古くから人々は乳酸菌の働きを利用し、食品を長期保存できるようにしたり、多様な味わいの食品を作り出したりしてきました。世界中で乳酸菌を利用した食品は存在し、人々の生活に役立っています。また、食品から摂取した乳酸菌は、カラダの中でさまざまな働きをしていると考えられ研究が進められています。本記事では、乳酸菌について解説し、乳酸菌を含む食品をご紹介します。
乳酸菌とは、特定の菌を表す名称ではなく「糖を利用して乳酸を大量に作り出す微生物の総称」です。乳酸菌は、わたしたちの周囲に当たり前にいる微生物で、ヨーグルト、チーズ、漬けもの、みそや醤油などの製造に関わり、ヒトの腸内にも存在しています。乳酸菌を含む食品を取り入れることは、健康維持に役立てられるかもしれません。
参考日:2021年8月27日
ヒトのカラダの中に存在する腸内細菌は、乳酸菌だけではありません。さまざまな細菌が腸内に存在し、大きく分けると3種類になります。ヒトの腸内で良い働きをする「善玉菌」、悪い影響を与えるとされる「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌(ひよりみきん)」です。
体重60キログラムの成人のヒトの腸内細菌は、約100兆個にも及ぶといわれています。また、その全体を集めると、1.0~1.5kgの重量になるといわれています。重量を知ると、いかに多くの腸内細菌が存在しているかを実感できるのではないでしょうか。
乳酸菌は、善玉菌の代表的な細菌です。善玉菌・悪玉菌・日和見菌は腸内でバランスを保っていますが、タンパク質や脂質が多く含む食事に偏ったり、不規則な生活になったりすることでバランスが崩れる可能性があるといわれています。
ヨーグルトのパッケージを見ると、乳酸菌だけでなく「ビフィズス菌」の名称をよく目にする人もいるかもしれません。ビフィズス菌も善玉菌の一つですが、乳酸菌とは種類が異なります。
ビフィズス菌は、糖を分解して乳酸のほかに酢酸も作り出す微生物です。また、酸素が存在する環境でも生育が可能な場合がある乳酸菌と比べ、ビフィズス菌は酸素のある環境で生育することが難しいという違いもあります。乳酸菌と同様に、ビフィズス菌の働きもさまざまな研究が行われています。
カラダの中の乳酸菌を活躍させるには、2つの方法があると考えられています。一つ目はプレバイオティクスである、糖の一種であるオリゴ糖や、食物繊維を摂取することです。オリゴ糖や食物繊維を多く含む食品には野菜や果物、大豆や大豆製品などがあり、これらが乳酸菌のエサとなります。乳酸菌を意識しすぎると栄養が偏る可能性があるため、栄養バランスを考慮しながら野菜や果物などをとり入れることがおすすめです。
二つ目はプロバイオティクスである、乳酸菌を多く含む食品を摂取することです。食品から摂取した乳酸菌が腸内に届いたとしても、そのまま定着して存在し続ける可能性は少ないといわれています。そのため、乳酸菌を多く含む食品を定期的に摂取することで、良い影響が継続すると考えられています。
しかし、乳酸菌を多く含む食品を食べても消化酵素の影響を受けて「生きたまま存在できないのでは?」と思うかもしれません。確かに、消化の過程で死んでしまう乳酸菌もありますが、これらがカラダの中にいる乳酸菌に影響を与え、健康をサポートすると期待されています。
乳酸菌の働きに注目が集まり、食品製造の利用だけでなく、健康づくりに関しての研究も行われています。幅広い可能性を秘めている乳酸菌は、カラダの中でどのような働きをしていると報告されているのでしょうか。
乳酸菌は、オリゴ糖や食物繊維などをエサにして乳酸を作り出します。乳酸が作り出されることによって乳酸菌が存在する環境が酸性に傾き、悪玉菌の増殖を抑えているといわれています。また、カラダの中で乳酸菌が活躍すると、アンモニアなどの腐敗産物が作り出されることも抑え、健康維持につながるとも考えられています。
乳酸菌が乳酸を作り出して健康維持をサポートするほかに、別の働きから健康に役立っているという報告もあります。数ある報告の中の一つが、外部から侵入したウイルスや菌からカラダを守る働きです。一部の乳酸菌の存在が、カラダを守り健康を維持する働きがあるのではないかと研究が行われています。
乳酸菌はさまざまな食品製造に利用されています。生きたままの乳酸菌が含まれている食品のほか、製造過程で加熱され、生きた乳酸菌が含まれていない食品もあります。乳酸菌は生きていても、死んでいても健康づくりに役立つといわれており、乳酸菌を取り入れられる食品の選択肢は幅広いです。次に、乳酸菌を摂取できる、代表的な食品を4つご紹介します。
ヨーグルトの歴史は古く、紀元前から食べられていたといわれています。動物の乳を原料にして、乳酸菌やビフィズス菌を加えて発酵させた乳製品です。日本で身近に手に入るヨーグルトは牛乳を原料としているものが多いですが、羊やヤギ、馬などの乳が使われていることもあります。
液体である動物の乳が固まってヨーグルトに変化するのは、乳酸菌が作った酸によって乳に含まれるタンパク質が凝固するためです。ヨーグルトは種類によって使われている乳酸菌が異なることがあります。製品のパッケージには乳酸菌の種類が記載されているものもあるため、どの菌が自身のカラダに合うか確認してみてもよいと思います。
チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つに大きく分けられます。ナチュラルチーズは、牛や羊、ヤギなどの乳に乳酸菌、凝乳酵素を加え、凝固したタンパク質を取り出して成形し、熟成させるか、または熟成をしないで作られています。
プロセスチーズはナチュラルチーズを原料にし、加熱して溶かしてから再び固めて作られているチーズです。スライスチーズやキャンディーチーズなどが、主にプロセスチーズにあたります。
漬けものは、野菜などを塩や調味液、ぬか床、酒粕などに漬け、保存性を高めたものです。漬けものによって材料や製造過程が異なり、全ての漬けもので乳酸菌が摂取できるわけではありません。
乳酸菌を摂取したい場合は乳酸発酵を利用した、ぬか漬け、しば漬け、すんき漬け、野沢菜漬け、千枚漬け、キムチなどを選ぶことがおすすめです。ヨーロッパで食べられている、キャベツを漬けたザワークラウトも漬けものの一種で、乳酸菌を摂取できます。
乳酸菌飲料は、牛乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、甘味料や果汁、香料などを加えた飲み物です。さまざまな種類があり、生きた乳酸菌が含まれているタイプと加熱殺菌したタイプに分けられます。甘味料を多く含む製品もあるため、エネルギー摂取量が気になる場合は、飲む量や頻度の調整をしながら取り入れることがおすすめです。
毎日の健康に乳酸菌を役立てたい場合、乳酸菌が含まれている食品をどのくらいの頻度で食べたら良いのか疑問に思うかもしれません。
乳酸菌を含む食品を摂取しても、カラダの中に乳酸菌がとどまる期間は短いと考えられています。そのため、乳酸菌を含む食品を適量、毎日摂取し続けることがおすすめだといわれています。
しかし、ヨーグルトやチーズをたくさん食べると脂肪を多く摂取してしまう可能性があり、漬けものであれば塩分の摂りすぎになる傾向も心配です。栄養バランスを考慮しながら、乳酸菌を多く含む食品を取り入れていくことが大切だと考えられるでしょう。
森永製菓が扱う粉末プロテインの中には、乳酸菌を摂取できる製品があります。乳酸菌もタンパク質も補いたいと考えている方にとって、利用しやすい商品ではないでしょうか。
森永乳業が保有する数千株の乳酸菌の中から厳選された「シールド乳酸菌🄬」を配合した粉末プロテインです。「シールド乳酸菌🄬」の名称は「健康をサポートする」をイメージして付けられました。「シールド乳酸菌🄬」は、ヒトのカラダの中にも生息する乳酸菌「Lactobacillus paracasei i MCC1849 株」であり健康に関わる研究が行われています。
シールドプロテインには、「シールド乳酸菌🄬」のほか、ホエイプロテイン、代謝に関わるビタミンB群を配合。1食あたりで「シールド乳酸菌🄬」は100億個、エネルギーは75kcal、タンパク質は14.2gを摂取できます。
乳酸菌はさまざまな食品に含まれており、幅広い選択肢から摂取することができます。食事から摂取することが基本になりますが、難しい場合は乳酸菌が含まれているプロテインなどを活用することを考えてみてはいかがでしょうか。