食品中に含まれる「鉄」は、意識して摂りたいものです。
鉄はレバーに多く含まれていますが、動物性食品だけではなく、植物性食品にも含まれています。食品によって含まれている鉄の種類や吸収率が異なるため、鉄を効率よく摂取するためには、一緒に食べる食事内容も考慮する必要があります。
本記事では、鉄の1日に摂取する推奨量を示しました。また、鉄を多く含む食品と食べるときのポイントをご紹介します。
鉄は、幅広い食品に含まれていますが、食事バランスが偏っていると、不足する可能性がある栄養素です。
鉄を摂取するには、3回の食事をバランス良く食べることが基本です。鉄の1日の推奨量は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に記載されている数値を参考にしてください。
鉄の推奨量は、年齢や性別により異なります。成長期の8~17歳では、ほかの年代に比べて男女ともに推奨量が高く、月経のある女性や妊婦・授乳婦でも、鉄の推奨量が高くなります。
鉄の食事摂取基準 推奨量(mg/日)8歳以上
食品中に含まれている鉄は2種類あります。肉や魚などの動物性食品に含まれている「ヘム鉄」と、野菜や豆類などの植物性食品に含まれている「非ヘム鉄」です。ヘム鉄と非ヘム鉄は、それぞれ特徴が異なります。
・ヘム鉄:食品に含まれているそのままの形で吸収され、非ヘム鉄に比べて吸収率が高い
・非ヘム鉄:還元物質や体内の酵素の働きを受けて吸収される
体内の吸収率は、ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも高いですが、非ヘム鉄は、同時に摂取する栄養素によっては吸収率が高まります。動物性食品や植物性食品をバランス良く摂取し、幅広い食品から鉄を補給しましょう。
体内での鉄吸収は、同時に摂取する食べ物の成分に影響を受けます。つまり、一緒に調理する食材の組み合わせや、食べ合わせなどで鉄の吸収率は変化します。鉄の吸収率を高めるための、食事のポイントをご紹介します。
ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収率を高めます。無機鉄である非ヘム鉄は、還元物質であるビタミンCを同時に摂取することで吸収されやすくなります。
非ヘム鉄は小松菜やほうれん草などの野菜や納豆、豆腐などの大豆製品の植物性食品にに多く含まれています。
オレンジやキウイ、カキ、イチゴなどの果物は、ビタミンCを含むものも多いため、食事の際には果物もとることで、吸収率を高めることが期待できます。
ビタミンCはパプリカやキャベツなどの野菜にも含まれていますが、熱などに弱く、調理によって失われやすい栄養素です。そこで、電子レンジを活用して短時間で火を通したり、食生野菜を食べられるサラダを副菜にしたり、食後のデザートに柑橘類などの果物を食べるなどして、ビタミンCを摂取するのもおすすめです。
コーヒー、緑茶、紅茶などに含まれているタンニンは鉄の吸収を抑制します。そのため、食事中に濃い目の緑茶を飲んだり、食後にコーヒーを大量に飲んだりすると、鉄の吸収率が低下するといわれています。
食事中の飲み物は、タンニンを含まない麦茶や水などを選びます。コーヒーや紅茶を飲みたくなる場合は、食事から2~3時間ほど経過した食間に飲みましょう。
胃酸が十分に分泌されていると、鉄の吸収が高まります。口から胃の中に食べ物が運ばれると、胃酸が出て消化を助けますが、胃酸の分泌を促すポイントは2つです。
・よく噛んで食べること
・柑橘類や酢、梅干しなど、酸味のあるものを食べること
胃の調子が気になる方は、酸味のある食べ物の摂取は注意してください。
鉄の吸収率を高めるために、食事ではタンニンを含む飲み物を避けて、時間をかけてよく噛んで食べ、最後に果物を食べることを実践してみてください。
鉄の吸収率を高めるための食事のポイントをおさえたところで、どのような食品に、どのくらいの量の鉄が含まれているのかを確認しましょう。鉄を多く含む食品をまとめたものをご紹介します。
動物性食品はヘム鉄を多く含みます。そのなかでも、レバーや赤身肉など、濃い色の肉には比較的鉄が多く含まれています。また、赤身の魚や、あさりの水煮などの貝類には鉄が多く含まれています。
引用:日本食品標準成分表(七訂)
豚や鶏のレバーは、1食分で1日の摂取推奨量の1/2量以上をクリアできる食品です。しっかりと鉄を補給したい場合は、レバーを取り入れてみましょう。しかし、レバーだけにこだわらず、赤身の肉や魚からも取り入れていくことが大切です。
引用:日本食品標準成分表(七訂)
植物性食品のなかで鉄が多く含まれているのは、野菜のほかにも日本食でよく食べられている豆類や海藻類があります。
引用:日本食品標準成分表(七訂)
1食分の量で考えると、植物性食品から摂取できる鉄の量は意外に多いです。葉物野菜はゆでたり炒めたりしてカサを減らせますので、調理方法で取り入れやすくなりますよ。
大豆食品にも鉄が多く含まれており、一汁三菜をそろえた日本食は鉄補給におすすめです。
栄養素は食事から摂取することが基本ですが、忙しい毎日を過ごしていると食生活は不規則になることもあると思います。また、暑い時期には食べる量が減ってしまったり、麺類だけの食事になることもあるかもしれません。食事のバランスが偏ってしまうときには、鉄を含む栄養補助食品を活用も検討しましょう。
栄養補助食品は手軽に鉄補給ができるものの、注意したいのが過剰摂取です。食事摂取基準で定められている耐容上限量を目安に、食事から摂取する鉄の量も考慮しながら活用してください。
鉄の耐容上限量(mg/日)
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
鉄とタンパク質を同時に摂取できるプロテインをご紹介します。
●マッスルフィットプロテイン
吸収スピードの異なるホエイプロテインとカゼインプロテインを配合しています。1食分20gで摂取できるタンパク質は15.0g、鉄は3.6mgです。理想の体作りを目指している方は運動後や就寝前に飲むことがおすすめですが、スポーツを習慣にしている人以外も活用できます。ココア味とバニラ味の2種類あり、甘味のある味わいなので、食後の1杯や間食に取り入れても良いでしょう。
●ジュニアプロテイン
大豆プロテインとホエイプロテインを配合したジュニアプロテインです。1食分20gで摂取できるタンパク質は8.4g、鉄は4.6mgです。ココア味とヨーグルトドリンク味の2種類があり、飲みやすさは抜群です。鉄の1日の摂取推奨量が成人よりも多い成長期の鉄補給のほか、年齢問わず栄養補給におすすめです。
忙しいときには、手軽に摂取できるゼリー飲料もオススメです。
●inゼリー マルチミネラル
鉄分を含む、5種類のミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛、銅、マグネシウム)を配合しています。1日に必要なミネラルの1/3(※マグネシウム以外)が補給できます。飲みやすいグレープ味、90Kcalで間食にもおすすめです。
バランスの良い食事をしっかりと食べていれば鉄は不足しにくい栄養素です。
幅広い食品を食べることを意識して、鉄補給を行いましょう。
ご紹介した鉄の吸収率をアップするポイントも参考にしてください。どうしても不規則な食生活になってしまう場合は、栄養補助食品をうまく取り入れてみましょう。