アスリートの方からダイエット時の栄養補給をお探しの方に、最近注目されている不飽和脂肪酸についてのお知らせです。
「共役リノール酸(CLA)」と呼ばれているものですが、ご存じでしょうか?
共役リノール酸は「不飽和脂肪酸」の一種で、食品では牛乳やバター、チーズなどの乳製品や牛肉に含まれています。
食品中の共役リノール酸含量が多い牛乳でさえ脂肪1g当たり5.5mg程度と非常に少ないのが特徴です。
ベニ花油、大豆油などのリノール酸を多く含む植物油を異性化して工業的に合成されサプリメントなどを商品化しています。
実は近年、この共役リノール酸に体重を減らす効果がある、という研究結果が報告されたのです。
一日の共役リノール酸摂取の目安は1,000~2,000mg程度とされています。
共役リノール酸の食事による摂取量は、ヨーロッパでは300~400mg/日、アメリカでは150~250mg/日、日本では200mg/日程度といわれてきました。
乳製品を好んで食べる欧米人ですら400mg/日程度しか摂取できていません。
日本人のカルシウム摂取量が目標量に達していないのは、欧米人に比べ乳製品の摂取量が少ないからだといわれています。
カルシウムだけでなく、共役リノール酸についても同様のことが言えそうです。
近年、体重コントロールの目的で注目された共役リノール酸について2012年に日本人を対象に日常的な摂取量が調査されました。
その結果、これまでの報告よりもはるかに少なく、日本人は日常的に食事から37.5mg/日の共役リノール酸を摂取していることが報告されました。
主に牛乳やクラムチャウダー、フルーツヨーグルト、マカロニグラタンなど乳製品由来のものが摂取源と予想されました。
これにより、日本人の日常的な食事からの共役リノール酸摂取では有効な生理作用を得るには不十分であり、サプリメントの摂取が不可欠であるとされました。
(本間太郎,日本人の共役リノール酸摂取量に関する考察,日本食品化学工学会誌第59巻第2号,2012)
食品に含まれる共役リノール酸の量はごくわずかなため、日本人の食生活において食事だけでまかなうのは難しいのが現状です。
そんな時に役立つのが、共役リノール酸を含んだ栄養補助食品です。
前述の研究報告では日本人は1日2300mgの共役リノール酸サプリメントを長期摂取することで有益な生理作用を得ることができると考えられるとあります。
従来の「脂肪酸型共役リノール酸」は独特の風味で少々食べにくかったのですが、近年開発された「食用油型共役リノール酸」なら食べやすさも格段にアップしています。
しかも、食用油型共役リノール酸は「食用油」と同じように使えるので、加工食品が作りやすいというメリットがあります。
例えば、最近ではアメやガム、タブレット、ゼリー飲料など、様々なタイプのサプリメントが登場しています。
また、L-カルニチンを同時に摂取することで、ダブルでサポートが期待できます。
有酸素運動と併用する場合は運動開始30分前に飲むと、体に働きかけやすくなります。
運動をしない場合は、食事の15~30分前に摂取することをおすすめします。
共役リノール酸は不飽和脂肪酸という“油”なので、脂肪の吸収を低下させるキトサンや吸収スピードを遅らせる難消化性デキストリンなどとは一緒に摂らない方が良いとされています。
また、食品の過剰摂取による副作用は現状報告されていませんが、サプリメントの過剰摂取で便が緩くなること、逆に硬くなるなど排便への影響がでる場合があります。
共役リノール酸の効果を期待しすぎて、必要以上に摂取することは避けたほうが良いかもしれません。
共役リノール酸を3か月摂取することで体脂肪、座位腹部厚径が減少したという報告があります。(Thom E., Wadstein J., Gudmundsen O.: Conjugated linoleic acid reduces body fat in healthy exercising humans. J Int Med Res 2001;29;392-396)
参考文献
サプリメント健康辞典 一般社団法人日本サプリメント協会 集英社 2015
サプリメント・健康食品の「効き目」と「安全性」 田中平三 同文書院 2007
脂質栄養と健康 宮澤陽夫 建帛社 2005
サプリメント辞典第4版 日経ヘルス 2011