スポーツジュニアの食事メニューの選び方とレシピ
スポーツジュニアは、学業とトレーニングを両立させるために、忙しい日々を過ごしているのではないでしょうか。健やかな体を保つためには、栄養バランスの整った食事が基本になります。特に、成長期のスポーツジュニアは、体を成長させるために必要な栄養素が不足しないように意識することが必要です。
今回は、ジュニア期のアスリートの食事メニューの選び方を解説し、おすすめのレシピをご紹介します。
大人と同等のエネルギーが必要!スポーツジュニアが意識したい栄養のこと
どれだけ食べたら良いのかの目安は、年齢・性別・運動量・練習内容などによって異なります。
運動量が多いトレーニングを行うときには、ジュニアでも成人と同じかそれ以上のエネルギーが必要になる場合もあります。ジュニア期に栄養が不足すると、筋肉量が減少したり貧血になったりするリスクが高まり、体の成長を妨げてしまう可能性がでてきます。バランスが整った食事を摂り、栄養不足とならないように心がけましょう。
スポーツで消費するエネルギーや栄養素と成長するための栄養素を満たす
ヒトは日常生活を行うために、さらには生きるために必要な栄養素を食事から摂り入れています。
アスリートはそれに加えて、競技やトレーニングで消費するエネルギー、ならびに栄養素を摂り入れなければいけません。さらにスポーツジュニアでは、体を成長させるための栄養素が必要です。
例えば、12~14歳のスポーツジュニアの推定エネルギー必要量(身体活動レベルⅢ)は、男性で2900kcal、女性で2700kcalです。適度に運動を行っている18~29歳では、推定エネルギー摂取(身体活動レベルⅡ)は男性で2650kcal、女性で1950kcalとなり、スポーツジュニアのほうが必要なエネルギー量が多いことが分かります。
(日本人の食事摂取基準(2015年版)参照)
1日3食しっかりと食べる
成長と運動の両方で栄養素を消費するスポーツジュニアが、体に必要な栄養素を充たすためには、1日3回の食事をしっかりと食べることが基本です。しかし、朝は時間がないなどの理由から、ジュニアを含む幅広い年代で朝食を欠食している割合が増えています。スポーツジュニアは特に、体づくりと、競技力アップのためにも、朝食は欠かさず食べましょう。
<朝食がもたらす効果>
・体温を上昇させ、体を目覚めさせる
・集中力を高める
・1日の必要栄養量の確保
成長期のスポーツジュニアは、1日3回の食事のうち、1食欠けてしまうと残りの2回で必要な栄養素を補わなければなりません。とはいえ、1回の食事で食べられる量には限度があり、充足させることが難しくなるため、欠食しないように心がけましょう。3回の食事でも栄養素が不足する場合は、食事の合間に補食を取り入れると良いでしょう。
食事メニューの選び方のコツ
「バランスが整った食事を用意するのは難しい」と思っている人も多いのではないでしょうか。
食事メニューの基本は意外とシンプルで、主食(ごはんやパン、麺類等)・主菜(肉類、魚介類、卵、大豆製品)・副菜(野菜、きのこ類、海藻類)をそろえることです。
また、果物や乳製品も1日を通して3食のどこかのタイミングで摂り入れるとなおバランスが整います。
品目がそろっていることを確認するようにしましょう。
消化吸収の良い食材選び
食べ物は種類によって消化にかかる時間が異なります。
トレーニングや試合の時間から逆算して、食材選びをしましょう。
消化が早いのは、糖質を多く含む主食や果物などです。
運動前の2~3時間前に、バナナやおにぎりを食べるとお腹に残らず、体を動かすためのエネルギーとして効率良く使われます。
食事が楽しくなるように好きなメニューを取り入れる
日々トレーニングに打ち込んでいるスポーツジュニアは、疲労やストレスが溜まってしまうこともあると思います。
食事には、「食べる楽しさ」を感じさせる役割もありますが、ストイックになりすぎることで、逆にストレスが増強してしまう可能性もあります。好きなメニューを上手く取り入れて、食事を楽しめるようなメニューにしましょう。
試合前の食事で気を付けておきたいこと
プロのアスリートは試合で力を発揮するために、前日や当日の食事内容と食べるタイミングに注意している人も多いのではないでしょうか。
試合前は、グリコーゲンを補給するために糖質の多い食べ物を中心に食べます。グリコーゲンは、肝臓や筋肉に蓄えられているエネルギー源であり、試合で力を発揮するために十分蓄えておく必要があります。次に、控えておいた方が良いものについて紹介します。
消化に時間がかかる脂っぽい食材
脂質を多く含む食材や、油脂類を沢山使ったメニューは消化に時間がかかります。
前日の夜から脂質が多い食材を食べると、試合当日に胃腸の調子が悪くなる可能性があります。
そのため、試合前には脂質が多い食材は避ける方が良いと思われます。普段の食事であれば、脂質が多い食材を取り入れても問題ないと思われます。油は少量で大きなエネルギー源となるため、食が細いスポーツジュニアは適度に摂り入れることで、必要なエネルギーの不足を防ぐことができます。
生ものや食べなれないメニュー
試合前は緊張して、トイレが近くなったり、胃腸の調子がいつもと違ったりすることもあると思います。
そんな試合前に生ものや食べ慣れないメニューを食べると、調子を崩す可能性もあるため、普段は食べて問題なかったとしても、試合前は控える方が良いと思われます。
スポーツジュニアの朝食・昼食・夕飯のメニュー例とレシピ
必要栄養量は個人差があります。体調によっては、食が細い日もあると思いますので、そんな時は1回の食事で完璧に食べようと無理をしなくても問題ありません。
1~3日でバランスが整うようにすると、メニューを決めやすくなると思います。朝食・昼食・夕食のメニュー例をレシピとともにご紹介します。
朝食をしっかり食べて集中力を
食欲がわかないときにも食べやすいサンドイッチの朝食例です。
- ツナコーンサンドイッチ
- ブロッコリーとトマトの卵スープ
- バナナ
- ミルクココア
「ツナコーンサンドイッチ」
食材(2人分)
食パン8枚切 4枚
ツナ缶 1個(80g)
コーン缶 大さじ4
キュウリ 1本
塩 少々
マヨネーズ 大さじ2
マーガリン 適量
作り方
①ツナ缶の汁を切り、キュウリは輪切りにして塩を振りかけて15分ほどおいたら水気を切る
②ボウルに①、コーン缶、マヨネーズを混ぜ合わせる
③食パンの片面にマーガリンを塗り、②をサンドしてから食べやすい大きさに切り分ける
「ブロッコリーとトマトの卵スープ」
食材(2人分)
ブロッコリー冷凍 50g
トマト 1個
卵 2個
水 500ml
顆粒コンソメスープの素 小さじ2
塩、コショウ 少々
作り方
①鍋にブロッコリー、トマト、水、顆粒コンソメスープの素を入れて沸騰させてから中火にし、3分煮込む
②ボウルで卵を溶き、①の鍋に流し入れる
③卵に火が通ったら、塩、コショウで味を調える
朝食のポイント
・サンドイッチの具にキュウリを使うことで、食感がプラスされて噛み応えがある
・温かいスイープに野菜をたっぷりと入れて食べやすくする
・牛乳で作ったミルクココアで乳製品を補給、バナナでエネルギーを補給
昼食は午後からのトレーニングに向けてエネルギー補給
学校がある場合は給食やお弁当を食べていることが主であると思いますが、ここでご紹介するのは、休日のメニュー例です。
- あんかけうどん
- もやしとニラのナムル
- 冷奴
「あんかけうどん」
食材(2人分)
うどん(ゆで) 2玉
しめじ 1/2パック
ニンジン 1/2本
小松菜 60g
長ネギ 1本
鶏ササミ 2本
めんつゆ(3倍濃縮) 120ml
水 500ml
片栗粉 大さじ1
水 大さじ1
作り方
①しめじは石づきを除いてほぐし、ニンジンは長さ5cmの細切り、小松菜は長さ5cmに切り、長ネギは斜め切りにする
②鶏ササミは、筋を除き繊維を断ち切るように斜めに切る
③鍋にめんつゆと水を入れ、①を入れて煮る
④③が沸騰したら②を入れ、アクを取りながら火を通す
⑤④を沸騰させ、水溶き片栗粉を回し入れる
⑥別の鍋でうどんを茹でて器に盛り付けたら、⑤を掛ける
「もやしとニラのナムル」
食材(2人分)
もやし 1/2袋
ニラ 1/2束
ゴマ油 大さじ1
醤油 小さじ1
白いりゴマ 大さじ1/2
作り方
①ニラは長さ5cmに切る
②耐熱ボウルにもやしと①を入れ、ふんわりとラップを掛けて600Wの電子レンジで1分30秒ほど加熱する
③②にゴマ油、醤油、白いりゴマを混ぜる
昼食のポイント
・具をたっぷりと入れたあんかけをかけることで、うどんと野菜や肉を同時に摂ることができる
・ゴマ油を混ぜたナムルは食欲を促進させる
・豆腐を常備しておき、1品足りないときに追加する
夕食はリカバリーを意識
トレーニング後の夕食は、消費したエネルギーを補給しましょう。夕食の時間が遅くなる場合は、トレーニング直後に補食をとり、補食の分を引いて夕食量を調整しましょう。
- ご飯
- 鮭のホイル焼き
- 豚汁
- グリーンサラダ
- キウイフルーツ
「鮭のホイル焼き」
食材(2人分)
生鮭 2切れ
塩 少々
玉ねぎ 1/2個
パプリカ(赤) 1/2個
刻みねぎ 少々
ポン酢醤油 適量
作り方
①玉ねぎは薄切り、パプリカ(赤)は細切りにする
②生鮭に塩を振りかける
③アルミホイルを30cmほど引出し、生鮭を置き、玉ネギとパプリカをのせる
④魚焼きグリルで10分ほど焼いたら取り出し、アルミホイルを開いて刻みねぎを散らす
⑤食べる直前にポン酢醤油をかける
「豚汁」
食材(2人分)
豚コマ切れ肉 40g
里芋 2個
大根 30g
ニンジン 40g
ゴボウ 30g
サラダ油 適量
水 400ml
顆粒だしの素 小さじ1
味噌 大さじ1
作り方
①里芋はひと口大に切り、大根はいちょう切り、ニンジンは長さ5cmの細切り、ゴボウはささがきにして水にさらす。
②鍋にサラダ油を引き、豚コマ切れ肉を炒め、①の野菜を入れて炒める
③水、顆粒だしの素を加えて煮込み、火が通ったら味噌を溶く
夕食のポイント
・糖質とタンパク質を摂ることで、リカバリーに繋げる
・ホイル焼きにすると野菜のカサが減り、量を食べられる
・具だくさんの汁物は、タンパク質を含む食材と野菜を組み合わせることで効率よく栄養素を摂取できる
補食には栄養補助食品を上手く取り入れよう
3回の食事で十分な栄養量が確保できない場合は、補食を活用しましょう。練習の前におにぎりや100%オレンジジュースなどほか、栄養補助食品を利用し、摂取するのもおすすめです。inゼリーではエネルギーやビタミンB群を補うことができるものがあります。タンパク質を補給したいときはinゼリー プロテインもあるので、場合に応じて活用してはいかがでしょうか。
スポーツジュニアは、3回の食事を基本として、十分な栄養素を取り入れることが大切です。バランスの整った食事を摂ることが体の基礎となり、競技力アップにつながります。食事メニューは、栄養が偏らないように、さまざまな食材を取り入れましょう。