8月に更新したコラムでは、タンパク質の適切な推奨量を知るために、食事摂取基準2015をご紹介しました。
これによると、例えば18~29歳の男性の推奨量は60gとされています。60gが実際にどれくらいの量なのかも8月に触れましたので、確認したい方は「こちら」をご覧ください。
それでは、筋力をUPさせたり、パワーを向上させるために自分に必要なタンパク質を多めに摂った場合、身体はどのような反応を起こすでしょうか・・・?パフォーマンスUPのためにはたくさん摂った方が良い!と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、タンパク質は決して多めに摂ればいいという栄養素ではないことを、是非これを機に知っていただきたいと思います。
上の図はタンパク質を必要以上にたくさん摂った場合と、自分に適した量を摂った場合の違いを簡単に表したものです。
摂取したタンパク質は過剰に摂れば、その分消化され、吸収されるのに負担がかかります。
それでも体内では、タンパク質が合成されて、そして分解されて常に新しいものにつくりかえられています(新陳代謝)。つまり、体内ではタンパク質が常にある一定量が保たれていることになります(アミノ酸プール)が、もちろん過剰に摂ればそれはプールや浴槽と一緒であふれ出てしまいます。
あふれ出たタンパク質は、脂肪として蓄えられる分もあれば、アンモニアや尿素をたくさん作りだしてしまい、肝臓や腎臓に負担をかける恐れがあります。
一方で適正に摂られた量に関しては、スムーズに吸収され、アミノ酸プールからも溢れ出すことなく、新陳代謝に使われたり、負担が少なく排泄されたりという過程を辿ります。
つまり、如何に自分にとって適切な量を把握して食べることが出来るかということが大切だということが改めてわかると思います。
★効果的なトレーニングは食事が大事。効果的な栄養補給のスタートは自分の食事を知ることから!
タンパク質の必要量は運動量だけでなく、運動によるストレスや性差、年齢、身体の大きさ等によって大きく変わります。
つまり自分のそういった変化を理解していなければ、本当に必要な量を考えることは難しいということです。
まず、「タンパク質や食事をどれくらい摂ればいいか?」と考える前に、「自分の身体はどんな変化を起こしているか?」。そんな質問を投げかけてみてはいかがでしょうか?
その上で、あらためてこちらの記事をご覧ください。
この記事では、“運動時の体重1kgあたりのタンパク質必要摂取量”がトレーニング内容別に紹介されていますので参考にしてみましょう。
自分の身体の変化を察知し、それに見合ったタンパク質量の目安がわかれば、最後はそれを食事としてどのように摂取するかです。
トレーニング中のエネルギー源は主に糖質と脂質です。
トレーニング強度が上がるほど、脂質から糖質への依存に変化していきます。この時、食事からの脂質や糖質の不足がおきていると、体のタンパク質をエネルギー源として利用せざるを得ない状態になります。
特に減量時などの食事をコントロールする時期は、過剰に糖質と脂質を控えすぎることのないよう注意が必要です。
三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)のバランスについてはこちらの記事を参考にしてください。
★エネルギー産生栄養素とは?エネルギー産生栄養素の基本、理想の
トレーニング後のすぐの補食は“リカバリー食”として注目されています。トレーニング直後にタンパク質摂取を行うことで筋タンパク質の合成を高め、糖質を一緒に補給することで枯渇したグリコーゲンの再貯蔵につながります。
次のトレーニングや試合までにコンディションを整え、トレーニングの質を上げ、パフォーマンスの向上に結び付けるために大切な食事(補食)といえるでしょう。
トレーニング直後にタンパク質10g前後を摂取することで体タンパク質と筋タンパク質の合成を良くすることが報告されています。
ただ、タンパク質20gで筋たんぱく質合成速度は頭打ちとなる結果※1もあるため、タンパク質を多めに摂ればいいというわけではないことがわかります。
※1 Moore DR et al. Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. Am J Clin Nutr. 89(1), 2009, pp.161-168.
一方で、最近のレビュー※2ではタンパク質20g-25gを頻回に分けて補給することが良いということも報告されています。
※2 Lindsay SM, Oliver CW. New insights i n t o p r o t e i n r e c o m m e n d a t i o n s f o r promoting muscle hypertrophy. The Sport and Exercise Scientist . 41: 8-10. 2014.
常に多くの情報がアップデートされていますので、正しい情報を見極めることもとても大切になってきます。
トレーニング後なるべく早くに体重1kgあたり1.0~1.2gの糖質を摂取することで筋グリコーゲン量の回復が早くなる※3と報告されています。
※3 Casey A et al. Effect of carbohydrate ingestion on glycogen resynthesis in human liver and skeletal muscle, measured by(13)C MRS. An J Physiol Endocrinol Metab. 278(1), 2000, E65-75
タンパク質や糖質をリカバリー食として摂取するとき、いかに早く手間をかけずに補給できるかということも重要なため、プロテインを活用することも方法の一つとして考えられます。
inゼリープロテイン15gは、タンパク質15gを摂取でき非常に便利です。
糖質も10g含んでおり、リカバリーやカラダづくりのために両方を一緒に補給することができます。
目的に合った正しい栄養補給の方法を学んだ上で、パフォーマンスの向上に挑んでいただければと思います。