日本人の食生活は和食が基本となります。したがって、主食のメインとなるのはご飯です。ご飯の主な栄養素は炭水化物ですが、タンパク質ももちろん含まれています。
今回はご飯に注目し、そのタンパク質の量や他の栄養素、メニューの組み立て方を解説します。
普通茶碗一杯のご飯の量は約150gで、エネルギー量は252kcalです。
まずはこの一杯にどのような栄養素がどのくらい含まれているのか紹介します。
ご飯はエネルギーの源とよく言われますが、それはエネルギーになる炭水化物を多く含んでいるからです。ご飯(白米)150g中には57.1gの炭水化物が含まれ、そのうち食物繊維が0.5gと非常に少ないのが特徴です。
例えば玄米や雑穀米など、食物繊維も多いご飯と比較すると血糖値の上昇が早いこともわかっています。肥満の人などは、血糖値をゆっくり上昇させる方が良いことがわかっているので、白米のみを食べるのではなく、雑穀米などをとり入れてみることも方法の一つと考えられます。
続いて、ご飯150g中のタンパク質量は3.8gです。肉や魚、卵と比較すると含有量は少なくアミノ酸スコアは65。決して良質なタンパク質とはいえません。
しかし、同じく主食で良く食べられるパンのアミノ酸スコアは44のため、主食のみで良質なタンパク質は摂取しづらいのです。なので、ご飯とパンの両者とも他の良質なタンパク質が含まれる食材を組み合わせて食べることでタンパク質を補足できると考えられます。
このように、タンパク質は、ある食材の不足しているアミノ酸を他の食材で補足し合い、アミノ酸組成を改善することで、良質なタンパク質として改善されると考えられます。
ご飯に不足している主なアミノ酸はリジンです。リジンが豊富な食材は動物性タンパク質あるいは大豆・大豆製品です。肉、魚、卵に加え、納豆や豆腐、煮豆をおかずに選んでみましょう。
その他に突出して多く含まれる栄養素はありませんが、ご飯には亜鉛(ご飯150g中0.9mg)や鉄(ご飯150g中0.2mg)、カルシウム(ご飯150g中5mg)が含まれています。これらの成分は必須ミネラルの主成分であり、体づくりには欠かせません。毎食食べる(食べる機会が多い)ご飯だからこそ、塵も積もれば山となりますので、コンスタントに少しずつ補えるのはうれしいですね。
また、脂質量は0.5gと非常に少ないです。食パン6枚切り1枚と比較すると1/5量に抑えられています。パンにバターを塗ると考えるとさらに脂質量の差が開きます。
では、ご飯の適量とはどのくらいなのでしょうか。ご飯は必要量に対して多めに摂り過ぎてしまうと、炭水化物の割合が多くなってしまい、タンパク質との割合がアンバランスになってしまう可能性も考えられます。
日本人の食事摂取基準2015によると、タンパク質、脂質、炭水化物の理想の摂取バランスは、タンパク質 15%(13-20%):脂質 25%(20-30%):炭水化物 60%(50-65%)と言われています。
※( )内は範囲を示しています。
このバランスから考えると、例えば一日2000kcal摂取する場合、炭水化物量は300gで、一食あたり100gです。
詳しくはこちらのコラムページを参照してください。
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=119&category=health
炭水化物はご飯以外に砂糖などの調味料をはじめ、果物や小麦粉などから一般的に一食25g程度摂取すると考えられますので、結果的に残りの75gはご飯などの主食で摂取することになります。これはご飯200g程度に相当します。
一日の総エネルギー摂取量 2000kcal → 一食あたりのご飯量 200g
このように考えると、一日の総エネルギー摂取量からゼロを1つ取り、単位をグラムにかえてみることでおおよその目安量を簡単に割り出すことができます。3000kcalの人は300g、1500kcalの人は150gといった感じです。
いかがですか?意外と簡単に自分に合ったご飯の目安量が求められますね。
ただし、炭水化物の必要量は運動量(強度や時間)によって、大きく変化します。どんなときも同じ量を食べるのではなく、運動量に合わせて食べる習慣をつけられるようにすることが大切です。
最後にご飯以外のメニュー決めは何を意識していけばよいかについて解説します。
一番イメージしやすいのが定食です。
メイン料理からタンパク質と脂質、小鉢料理や汁物に含まれる野菜からビタミンやミネラルを補えます。気をつけたいのはタンパク質量が多くなりすぎていないかという点です。
小鉢料理や汁物に煮豆や豆腐の味噌汁、ハムやちくわなどをふんだんに使った料理を選ぶとタンパク質量が増え、野菜量が不足しビタミンやミネラルを補いづらくなります。
トレーニング期に応じてタンパク質摂取量をアップさせたい時は、副菜や汁物にタンパク質源を加えることは良いことですが、野菜不足に陥っていないかを確認しましょう。
丼のご飯の量は少なくとも200g以上あることが多いのではないでしょうか。一般的には250g程度盛り付けられているかもしれません。一日の総エネルギー摂取量が2000kcal以下の人や減量を試みている人は、ご飯を少なめで盛り付けるようにしましょう。
牛丼、親子丼、海鮮丼などはしっかりとタンパク質を補えます。付け合わせの小鉢料理にはタンパク質源をあまり含まない野菜がメインの料理を組み合わせましょう。中華丼はどんぶり料理の中で野菜をしっかり補えるメニューなのでおすすめです。
中華料理や洋食で気をつけたいのは脂質量です。中華料理は食材の下処理として油通し(食材を素揚げする)をしている場合が多く、洋食はバターや生クリームなど脂質の多い食材を使うことが多いです。
メイン料理を中華料理にする場合は、脂質の少ないご飯を選び、ご飯の量を少し減らしてみると摂取エネルギー量をコントロールしやすくなります。しかし中華料理は野菜を多く使ったメニューが多いので野菜不足解消のためにメニューに取り入れるのはおすすめです。
洋食にも脂質の少ないご飯を選びましょう。パンを選ぶのであれば比較的脂質の少ないフランスパンやミネラルが豊富なライ麦パンを組み合わせましょう。
補食としておにぎりを食べる時には、ご飯のアミノ酸スコアを思い出し、ご飯のタンパク質を上手く摂り入れられる具を選んでみましょう。
鮭、シーチキン、納豆巻きは王道の具材の中ではおすすめです。スパムや鶏肉、卵が入った変わり種おにぎりも、ご飯のタンパク質を良質なものへと補ってくれます。
おかず選びが上手くいくと、毎食のように食べるご飯に含まれるタンパク質との割合をうまく調整することができます。このように、炭水化物とタンパク質の割合をうまくコントロールしたメニューの組み合わせに挑戦してみてください。