日本人の食事摂取基準において、タンパク質の必要量の基準は「1日〇g」と1日量で明示されています。
普通に食事をしていると、時間のない朝食ではあまり摂ることができずに、ゆっくり食べることができる夕食では多くなる傾向があるのではないでしょうか。
しかし、朝こそタンパク質をしっかりと摂取することに意外な影響があることをご存知ですか?
Mamerowらの研究によると、夕食に偏ってタンパク質を摂るよりも、朝食・昼食・夕食や間食などを含めて、均等にタンパク質を摂る方が、筋タンパク質の合成をより高めることができると報告されています(参考:Mamerow MM, et al. J Nutr. 2014;144(6): 876–880)。
つまり、1日のタンパク質必要量として基準が示されていますが、そのタンパク質量が足りていても、偏って食べてしまっては、均等に分けてタンパク質を摂るよりも、効率的に筋肉を合成できていないということが考えられます。
タンパク質が不足しがちな朝食や昼食にもしっかりと均等に摂ることによって、筋肉の合成に対して良い影響を得ることができると言えます。
実は、朝にタンパク質を摂ることで、もう一つ身体に嬉しいことがあります。
肉や魚、卵、乳製品、大豆製品といったタンパク質源が豊富な食材にはトリプトファンというアミノ酸が入っています。
このトリプトファンは、体内でセロトニンやメラトニンに変換され、体内時計を調整したり、ストレスを和らげるなどの働きがあるといわれています。
したがって、トリプトファンを食べる習慣をつけることで体内時計がきっちり調節され、目覚めの良い朝をサポートしてくれる可能性が考えられます。
朝食にタンパク質をしっかりとることで、トリプトファンをチャージでき、筋肉にも、睡眠にも、心理的にも良い影響があるのかもしれませんね。
では、一般的にイメージしやすい朝食メニューにはタンパク質はどのくらい含まれているのでしょうか。タイプ別にエネルギー量と栄養素量の目安をご紹介します。
【和定食タイプA】
ごはん1膳、焼鮭、味噌汁、ほうれん草のお浸し
エネルギー420kcal/タンパク質23g/脂質5g/炭水化物66g
【和定食タイプB】
ごはん1膳、納豆、味噌汁、ひじき煮
エネルギー520kal/タンパク質14g/脂質15g/炭水化物80g
【洋定食タイプ】
食パン1枚、いちごジャム、ハムエッグ、コールスローサラダ、牛乳
エネルギー680kal/タンパク質25g/脂質36g/炭水化物60g
【シリアルの牛乳かけ】
コーンフレーク、牛乳
エネルギー350kal/タンパク質13g/脂質12g/炭水化物48g
【バナナと牛乳】
バナナ、牛乳
エネルギー210kal/タンパク質8g/脂質8g/炭水化物30g
魚や卵がメインの朝食であればタンパク質を25g程度補うことができます。例えば、1日のタンパク質必要量が75gの場合、ちょうど3分の1を摂取したことになります。
1日100g程度のタンパク質を必要とする人は、朝食のタンパク質量が昼食や夕食よりも少なめになると考えると、魚や卵を主菜としたよくある朝食メニューが理想的と考えられます。
納豆を主菜とする場合はタンパク質が不足しがちですので、冷奴などもう一品を加えるとエネルギーを抑えながらもしっかりとタンパク質を補うことができます。
シリアルやバナナに牛乳をプラスする朝食ではタンパク質が10g前後です。
朝食を欠食していた人がまず始めるメニューとしては良いと思いますが、トレーニングをしている人ではタンパク質が足りないと言えるでしょう。
朝食に時間を割けない場合は、プロテインパウダーなどを用いて手軽に摂取してみるのも一つの選択肢かと思います。
焼き鮭やハムエッグなど魚や卵を料理する時間が取れない場合でも、手軽に朝こそタンパク質を補いたいものです。
簡単に使える食材としては、チーズ、魚の缶詰がおすすめです。これらを使った簡単な朝食レシピを紹介します。
<ツナチーズトースト>
食材(1人分)
食パン 1枚
とろけるチーズ 1枚
ツナ水煮 40g
マヨネーズ 小さじ1
ブラックペッパー 少々
作り方
エネルギー282kal/タンパク質17g/脂質11g/炭水化物29g
コメント
・チーズやマヨネーズで脂質を補えるので、ツナは低脂質な水煮缶を使いましょう。
<さんまの蒲焼でおにぎらず>
食材(1人分)
ごはん 160g
サンマの蒲焼缶 1/2缶
梅干し 1/2個
焼のり 大1枚
作り方
エネルギー392kal/タンパク質14g/脂質7g/炭水化物68g
コメント
・味付けは缶詰を使うので手間がかかりません。
・さらにタンパク質を補いたい場合は、梅干しの代わりに炒り卵を加えても美味しいです。
魚の缶詰は手軽に魚を食べられること、栄養が豊富なことなどから人気があり、種類も豊富ですので、使いやすいです。サバのカレー煮やトマト煮、あじの南蛮漬けなどもスーパーで手に入ります。
ただし、塩分が多い商品や、油を多く使っている商品がありますので、利用頻度や摂取量に注意しましょう。水煮缶を好みの調味料で味付けすると、塩分や脂質をコントロールしやすくなります。
朝食でなかなかタンパク質を摂りにくい!という場合には、手軽に摂れるinバープロテインや、飲み物にプロテインをプラスして補ってみることも方法の一つ。
ぜひ、朝こそタンパク質を摂る習慣を目指してみましょう!