運動でからだが衰える!?高齢者の健康維持には正しい栄養摂取が必要
誰だって、セカンドライフを健康に過ごしたいもの。
いつまでも元気に健康なカラダでいたいですよね。
「シニアの健康」に必要なものは、まず「運動」を思い浮かべる人が多いではないでしょうか。
しかし、身体能力など若い頃に比べ、衰えていきます。
身体能力の低下の防止だけではなく、精神的にも良いとされる運動は、シニアにとって大変必要なのです。
しかし、そこに大きな落とし穴があります。
今回は高齢者の健康維持による正しい栄養摂取と運動による衰えについて解説します。
【シニアが健康を維持する為には】
現在、シニアと呼ばれる方の実に3割近くが「低栄養」状態にあると言われています。
低栄養とは「栄養失調」とも言われており、簡単に言えば、カラダに必要な栄養素が不足している状態のことを指します。
加齢と共に運動能力も低下している状態に加え、運動に必要とされるエネルギーなどが不足しているカラダで行う運動は大変危険なのです。
運動は健康の第一歩ですが、運動をしただけではその効果を活かせないのです。
本当の健康作りとは、運動と同時に運動の出来る身体作りからです。
その為にも不足している栄養素をきちんと補うことが重要となってきます。
シニアが不足している栄養素
シニアに不足しがちな栄養素として、「タンパク質」「ビタミンB6」「ビタミンB12」「鉄」「食物繊維」「亜鉛」「カルシウム」が挙げられます。
下のグラフは、70歳以上の栄養摂取量を身体活動レベルごとに示したものです。
日頃の運動量が「低い・ふつう・高い」のシニアが、どれだけ栄養を摂っているかを表しています。
出典:清野隼.新たな食事摂取基準2015の概要 ~高齢者への栄養指導介入を見据えて~
日本ストレングス&コンディショニング協会機関誌 21(9), 8-13, 2014-11
グラフからわかるとおり、実は運動量が多いシニアの方が「エネルギー」と「タンパク質」摂取量が圧倒的に不足しています。
さらに別の調査では、シニアは全般的に「カルシウム」や「ビタミンD」も不足している、という結果も出ています。
50歳以上のタンパク質不足量は下記でも詳しく解説しています。
そもそも「タンパク質」とは、人間が生きていく中で必要不可欠な栄養素です。「タンパク質」は、私達の体内で筋肉や血液、皮膚、各臓器などを構成する働きがあり、カラダの約20%はタンパク質で構成されています。
シニア世代に限らず、「タンパク質」は不足しがちな栄養素です。
特にシニアにタンパク質不足が生じるのは、加齢による食欲や消化能力の低下が原因と言われています。
また、日本人にとって「カルシウム」は、慢性的に不足している栄養素と言われています。筋肉の収縮やホルモン分泌の調整など生理的機能の調整と言う重要な役割を担っています。
しかし、加齢に伴う消化能力の低下により、食事から摂取しても体内で吸収率されにくい状態になっているのです。
その「カルシウム」の手助けをしているのが「ビタミンD」です。
カルシウムのバランスを整え、骨の健康維持に必要とされています。
栄養素不足になると骨粗しょう症のリスクも
シニアが、「タンパク質」「カルシウム」など健康を維持していく上で欠かせない栄養素不足になると、全身の筋力量や身体機能が低下する「サルコペニア」や、筋力や心身の活力が低下した状態である「フレイル(虚弱,老衰)」を引き起こします。
さらに、筋肉の収縮や骨を維持していく為に必要なカルシウムやビタミンD、Kをしっかり摂らないと、「骨粗しょう症」のリスクも高まります。
骨粗しょう症と栄養素との関係は下記でも詳しく解説しています。
特に、運動後のカラダは、体内エネルギーを消費した状態です。
運動後にエネルギーを補充するだけで、疲労感や動かした筋肉を修復するスピードが変わってくるのです。
健康の為にと始めた運動も、低栄養状態では疲労感しか残らないと言う結果になってしまいます。
そうならない為にも運動後に適切な栄養素を摂ることはとても大切なのです。
シニアにおすすめする栄養補助食品
カラダを動かした後に食欲がわかないのであれば、炭水化物や高タンパク、高ビタミンDを含む「栄養補助食品」を利用することもおすすめです。
シニアに多く見られる食生活は、加齢に伴う消化機能低下から、消化し辛い肉や魚を避け、逆に消化しやすいやわらかい食品ばかりが主体となる食生活へ偏りがちな傾向にあります。
日頃からあまり食欲がない、食生活では摂取出来ないと言うシニアの皆様に、おすすめしたい「栄養補助食品」が「プロテイン」なのです。
ところで、プロテインには種類があるのをご存知でしたか?
プロテインは、牛乳に含まれるタンパク質量が80%の「カゼイン」と言う成分と、タンパク質量20%の「ホエイ」と言う成分で作られており、主体となる成分をどちらにするかでプロテインの特性が変わります。
カゼインとホエイの違いとしては、「吸収にかかる時間」が挙げられます。同時に摂取するとホエイが先に吸収され、その後、カゼインが時間をかけて吸収されていきます。即効性のあるホエイと持続性のあるカゼイン、それぞれの特性を上手く利用し自身の健康に役立てていきましょう。
また、プロテインなどの栄養補助食品を使わずにタンパク質やビタミンDを多く取ろうとすると、カロリーオーバーになってしまう可能性もあります。カロリーオーバーは肥満の原因にもなりますので、食事から摂取する際は、油の使用量を抑えたり、低脂質な食材を選んだりするといった工夫をして摂取するようにしてくださいね。
・おいしい大豆プロテイン
大豆特有の香りや苦みがほとんどなく、軽くシェイクするだけで完全に溶けきるので、とても飲みやすい商品です。
1回分でタンパク質が10gに加え、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB群が摂取できるので、50代から不足しがちな栄養素をカバーしてくれます。
また、乳製品を使用していないので、乳糖不耐症の方でも気にせずプロテインを摂ることができます。
・inゼリー プロテイン
タンパク質のほかに、カルシウムやビタミンB群も含まれている他、ホエイプロテインよりも吸収が早いホエイペプチドが豊富に含まれております。ヨーグルト味で飲みやすく、粉末などを混ぜる手間もないため、お手軽に摂取できます。
脂質がゼロで、エネルギーも低いため、体重コントロールをしている場合にもおすすめです。
【BMIの計算方法】
栄養の摂取量はシニアの健康状態によって異なりますが、厚生労働省発表の「食事摂取基準(2015年版)」によると、70歳以上のシニアは「BMI(体格指数)」を「21.5~24.9」に保つのが望ましいとされています。
BMIの計算方法は、「体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}」。この計算式で求めたBMIが「21.5~24.9」に収まっていれば食事量は適当、下限より少なければ栄養不足、上限より多ければ栄養の摂り過ぎとなります。
運動と正しい栄養のバランスをうまく保つことが、元気なシニアであり続けるための秘訣。
とりわけ運動好きなシニアの皆様は、カラダを動かした後に必要な栄養をしっかり摂ること、日頃、運動習慣がない方は、転倒など起こさない為にも、運動を始める前に体調チェックなど安全面を考慮し、無理をしない範囲内で行うよう気を付けてくださいね。