日々のトレーニングで疲労が残ると、競技中のパフォーマンスに影響することがあります。
リカバリーを速やかにするには、運動後のエネルギー補給が大切だといわれています。人によっては、エネルギー補給とリカバリーのためにプロテインを活用しているという方もいるかもしれません。
本記事では、リカバリーを速やかにする栄養補給と、プロテインの関係について解説します。
リカバリーという言葉はさまざまな分野で使われているので、耳にしたことがある人が多いかもしれません。スポーツにおけるリカバリーとは、アスリートが疲労状態から元の状態に戻す過程のことを指すことが多いようです。また、この「リカバリー」には、身体的だけではなく心理的にも良好な状態に戻すという意味も含まれているようです。
スポーツにおいてリカバリーが重要視されている理由は、リカバリーが十分に行われないことによって、コンディションの悪化やパフォーマンスの低下に繋がる原因になるからです。このような状態に陥ることによって起こる一つに「オーバートレーニング症候群」と呼ばれる症状があります。
オーバートレーニング症候群とは、過度なトレーニングや練習に対してリカバリーが追いつかなくなってしまい、慢性的に疲労が蓄積してしまう状態のことを呼びます。
特に競技スポーツにおいて、計画的なトレーニングは、競技パフォーマンスの向上に必要不可欠な要素です。一方で、そのトレーニング計画に対して、十分なリカバリーが行われずに継続してトレーニングを続けてしまうことによって、パフォーマンスが低下し、ケガにつながる可能性も高まることが考えられます。
そのため、このようなオーバートレーニング症候群は、早期に発見することが重要だと考えられています。
競技やトレーニングの内容によって差はありますが、トレーニング後の体はエネルギーを消費している状態です。
運動中の主なエネルギー源は、血液中のグルコース、筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンと考えられています。グルコースとグリコーゲンを消費すると、パフォーマンスの低下や疲労感を強く感じることにつながります。
蓄積できるグリコーゲンの量は限られているため、持久系の競技によってはグリコーゲンを使い切り、不足してしまうことも考えられます。
例えば、全身を使う強度の高い水泳の試合では、1日に複数の種目を行うことも少なくありません。1種目でグリコーゲンが不足してしまうことによって、十分な力を発揮できない可能性があります。そのため、水泳選手は1種目の合間に炭水化物を含む食べ物などを補食などとして食べることによって、エネルギーを補給したりしています。
このように、パフォーマンスを発揮するために、栄養補給の内容やタイミングにも注目してみることも大切です。
タンパク質を含む食べ物の種類には、肉類、魚介類、乳製品、大豆製品、卵などがあります。筋肉や血液など体をつくる組織の材料となるため、タンパク質摂取とリカバリーには関係があると考えられています。
トレーニングで筋肉を使い、運動することによって、多少なりとも筋肉は分解されます。分解された筋肉をできる限り素早くリカバリーさせるためには、分解された分のタンパク質と消費されたグリコーゲンを素早く補給する必要があります。
また、タンパク質は運動後だけではなく、1日を通してこまめに補給することもリカバリーには重要だと考えられています。リカバリーとタンパク質には、このような関係性があるということを理解して、補給の計画を考えることが重要でしょう。
タンパク質の補給には、タンパク質の「質」を意識しましょう。タンパク質の質を評価する指標にアミノ酸スコアがあります。ヒトの体で合成できない必須アミノ酸の充足率を表しているのがアミノ酸スコアです。
アミノ酸スコアとは?計算方法、主な食品のアミノ酸スコア例を紹介
アミノ酸スコアが100に近い食品が必須アミノ酸の充足率が高いと言えます。
例えば、豚肉、アジ、牛乳、卵などがあります。このような食品を取り入れた食事から良質なタンパク質を摂取することが基本になりますが、補うのが難しい場合はプロテインなど栄養補助食品を活用するのも選択肢の1つです。
粉末のプロテインやゼリー飲料などは、タンパク質を手軽に補給できる栄養食品です。リカバリーを目的としてプロテインを摂っている人もいるでしょう。しかし、リカバリーのためにはタンパク質のみでは栄養素が足りないことをご存知でしょうか?
先述したように、リカバリーを速やかに行うには、プロテインをはじめとするタンパク質のほかに炭水化物も重要です。
また、炭水化物だけではなくそのほかにも合わせて摂取したい栄養素があります。
ごはん、パン、麺類、いも類などの食べ物に多く含まれています。グルコースやグリコーゲンとして、エネルギー源となります。
血中のグルコース、筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンが消費されると、筋タンパク質の分解がおこりやすくなると考えらえています。
グリコーゲンの再補充のためには、炭水化物の補給が必要です。競技や体格、トレーニング内容などによって必要な炭水化物やタンパク質は異なりますので、適切な量を摂取しましょう。
ビタミンやミネラルは、体の調子を整える栄養素です。代謝の補酵素として関わったり、骨形成に必要であったりなど、種類によってさまざまな働きがあります。多くの種類の食べ物に含まれていますが、主に野菜、果物、海藻類、きのこ類に多く含まれています。
エネルギーを消費する運動では、ビタミンやミネラルも必要となります。そのため、アスリートの摂取量は一般的な量よりも多めに摂ることを検討した方がよいかもしれません。ビタミンについては、ほかの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
筋トレするのにプロテインだけはもったいない?注目したいビタミンの働き
これらを補給するタイミングについては、以下のコラムでも触れていますので、是非ご参考にしてください。
運動後の食事では、炭水化物を多く含む食品を中心に、幅広い栄養素を含むメニューを心がけたいものです。運動量や体重によって摂取する食事量は異なります。食欲がなく、1回の量で食べられない場合は食事を小分けにして食べるという方法も検討すると良いのではないでしょうか。
炭水化物とタンパク質がどちらもしっかりと配合されている、リカバリーを目的につくられたプロテインです。一般的なプロテインには含有量が少ない炭水化物も含まれているので、運動で消費したエネルギーを補給することができます。そのほかに、ビタミンC、ビタミンB群、グルタミンも含まれています。
炭水化物も含む、プロテイン入りのゼリー飲料です。その他にビタミンB群、カルシウムなども含んでいます。ゼリータイプで手軽に飲めることが特徴です。
トレーニングによる疲労を蓄積しないために、炭水化物やタンパク質を含む食品をうまく活用して栄養補給を行いましょう。また、それらを補給するタイミングも大切です。食事や補食、栄養補助食品などそれぞれの特徴を理解し、ご自身のライフスタイルに合った摂り方を考えてみてはいかがでしょうか。