ラグビー選手は体の大きい方が多いですよね。それもそのはず、フィジカルなコンタクトは当たり前、試合中は走りっぱなしの競技のため、筋肉量を増やして体脂肪を落とさなければ、ハードな試合を戦い抜くことができないのです。
そのため、ラグビー選手は、カラダ作りのための「栄養補給」にも非常にこだわっています。
例えば、ラクビーの強豪国として知られる「南アフリカ共和国」では、ラクビー選手に特化したスポーツ栄養のガイドラインとして「PRACTICAL NUTRITION FOR RUGBY」を作成しています。
特に注目したいのが、赤線で囲んだ「タンパク質推奨量」の部分です。
ご覧のとおり、ガイドラインでは体重1kgあたり2~3gのタンパク質を摂ることが望ましい、とされています。
日本では、体重1kgあたり2g以上は摂り過ぎとされていますが、ラグビー選手がいかに大量のタンパク質を必要としているかということが分かりますね。
もっとも、これは南アフリカのラグビー選手の場合で、日本人とは食習慣などが違うため、タンパク質摂取量には違いが出てくる可能性もあります。
しかし、普段から激しいトレーニングを積んでいる人は、より大量のタンパク質が必要だと考えられます。
タンパク質の必要量を食事から摂れているかについては、主菜となるタンパク質を多く含む食品を毎食2品以上食べているかがポイントです。
「肉料理に大豆(豆腐や納豆)料理をプラスする」「魚料理に卵料理をプラスする」といった具合です。
体格の大きいラグビー選手は一品で量を多く摂ることができる人が多いでしょう。
しかし、2品に分けることは、食品数を増やし、多くの栄養素を補い、調理法による脂質過多を防ぐことが容易になります。味が変わることでご飯、パン、麺などの炭水化物の食も進みます。
そして、牛乳を1日500ml以上飲むことも、タンパク質摂取に繋がります。乳製品を使った料理を食べることで飽きることなく補えます。
ラグビーは高強度のスプリント運動や、低・中強度のマラソンのような持久運動が混在し、間欠的に繰り返されます(間欠性運動)。
そしてチームスポーツの特徴として自分のタイミングで休むことができないため、スタミナが必要です。
この間欠性運動を長時間継続させるためには、グリコーゲンレベルを高く保つことが求められます。
翌日のトレーニングや試合までにグリコーゲンレベルを回復させるため、糖質補給に工夫が必要です。
このグリコーゲンレベルの回復をより促進する食べ方は、トレーニング後2時間以内に糖質とタンパク質を組み合わせた食べ方がよいとする報告があります。
(Berardi JM, Price TB, Noreen EE, Lemon PW. Postexercise muscle glycogen recovery enhanced with a carbohydrate-protein supplement. Med Sci Sports Exerc.38(6):1106-13,2006.)
ボールゲーム系のチームスポーツでは筋グリコーゲンの再合成以外にも筋ダメージの軽減と回復も大切であるため、筋グリコーゲンの回復に時間がある場合には糖質と同時にタンパク質を含む補食を摂ることが理想的です。
補食にはおにぎりやサンドイッチなどの食事やプロテインがおすすめです。
ラグビーのようにボールゲーム系のチームスポーツではポジションごとに必要な体力要素が変わってきます。
共通の体力要素としてパワーやスピードが考えられますが、バックスではランニングプレーが多いため、体脂肪率は少ない方が競技力はアップし、瞬発力が増します。
また、フォワードではタックルなどのコンタクトプレーに負けないよう体重が多い方が有利です。
このようにラグビー選手の食事は、ポジションごとの特性を理解して栄養補給できるとさらにパフォーマンス向上に繋がる可能性が高まります。
炭水化物の摂取が体脂肪率の増加に影響すると思われがちですが、持久力のためにも炭水化物はしっかりと摂りましょう。
タンパク質性食品に脂肪が少ない食材を選ぶ、揚げ物など油を使った料理の頻度を少なくするなど、少しの意識を持つことが大切です。
コンタクトプレーによるケガを防ぐにはカルシウム摂取が重要です。
牛乳はコップ3杯(600ml)以上を目安にしましょう。ビタミンD(青魚・きのこ類に含まれる)を同時に補うことでカルシウムの吸収をよくします。
ちなみに米食中心の日本食は、炭水化物はしっかりと取れますが、タンパク質をバランスよく取るのは意外に大変です。
脂質量を考慮するとより困難になることが考えられます。
そんな時には、普段の食生活で足りない栄養素を「プロテイン」のサプリメントで補ってみてはいかがでしょうか。
プロテインには「ホエイ」と「カゼイン」のミックス型を始め、大豆のみ、糖質やビタミン、ミネラルなどを配合した種類など、たくさんのタイプが用意されています。
例えば、「カラダづくり」が目的なら「ホエイとカゼインのミックス型を運動後か就寝前」に摂ることが合っていると考えられます。
ホエイとカゼインの2種類を配合しており、動物性のタンパク質を摂取できるプロテインです。消化吸収の良いホエイと、ゆっくりと吸収されるカゼインで、効果的なカラダづくりをサポートします。味は、ココア味、バニラ味、森永ラムネ味の3種類あり、好みの味を選べます。
また、ビタミンB群も配合されていつ他、日本人に不足しがちなカルシウム・鉄も配合されており、食事バランスの偏りを感じる人、運動習慣のある人の栄養摂取に役立ちます。
トレーニング後の栄養補助には「リカバリーパワープロテイン」がおすすめです。糖質とタンパク質を黄金比率で配合しており、トレーニングで消費したエネルギーの補給と、消耗した体のリカバリーに役立つタンパク質を補給できます。1食分あたりのタンパク質は6.9g。吸収スピードの速いホエイプロテインが配合されています。
プロテインを利用する場合は、自分の目的に合った種類を選んで、ベストなタイミングで摂ってくださいね。
参考文献
アスリートのための栄養・食事ガイド 小林修平 第一出版 2006
市民からアスリートまでのスポーツ栄養学(第2版) 岡村浩嗣 八千代出版 2015
アスリートのためのスポーツ栄養学 柳沢香絵 学研プラス 2016