研究成果 パセノール™

1.パセノール™(パセノール™)とは

(パセノール™)とは、森永製菓が食品素材の研究を広く進めた結果、独自に開発に成功したパッションフルーツ種子エキス (passion fruit seed polyphenol) です。ポリフェノールであるピセアタンノール (piceatannol) やその二量体であるスキルプシンB (scirpusin B) を多く含んでいます。森永製菓は世界で初めてパッションフルーツ種子の中にピセアタンノールが豊富に含まれていることを発見 (下図参考) し、ピセアタンノールを高い濃度で抽出することに成功しました。この新しいエキスが皆様の健康に役立てるように、その誕生に想いを込めて“パセノール™”と名前をつけました。

2.パッションフルーツとは

パッションフルーツは南米原産のフルーツで、代表的な品種としてクダモノトケイソウ (Passiflora edulis) があります。果実は直径5〜8cmのやや楕円形をしており、右写真のように、厚い果皮の内部に黒色の種子を包む橙黄色の透明ゼリー状の果肉小房が詰まっています。南国風な甘味と酸っぱさがあり、独特の爽やかな芳香があります。日本では鹿児島や沖縄などで見かけることができます。

パッションフルーツは、果実を半割にしてそのまま果肉を種子ごと食べることができます。種子は噛むと簡単にパリパリと割れ、種の歯触りが楽しいフルーツです。生果として食べられるだけでなく、果汁や濃縮したピューレは世界中で広くジュース、キャンディー、ジャムなどで使われています。種子から得られるオイルは化粧品などに利用されています。

また、パッションフルーツには、ナイアシン、葉酸、ビタミンC、クエン酸、カリウム、β-カロテンなどが含まれており、高血圧予防・血管拡張・貧血防止・疲労回復など様々な作用があると言われています。

3.ピセアタンノールとレスベラトロールのサーチュイン活性化

ピセアタンノール、レスベラトロール

パセノール™の主成分であるピセアタンノールは右図のように、アンチエイジング成分として注目されているレスベラトロール (resveratrol) と非常によく似た構造をしています。また、スキルプシンBは、ピセアタンノールが2個つながった構造をしており、強力な抗酸化活性を持っています。

レスベラトロールは赤ワインやブドウ中に多く含まれており、長寿に関わる因子として注目されている脱アセチル化酵素の一種であるサーチュインの活性化やフレンチパラドックス (フランス人は喫煙率が高く、飽和脂肪酸の多い食事を摂取しているにもかかわらず、冠状動脈性心臓病に罹患することが比較的低いこと) の一因と言われています。

特にサーチュインはカロリー制限により活性化されて、下図のように様々な疾患を改善してアンチエイジング作用を示すことが知られています。カロリー制限をすると寿命延長効果があることは哺乳類を含め様々な種で検証されているので、サーチュインを活性化することでカロリー制限をしなくてもアンチエイジング作用・寿命延長効果が期待できると考えられます。

レスベラトロールのアンチエイジング効果は世界中で研究が盛んに行われており、日本でもNHKでアンチエイジング素材として取り上げられ話題となりました (※) 。

※レスベラトロールの紹介内容 (NHKサイエンスZERO)
・「長寿遺伝子を呼び覚ませ!〜寿命はどこまで伸ばせるか?〜」
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp356.html
・シリーズ最新科学が見つめる生と死 (3) 長寿遺伝子が見つかった!
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp290.html

ピセアタンノールはレスベラトロールと同様な作用が報告されており、その中にはサーチュインの脱アセチル化活性の向上や血管内皮機能の改善でピセアタンノールの方がレスベラトロールよりも効果が高いという報告 (Frombaumら FreeRadicalResearch (2011) 45, 3, 293-302, Kahyoら J Pharmacol Sci (2008) 108, 364-371) もあります。

森永製菓では、ピセアタンノールが生理機能においてレスベラトロールよりも優れた作用を持つ可能性が高いと考え、パセノール™に含まれるピセアタンノールやその二量体であるスキルプシンBのアンチエイジング素材としての基礎研究や応用研究を積極的に行っています。

パセノール™(パセノール™)のアンチエイジング効果

4−1. 血管への作用

ピセアタンノール(パセノール™主成分)の作用

動脈血管はスムーズな血流を維持するために、しなやかに拡張・収縮しなければなりません。しかし老化や食生活の乱れは血管を硬くし、動脈硬化、虚血性心疾患など心血管疾患を引き起こします。血管の拡張・収縮は筋肉である血管平滑筋の作用ですが、その平滑筋に指令を出す血管内皮細胞の働きが重要です。NO (一酸化窒素) には血管の拡張や保護作用が知られています。
レスベラトロールは心血管疾患に対する保護作用が報告されています。そこでパセノール™およびその主成分であるピセアタンノールまたはスキルプシンBの血管への作用を検討しました。

(1)NO産生による血管拡張作用 (ex vivo) :山形大学との共同研究

ラットの血管に対するパセノール™、ピセアタンノールまたはスキルプシンBの作用を評価しました。その結果、パセノール™、ピセアタンノールまたはスキルプシンBによって、血管は拡張しました。更に検討した結果、血管内皮細胞に作用し、NO (一酸化窒素) 産生を促進することで血管を拡張させていることが分かりました。パセノール™、ピセアタンノールまたはスキルプシンBはNOを介して血管を拡張させることから、心血管疾患の予防が期待できると考えられます。

Sanoら (MORINAGA & CO.,LTD.) J. Agric.Food Chem. (2011) 59, 6209-6213

(2)eNOS増強作用 (in vitro)

レスベラトロールは内皮細胞でNO産生酵素であるeNOS (endothelial nitric oxide synthase) の発現を促進することが知られています。そこでパセノール™の主成分であるピセアタンノールがeNOS発現へ及ぼす影響を検討しました。血管内皮細胞において、ピセアタンノールはeNOSおよびリン酸化eNOS (eNOSの活性型) の発現量を増加させました。またその作用はレスベラトロールより強いことが分かりました。老化に伴う血管機能の低下にはeNOSの機能低下が関与していることが知られていることから、ピセアタンノールはレスベラトロールに比べ血管機能をより改善する作用があると考えられます。

Kinoshita&Kawakamiら (MORINAGA & CO.,LTD.) Biochem.Biophys.Res.Commun (2013) 430, 1164-1168

ピセアタンノール(パセノール™主成分)の作用

4−2. 肌への作用

肌は体の一番外側で多くの刺激に曝されています。紫外線・老化によるシミやしわ、たるみといった肌の変化は見た目年齢に大きく関わっています。パセノール™の主成分であるピセアタンノールまたはスキルプシンBの肌へのアンチエイジング作用をメラノサイト (色素細胞) 、線維芽細胞、角化細胞それぞれで検討しました。

(1)メラノサイトへの作用:弘前大学との共同研究

パセノール™の主成分であるピセアタンノールのメラニン産生に対する影響を検討しました。メラニン産生細胞において、ピセアタンノールは濃度依存的にメラニン合成量を低下させ、その効果はレスベラトロールよりも強いことがわかりました。メラニンは主に紫外線の刺激により産生され、シミの原因となります。ピセアタンノールはメラニンの合成を抑制することでシミの形成を抑える可能性が示されました。

(2)線維芽細胞への作用:弘前大学との共同研究

パセノール™の主成分であるピセアタンノールの真皮でのコラーゲン産生に対する影響を検討しました。真皮線維芽細胞において、ピセアタンノールは濃度依存的にコラーゲン産生量を増加させ、その効果がレスベラトロールよりも強いことがわかりました。コラーゲンは真皮層で肌に弾力やはりを与えており、加齢によりその量が低下することが知られています。ピセアタンノールはコラーゲンの産生を促進するので肌のたるみ、しわなどの老化を抑える可能性が示されました。

Matsuiら (MORINAGA & CO.,LTD.) J. Agric.Food Chem. (2010) 58, 11112-11118

(3)角化細胞への作用:東京工科大学との共同研究

パセノール™の主成分であるピセアタンノールやスキルプシンBの皮膚表面の角化細胞に対する影響を検討しました。角化細胞において、ピセアタンノールやスキルプシンBは抗酸化物質であるグルタチオン (glutathione, GSH) の量を増加させました。またUV刺激で上昇した活性酸素はピセアタンノールにより抑制されました。次に角化細胞が線維芽細胞に与える影響を検討しました。線維芽細胞をUV刺激後の角化細胞培養液で培養すると、線維芽細胞のコラーゲン分解酵素活性は上昇しますが、ピセアタンノールを角化細胞に作用させることで線維芽細胞コラーゲン分解酵素活性は抑制されました。ピセアタンノールはUV刺激による活性酸素を抑制し、間接的に線維芽細胞でのコラーゲン分解を抑制したことから、光老化による肌のたるみ、しわを抑える可能性が示されました。

Uchidaら (MORINAGA & CO.,LTD.) Biol. Pharm. Bull. (2013) 36, 1-5

4−3. ヒトへの作用

ピセアタンノールやスキルプシンBといった成分を多く含むパセノール™により、ヒトでも血管や肌などでのアンチエイジング効果が期待できると考え、ヒトが摂取した場合の効果をパセノール™を配合したタブレットや飲料で検討しました。

(1)パセノール™の血管への効果

健常人19名に対しパセノール™ (ピセアタンノール60mg含有) の効果試験を行いました。28日間パセノール™摂取により、血管老化度合の指標である加速度脈波の改善傾向が見られました。また、肩こりや冷えといった血液の循環が関係する自覚症状の改善傾向が見られました。パセノール™摂取により、ヒトでも血管老化の抑制が期待できると考えられます。

(2)パセノール™の肌への効果:東京工科大学との共同研究

健常人で疲労感を感じるヒトおよび肌のシミ、しわ、たるみ、乾燥、くすみが気になるヒト24名に対しパセノール™ (ピセアタンノール10mg含有) を配合したドリンクまたはタブレットの効果試験を行いました。飲用前、摂取1カ月後、2カ月後に肌のたるみ、はり (のびや粘弾性)、メラニン量、明るさについて測定装置をもちいて評価を行いました。その結果、パセノール™を配合したドリンクまたはタブレットを摂取することで継時的に口もとのたるみが改善されていました。また肌のはりも改善が見られました。更にメラニン値や透明感でも改善が見られました。アンケートにより主観的な疲労感、肌質を評価しましたが、下図のように摂取したヒトの8割以上で改善が見られました。このことからパセノール™を配合したドリンクまたはタブレットを継続して摂取することで、客観的な測定値においても、主観的な評価においても、はり、たるみ、透明感など肌の状態が改善していることが示されました。

ドリンク摂取2ヶ月後のアンケート
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