競技で力を発揮するために、アスリートを支える一つが毎日の食事です。それはジュニア・キッズアスリートにとっても変わりません。
なおかつ子どもたちは、成長のために必要なエネルギーや栄養素が特徴的です。1日3回の食事を基本にして、食事バランスを意識することは大前提ですが、そのほかにもジュニア・キッズアスリートの栄養面で配慮が必要な場合があります。
今回はジュニア・キッズアスリートに必要な食事面での配慮について解説していきます。
スポーツを行っている子どもは、行っていない子どもよりも必然的に活動量は多くなります。厚生労働省が示している「日本人の食事摂取基準2015」の推定エネルギー必要量を見ると、活動量の多い子どもは大人に近いエネルギー量が必要だと分かります。
体が小さくても多くのエネルギーが必要なのは、「生命を維持するため」「日常活動をするため」「成長するため」と考えられます。ジュニア・キッズアスリートでは、さらに「運動で消費するエネルギー」も補わなければなりません。
食事で重要だと考えられるのは、栄養バランス、食べる量、食事や補食のタイミングです。
競技によって活動量は異なり、消費エネルギー量も変化します。1回の食事で足りない栄養素があるなら、1日の食事の中で補うなど、トータルで考えるとよいでしょう。3回の食事で補えないのであれば、練習前後の補食も取り入れます。
また、食べている食事の内容や量が適切かどうかは、身長や体重が順調に増えているか、貧血など体に現れている症状がないかなどによっておおよその判断をすることができます。
ヒトは食べたものからエネルギーをつくりだしたり、調子を整えたりしています。栄養素は複合的に体のなかで働いているため、特定の食材ばかりを摂ることによって、不調をきたす恐れが考えられます。
個々の食材で含まれている栄養素は異なり、詳細に注目すると栄養バランスを整えるのは難しいと感じるかもしれません。そのようなときは、まず、5つの料理区分のメニューを揃えることから始めてみましょう。具体的に示すと以下になります。
・主食:ごはん、パン、麺類 など
・主菜:肉、魚介類、卵、大豆・大豆製品 など
・副菜:野菜、海藻類、きのこ類、イモ類 など
・牛乳・乳製品
・果物
5つの料理区分のメニューを揃えることに慣れてきたら、食べる量にも注目していきましょう。農林水産省と厚生労働省が作成した「食事バランスガイド」は食べる量が分かりやすく図になっています。食事バランスガイドを基本にして、競技に合わせて食事量を変えていくことも一つの方法です。
毎日の献立は、5つの料理区分のメニューを揃えることを意識しながら立てていきます。まずはメイン料理である主菜を考えてから、それに合う主食や副菜を考えていきましょう。
・主菜:サバの味噌煮
・主食:ご飯
・副菜:きんぴらごぼう、季節の野菜やキノコを取り入れた煮物
・イチゴ
・主菜:目玉焼き
・主食:パン
・副菜:季節の野菜サラダ、ホウレン草とベーコンのソテー
・ヨーグルト
例のように、まず主菜から考えると、和・洋・中のメニューに合わせ、主食と副菜を選びやすくなります。牛乳・乳製品、果物は、食事で取り入れるほか、補食で取り入れてもよいでしょう。また、季節に旬を迎える野菜は、旬以外の時期に収穫された野菜よりも栄養価が高いことが分かっています。旬の食材を取り入れながら、献立を立てることも一つのポイントになります。
栄養バランスを整えるために幅広い食材を食べることが理想ですが、子どもは好き嫌いも多いもの。嫌いなものを無理に食べさせようとすると、さらに嫌になってしまうこともあります。
大人になると刺激のあるワサビや、苦味のある山菜などを好むことがあるように、嗜好は変化しますので長い目で見ていくのも一つの関わり方です。
とはいえ、子どもが嫌いだからといって特定の食材を食卓にださないと、食べる機会を失ってしまいます。子どもが嫌いな食材は形態を変えたり、自分で食べる量を選択できるようにしていくなど、食べる機会を作りながら取り入れていくとよいでしょう。
朝起きると食欲がわかず朝食を食べられない子どもや、1回の食事で食べられる量が少ない子どもも少なくありません。ジュニア・キッズアスリートは必要なエネルギー量や栄養素が多いため、1回の食事が欠けてしまうと、十分な栄養素をまかなうことが難しくなります。食事を抜かずに、3食を食べる習慣をつけていくことを最初のポイントにしてみましょう。
睡眠中にもエネルギーや栄養素は使われているため、朝は体内の栄養素が枯渇した状態になっています。そのため、朝食で午前中の活動に使われるエネルギーと栄養素をチャージする必要があります。また、文部科学省の調査によると、「毎日朝食をとる児童生徒ほど、学力調査の得点が高い傾向」、「毎日朝食をとる児童生徒ほど、新体力テストの得点が高い傾向」と報告されています。そのため、朝食はしっかりと食べたいものです。
また、ジュニア・キッズアスリートは、練習後に食欲がわかないケースや、補食でお腹が満たされて夕食をしっかりと食べられない子どももいます。これでは本末転倒ですから、1日3回の食事をしっかりと食べることを前提に、食事と補食、練習や運動の時間などを総合的に考えて計画を立てたいものです。
もし、食べるタイミングや量を工夫しても食べられない場合は、栄養補助食品を検討してみるのも一つの方法です。
アスリートにとっては食事や補食のタイミングも大切です。森永製菓トレーニングラボで契約しているトップアスリートをはじめ、多くのアスリートは、試合でパフォーマンスを発揮するために、消化の時間も考慮して食事をしています。ジュニア・キッズアスリートも同様に食事のタイミングを意識してみましょう。
日中は学校での勉強もあるため、1日のスケジュールがおおよそ決まっているかと思います。練習に合わせて食事のタイミングを作ることが難しい場合は、補食でエネルギー切れにならない工夫が必要です。
パフォーマンスを発揮するには、運動中のエネルギー源である血液中のグルコースと筋肉と肝臓に蓄えられているグリコーゲンを十分に蓄えておく必要があります。不足すると、空腹になって集中力が低下し、疲労感も感じやすくなることが考えられるためです。ケガにつながる可能性も高くなるため、空腹状態で練習することは避けましょう。
学校が終わったあとに帰宅せず練習がある場合は、昼食から練習までに時間が空きます。練習開始の1~2時間前に、おにぎり1個、バナナ、100%オレンジジュースなど、炭水化物を中心とした食べ物でエネルギーと水分を補給します。
夕方の練習後、夕食まで時間が空いてしまうときは、運動後45分以内に補食をとりましょう。サンドイッチ、牛乳、ヨーグルト、チーズなど、炭水化物とタンパク質を含む食品を組み合わせます。
運動後速やかに補食を摂る理由は、筋肉中のグリコーゲンの回復が早くなると考えられているためです。消費したグリコーゲンを補給すると同時に、分解された分のタンパク質も摂取する必要があるといわれています。。
しかし、練習後の補食を食べ過ぎると、夕食が食べられないケースもありますので時間を考えて量を調整しましょう。
食事の補助として、おにぎりやパンなどから補食を摂ることが理想的ですが、手作りの食べ物を持ち歩くと食中毒が心配な季節もあります。常温でも持ち歩ける栄養補助食品を取り入れるのもおすすめです。ゼリー飲料、バータイプ、ドリンクタイプなど、栄養補助食品の種類は豊富で、補給したい栄養を手軽に摂ることができます。
森永製菓のinゼリーであれば、エネルギー補給やタンパク質補給など、目的に応じて選ぶこともできます。。腹持ちの良い「inバープロテイン ベイクドチョコ」は、タンパク質が豊富でエネルギー補給も同時に行うことができます。
くり返しになりますが、子どもは、生命維持と日常の活動のエネルギーに加え、成長するためのエネルギーが必要と考えられます。ジュニア・キッズアスリートは、それに加えて運動で消費するエネルギーも食事から摂ることを心がけましょう。
競技力向上のために食事は基礎となるため、練習やトレーニングと同様に日々の積み重ねが重要となります。運動量に見合った食事量と、偏りのない食事内容、適切なタイミングでの栄養補給ができるように心がけましょう。