選手:僕たちのユニフォームも本家に劣らずかっこいいんですが、体が貧相なせいで着こなせていないんですよね。そこは僕も気にしているところではあります(笑)。

――プロである以上、見た目は重要な問題ですよね。あぐのむ選手は手足が長くてスタイルが良いので、今後が楽しみです。

牧野トレーナー:プロはファンがいないと成り立たないですからね。

あぐのむ選手:やはり「かっこいい」と思ってもらえる選手になるべき世界だと思っています。

著者・砂拭