車が衝突するほどのタックルなど激しくぶつかり合うラグビーにケガはつきもの。さらに、長時間全力で戦い、連戦を続けるカラダは疲労の蓄積も相当なものに。そんな過酷な状況下で、選手たちはどのように疲れを回復させているのでしょうか。
ここでは、鍛え上げた体格を活かし外国人選手たちと互角に渡り合うフランカー(ナンバー8)の小澤直輝選手に、酷使されたカラダを回復させる方法について伺いました。
ラグビーはコンタクトスポーツなので、シーズンを通してフルコンディションでいられる選手はなかなかいません。シーズン終盤になるとほとんどの選手がどこかしら痛めていて、なかには骨折している人もいたりして、みんな痛みをごまかしながらやっているところがあります。
僕は2年前に大きな膝のケガをしてしまい、手術後リハビリ期間として1年近くオフの状態が続きました。ケガする前は体重が100kg以上あったのですが、昨年はなるべく膝に負担をかけないように90kg台まで落として臨みました。今年は膝のコンディションもよくなってきたので、もとの体重に戻してプレーしています。
試合が近づいてくると練習も過酷さを増してきます。たとえば、朝1時間練習してから出勤して、午後1時くらいから再び練習、途中ミーティングなどをはさんで、練習が終わるのが午後5時過ぎ、そこからまた個々で自分たちのトレーニングを行ないます。特に僕らフォワード陣は、セットプレーの練習においてスクラムやラインアウトの練習などやらなければならないことが多いんですよ。
また、長期のオフの間も決して気を抜けません。体重や体脂肪をはじめ、ベンチプレスやスクワット、懸垂など選手一人ひとりが維持しなければならない課題があり、休み明けにはそれをクリアしている状態でなければならないため、長期のオフとはいえつねに自分を管理していなければなりません。
僕は練習が終わったらすぐにリカバリー用のプロテインを摂るようにしています。
練習が終わってから、自分のトレーニングをして、お風呂に入ってストレッチして…となると、夕食まで1時間~1時間半くらい時間が空いてしまいます。練習で分解された筋肉を回復させるためには少しでも早く栄養を補給しなければなりません。
なので、練習後はまずしっかりと栄養をとってから、交代浴(温かいお風呂と氷が入った冷たいお風呂を交互に入ることで、血行の促進を促して疲労を回復させる)をして、ストレッチして、ご飯を食べるという感じです。僕はフルーツが好きなのですが、リカバリー用のプロテインはピーチ味で美味しいんですよ(笑)。
一年目のときとかは自分の中でのルーティーンもないですし、いま自分がどういう状況にあるのか自分でもわかってないような状態でした。
疲れていてもひたすらにトレーニングしていましたし、今考えると相当無理をしてしまっていたなぁと。今は自分のカラダと相談してトレーニングしていますし、練習後はしっかりリカバリーもしています。そのへんの意識はチームに入って大きく変わりましたね。
この歳になって自分のことをもっと理解できるようになりました。昔は自分のことをまったく理解してなかったですね(笑)。僕の場合はケガもありましたし、今はリカバリーの大切さを実感しています。
疲れを回復させるためには睡眠も大事です。一応8時間睡眠を心掛けていますが、実際は8時間寝られる日もあれば、6時間しか寝られない日もあります。
特に試合後は、疲れすぎていてかえってあまり眠れません。また、試合の前日など、僕は考えるとあまり眠れなくなってしまうので何も考えないでいるようにしています。
カラダをリカバリーする上では、肉体面でも精神面でもリラックスすることが大事だと思うので、試合の前の日は遠征先で夕食を済ませたあと、みんなでカフェに行って、コーヒーを飲みながら他愛のない話をする、そんなリラックスできるシチュエーションつくって翌日の試合に臨んでいます。