強靭なカラダを支える栄養管理 ~「サンゴリアス」管理栄養士 金剛地舞妃さん~
強靭なカラダを支える栄養管理 ~「サンゴリアス」管理栄養士 金剛地舞妃さん~
ときに激しいタックルをくらって地面に倒され、ときに俊敏な動きで相手選手をかわして疾走し、トライを決める。強さとスピードを備えたラガーマンの強靭なカラダはいったいどうやってつくられ、維持されているのでしょうか。
楽しく美味しくをモットーに、工夫をこらした栄養管理で選手たちをサポートする管理栄養士の金剛地舞妃さんに、選手たちの栄養管理について伺いました。
カラダが大きい分、補食や夜食でエネルギーをプラス。
基本的な栄養素は一般の方と変わりませんが、ラグビー選手の場合、そこから運動量やカラダの大きさがあるのでその分のエネルギーがもっともっと必要になってくるし、カラダをつくる上では、筋トレなどのトレーニングもそうなんですけれど、たんぱく質の必要量も増えてきます。カラダに蓄える量が必要なので、一食の量は一般の方と同じくらいでも、練習の合間に補食を食べたり、夜食などで補うというのが彼らの特別なスタイルだと思います。
食事としては栄養バランスを整えるのが基本です。そのなかで、たんぱく質、鉄、ビタミンD、EPAに関しては重視していて、「食事ではこういったものを食べましょう」とか、「プロテインやサプリはこういうタイミングでとりましょう」といった食習慣を選手たちに伝えています。
それぞれ体質が違うので、栄養のとり方も一人ひとりに合わせて。
プロテインをとるタイミングについては、一応ガイドラインみたいなものをつけてトレーニングの合間とか後とか前とか、逃しちゃいけないタイミングで吸収よくとれるアイテム(ウィダー プロテイン)があるので、「このタイミングは逃さないようにしようね」と選手たちに伝えています。でも、選手たちは一人ひとり体質が違うので、プロテインを寝る前に飲んで筋肉になる人もいれば、太りやすくなってしまうという人もいるので、そこはガイドラインがありつつも、選手の一人ひとりに話を聞きながら、その人に合ったとり方というものを考えていくようにしています。
プロテインをとる回数は1日2~3回ですが、独身選手とかあまり朝ご飯を食べられない人は、出かける前にプロテインを飲むように伝えています。
カラダづくりは、本人と相談しながら食事計画を立てます。
選手たちの食事について、揚げ物や脂質をとり過ぎると酸化した油になってしまうためなるべく控えるよう伝えていますが、基本的にダメとは言いません。みなさん大人なので、各自で考えて食べて、カラダをコントロールしてくれればいいかなと思います。
選手たちのカラダづくりにおいては、その目的やスケジュール、アレルギー、好き嫌い、生活環境などさまざまな背景を考慮することが大切なので、本人と相談しながら食事計画を立てています。ベテランメンバーたちは各自でしっかり管理でできるので、1~3年目くらいの若手選手をちょっと気にかけて見ているといった感じです。それ以外は、増量とか減量をしなければいけない選手にフォーカスして見るようにしています。
7割は栄養、あとの3割は楽しく美味しければいい。
オフの日の食事は選手たちが食べたいものを食べるのもいいと思います。私も100%を目指してはいないので、普段がんばって管理している食事も、7割は栄養がいいもの、あとの3割は楽しく美味しければいいと思っています。食べなかったら0(ゼロ)になってしまうので、まずは口に入るということが重要かと。栄養計算だけしていても美味しくなかったりすることもあるので、何がなんでも栄養というふうには考えていません。選手たちはかなりハードに練習しているので、そんな練習の楽しみになるようなメニューにしていきたいですね。練習が終わったあと、疲れているけれど食べたくなるように、味や香り、見た目というところを目指していて、そういうのを含めて総合的に100になればいいかなと思っています。
きちんと食べる文化を選手同士でつくってくれている。
毎日栄養栄養となってしまうと選手たちも精神的に辛くなってしまうと思います。オフの日にはいろんな人と会い、いろんなところに行くと思うので、食事はコミュニケーションの場でもあるので、それを楽しんでやっていければいいかなと思います。
大切なことは選手たちが継続すること。そのため管理もキツキツ過ぎるよりも、多少ゆるくても継続して、カラダにコンスタントにいい栄養を入れていくことが大事。計算だけでいい食事がとれるかと言うと決してそうではなく、気持ち的にも食べたいって思えることが大切です。
今では私が言うよりも、食事や栄養のとり方について選手同士がやってくれていて、食事で栄養が偏っていそうな人に同じテーブルの人が言ってくれたりするので、きちんと食べる文化を選手同士がつくってくれているなと感じています。