食品に含まれる多様な栄養素は、体のなかでさまざまな働きをしています。栄養素のなかでビタミンCは、野菜や果物、肉類など幅広い食品に含まれています。
また、サプリメントや栄養ドリンクなどにも配合されていることが多く、パッケージに記載されているのをよく見かけるのではないでしょうか。
ビタミンCは、体のなかではどのような働きをしているのでしょうか。今回は、ビタミンCの働きと摂取目安量、多く含む食品について解説します。
アスコルビン酸とも呼ばれるビタミンCは、体内の酸化還元反応に広く関わるほかに、コラーゲンの生成、植物性食品からの鉄の吸収を助ける働きをしています。調理による加熱に弱く、光や空気に影響を受けやすいのが特徴です。なおかつ、水に溶けやすい性質を持つ水溶性ビタミンです。
消化管で吸収されたビタミンCは全身に運ばれ、吸収されなかった分は尿として排泄されます。ビタミンCは、多くの生き物が体内で生成することができますが、ヒトや一部の動物の体のなかでは生成できません。そのため、食品から摂取する必要があるのです。
ビタミンCは、脂質代謝やホルモンの生成など、体のなかのさまざまな酸化還元反応に関わっています。
ヒトの体の約30%を占めるコラーゲンは、繊維状のタンパク質です。皮膚・血管・軟骨などに存在し、細胞と細胞をつなげています。コラーゲンを合成するためには、ビタミンCが欠かせません。
鉄は主に赤血球を作る材料になるミネラルです。鉄には2種類あり、動物性食品に含まれているヘム鉄と、植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。
ヘム鉄が体に吸収されやすい反面、非ヘム鉄は吸収効率が悪いことが知られています。ですが、ビタミンCを一緒に摂ると、非ヘム鉄の吸収を助ける働きをします。
例えば、鉄を含むホウレン草のお浸しに、柚子の果汁をかけるなどすると、体のなかで鉄が吸収されやすくなります。
日本人の食事摂取基準(2015年版)を見ると、ビタミンCは15歳以上で1日に100mgの摂取が推奨されています。1日の摂取目安は年齢別で異なりますが、性別で差はありません。また、余分に摂取しても排泄されるため、上限摂取量は設定されていません。
体内に貯蔵されているビタミンCもあるため、摂取量が少ないからといってすぐに不足するわけではありませんが、欠乏状態にならないように心がける必要があります。
参考資料:日本人の食事摂取基準 ビタミンC p28
日本で一般的な食事をしていれば、ビタミンCは不足しにくい栄養素です。一方で、摂取量が増える妊婦や授乳婦、消費量が高まる喫煙者は不足している可能性があります。食事摂取基準の100mgにプラスする量の目安は以下の通りです。
食事からのビタミンCが不足しがちだからといって、サプリメントなどで1度にまとめて摂取してもよいのでしょうか。健康な人がビタミンCをまとめて過剰に摂取すると、体内での吸収率が低下し、尿から排泄されることが分かっています。
ビタミンCを一度にまとめて過剰に摂取すると、下痢や腹痛が起こる可能性があるといわれています。サプリメントなどを摂る場合は医師や栄養士などの専門家に相談しましょう。
ビタミンCは、主に野菜や果物、じゃがいも、サツマイモなどに多く含まれています。100g中に含まれているビタミンC量を以下にまとめます。
参考資料:日本食品成分表 文部科学省
水溶性ビタミンのビタミンCは、茹でると煮汁に溶け出して損失します。また、熱に弱いため、加熱によっても失いやすくなります。ビタミンCを効率良く摂取するには、水や熱に接する時間を短くしたり、煮汁ごと飲めるスープにしたりするのがおすすめです。
調理の影響を受けやすい特徴がありますが、ビタミンCがデンプンに包まれているジャガイモやサツマイモは比較的熱に強いといわれています。
ビタミンCは野菜や果物に多く含まれているので、炭水化物やタンパク質中心の食事をしていると不足しがち。例えば、朝食にトーストと目玉焼きだけ、昼食にラーメンだけなどのメニューです。ほかの食事で野菜や果物を摂れていれば、ビタミンCは不足しにくいですが、忙しくてバランスの整った食事が摂れない場合は注意しましょう。
ビタミンCを多く含む食品で、手軽に食べられるのはサラダや果物です。皮を剥く必要のないイチゴやカットフルーツなどは食べやすいのでおすすめです。
また、加熱時間が長い煮物や下茹でが長い野菜は、ビタミンCの損失が多くなるとお伝えしました。野菜の副菜を作るときは加熱する料理だけでなくサラダなど、生のまま食べられるメニューを加えるとビタミンCを効率良く摂り入れられます。
ビタミンCの必要量が多い人や食生活で不足しがちな人で、どうしても食事からビタミンCを取り入れられない場合は、栄養補助食品を活用するのもおすすめです。
inゼリー マルチビタミンカロリーゼロ
1日分のビタミンを1個で摂れる、ゼリー飲料の「inゼリー マルチビタミンカロリーゼロ」です。1袋にビタミンCを100~248mg配合。そのほかに、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが配合されています。カロリーゼロでビタミンを補給できる栄養補助食品です。
inゼリー マルチビタミン
「inゼリー マルチビタミンカロリーゼロ」と同様に1日分のビタミンを摂取できる「inゼリー マルチビタミン」です。カロリーは90kcalで、ビタミンCは100~248mg含まれています。スポーツ時や仕事の合間の栄養補給におすすめです。
リカバリーパワープロテイン
ビタミンCを消費しやすい運動後のリカバリーを助ける「ウイダーリカバリープロテイン」です。糖質とタンパク質をリカバリーに合わせて配合。また、ビタミンB群のほかビタミンCも含まれています。1食30gで1日分のビタミンC推奨量100mgを補給できます。
食生活や生活環境によってビタミンCの消費量は変化します。野菜や果物などから摂取するのが基本になりますが、難しい場合は栄養補助食品も取り入れてみてください。ビタミンCが配合されている栄養補助食品は、ほかのビタミン類やミネラルなどが配合されていることもあります。子どもや妊娠中の方には、量が多い場合や、避けた方が良い成分もありますので、注意表示を確認してください。