みなさん、自分が食べている食事に、どれくらいの栄養素が含まれているか知っていますか・・・?
多くの人が「わからない」と答えるのではないでしょうか。
【ある選手の食事】
「競技力向上のために食事が大切だ」と言われてその認識は広まっていると思いますが、「どんな食事が競技力に結び付くのか」は、自分が食べている食事が、必要なエネルギーや栄養素を満たしているかどうかを確認しなければわからないと思います。
そこで、実施するのが「食事調査」です。
食事調査はスポーツ栄養士や管理栄養士が、対象者の指導を行うに辺り必ずと言っていいほど実施する専門的なアプローチです。
スポーツ栄養士や管理栄養士はなぜ選手に対して食事調査を行うのでしょうか?
① 栄養補給量を確認するため
② 食事が、健康状態や競技パフォーマンスに対して関連しているかを確認するため
③ 栄養指導や教育、介入が効果的であったか評価するため
④ パフォーマンスや代謝レベルなどに応じて異なる栄養指導を行った効果を評価するため
⑤ トレーニング期間や強度等に応じて、栄養補給が影響しているかどうかを評価するため
参考:LOUISE BURKE ,VICKI DEAKIN. CLINICAL SPORTS NUTRITION 5TH EDITION pp27-31,2015
これらを踏まえると、主に「評価」や「確認する」といった目的が見受けられます。
一般の人とアスリートで何が大きく異なるかというと、やはり練習やトレーニングによるエネルギー消費量や栄養素の必要量が増えるため、それが見合っているかどうか評価するというのが大きな目的になります。
自分の経験則で「絶対これくらいの必要量、摂れてるでしょ!」と思いこんで続けていたら、どんどん体重が減っていく・・・
そんな経験ありませんか?
参考 Wansink B et al. Ann intern Med 2006; 145:326-332
この図は注文したメニューの実際のエネルギー量と本人が認識していたエネルギー量の違いを表したものですが、
推定されたエネルギーの平均値:533kcal
に対し、
実際のエネルギーの平均値:784kcal
という結果で現実と認識には大きな差があるということがわかります。
なおかつ、この差はBMIが高い人程、実際に摂取しているエネルギー量を過少評価するということも示されています(下図)。
参考:日本人の食事摂取基準2015年 エネルギー pp45-87
※15%程の過少申告 BMIが高い人ほど過少申告しており、第三者が観察で介入した場合過少申告なし
だからこそ、競技力向上のために練習やトレーニングに励んでいるのであれば、まずは一度でも良いので食事調査を行ってみると良いでしょう。身近にスポーツ栄養士や管理栄養士がいれば、その専門職に依頼をし、もしいないようであれば、様々なウェアラブルデバイスやアプリもできてきています。特に栄養補助食品を検討している選手は、まず食事調査から自分の不足している栄養素を確認しましょう。タンパク質が不足していれば、高タンパク質含有プロテイン等を検討できると思いますし、減量中にビタミンやミネラルが不足している傾向であれば、それらを満たせるようなプロテインも、知ってこそ初めて検討できると思います。
身体やパフォーマンスの変化は、きっと食事の変化も影響している・・・ということは!
その食事がどれくらいのエネルギーで・・・そして必要な栄養素はしっかりと満たされているのか・・・?
是非そこまで確認をしてみてはいかがでしょうか。