タンパク質の重要な補給源に魚介類があります。魚に含まれる栄養素は非常に豊富です。食卓に魚介類をもっと取り入れたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、肉類にはない魚介類の魅力を栄養面、調理面からご紹介します。
肉類と同等、魚類の多くはアミノ酸スコア100の良質なタンパク質です。この魚肉のタンパク質は肉類と比べ基質タンパク質(すじの部分)が少なく、消化しやすいという特徴を持っています。
では、魚ごとにタンパク質とその他の栄養素の特徴をみていきましょう。
魚は主に白身魚と赤身魚に分類されます。青魚は赤身魚に属します。
<白身魚>
白身魚は鮭(さけ)・鱈(たら)・鯛(たい)などが有名です。一つの海域にとどまっているのが特徴の魚で速筋といわれる白っぽい筋肉を多く持ちます。栄養面では脂肪が少なく、高タンパク質で、コラーゲンを豊富に含みます。刺身などではコリコリとした歯ごたえを楽しめますが、火を通すと身がふっくらとしています。淡白な味わいのため、どんな調味料とも相性がよく料理のレパートリーは広がります。
■鮭・しろさけ(エネルギー133kcal・タンパク質22.3g・脂質4.1g)
身が赤いのはアスタキサンチンと呼ばれる色素によるもので、赤身魚と思われがちですが白身魚に属します。白身魚中ではタンパク質量はトップクラスです。
魚には珍しく、ビタミンB群をすべて含むため、エネルギー産生栄養素を効率よく利用できます。筋力トレーニング中など、脂肪を抑えた高タンパクメニューを摂り入れたい時は積極的に食べてみましょう。皮が苦手な人もいますが、皮の下にコラーゲンを多く含みますので、皮をパリパリに調理して残さず召し上がってください。
おすすめ料理:鮭に夏野菜入りのトマトソースとチーズをかけたオーブン焼き
皮がパリっとなり、野菜と乳製品を同時に食べられます!
■鱈・まだら(エネルギー77kcal・タンパク質17.6g・脂質0.2g)
鱈はタンパク質を多く含みながらも、脂質は1%未満と非常に少なく、カロリーは代表的な魚の中では最も少ないのが特徴です。クセがないので多様な料理にあいます。
おすすめ料理:オリーブオイルなどの良質な油で香りと共に楽しめるメニューにすると、味に深みがでてより美味しくいただけます。減量中はきのこと一緒にホイル焼きにするとボリューム感でも満足のいく一品に仕上がります。
■鯛・まだい(エネルギー142kcal・タンパク質20.6g・脂質5.8g)
脂質が少なく、グルタミン酸やイノシン酸などのうま味成分を含み、アミノ酸のタウリンが豊富な白身魚です。栄養ドリンクにも含まれるタウリンはトレーニングしている方に摂り入れて頂きたい栄養素です。
おすすめ料理:鯛の煮つけ(レモン醤油味)。高級魚のため、試合前の勝負飯の食材に選んでみてはどうですか。レモンを加えると疲れもとれて一石二鳥!
<赤身魚>
赤身魚でよく食べられるのは、鯵(あじ)・鯖(さば)・鮪(まぐろ)などです。これらは回遊魚で遅筋といわれる持久力の高い筋肉を多く持ちます。遅筋にはヘモグロビンやミオグロビンといわれる血色素が含まれるので赤身を帯びています。
栄養面では、高タンパク、高脂肪でうま味が強いのが特徴です。高脂肪といってもDHAやEPAといわれる多価不飽和脂肪酸を多く含む良質な脂として有名です。血合いには鉄分を多く含みます。
■鯵・あじ(エネルギー126kcal・タンパク質19.7g・脂質4.5g)
必須アミノ酸の量が多く、バランスが良い、肉や大豆に劣らない魚です。
魚では珍しく、魚肉中のカルシウム量が豊富です。
タンパク質と良質な脂をバランスよく食べられるので、鯵を食べる頻度を増やしてみると良いでしょう。
おすすめ料理:あじのマリネ 柑橘系のフルーツ(グレープフルーツなど)と一緒にマリネすると食欲がないときでもさっぱり食べられます。
■鯖・まさば(エネルギー247kcal・タンパク質20.6g・脂質16.8g)
ごまさば(エネルギー146kcal・タンパク質23.0g・脂質5.1g)
たいせいようさば(エネルギー326kcal・タンパク質17.2g・脂質22.3g)
良く売られている鯖は、まさば、ごまさば、たいせいようさば(弁当や惣菜に使われる)です。3つを比べるとエネルギー量と脂質量に大きな違いがあります。
魚の中では高タンパク、高脂質の代表です。良く食べられるメニューに味噌煮、竜田揚げがありますがエネルギーがさらに増える調理法なので減量中は注意が必要です。ごまさばを選ぶことでカロリーが抑えられるので、鯖の種類に注目して購入してみましょう。
おすすめ料理:タンドリーサバ タンドリーチキンの要領で鯖を漬け込んで焼きます。余分な油を使わず、魚の臭みがカレー粉で軽減されるので食べやすいです。
■鮪・赤身(エネルギー125kcal・タンパク質26.4g・脂質1.4g)
鮪といえば、刺身でトロの部分を食べたい人も多いと思いますが、かっこいいカラダづくりのためには赤身を選びましょう。高タンパクで、低脂質でありながらDHAの含有量は魚介の中でも群をぬいています。
おすすめ料理:海鮮丼 やはり刺身で食べたい!というときに。エネルギー源である糖質をしっかり補いたいトレーニング前にも向いています。
<えび・たこ・いか・貝>
■えび・ブラックタイガー(エネルギー82kcal・タンパク質18.4g・脂質0.3g)
いか・するめいか(エネルギー83kcal・タンパク質17.9g・脂質0.8g)
たこ・まだこ(エネルギー76kcal・タンパク質16.4g・脂質0.7g)
えび、いか、たこの特徴としては、白身魚よりもさらに低脂肪でありながら、タンパク質を多く摂取できる食材です。たこやいかにはアミノ酸のタウリンも豊富です。
おすすめ料理:野菜や海藻と一緒に料理がしやすいので、副菜に含めるタンパク質源として利用してみましょう。
■あさり(エネルギー30kcal・タンパク質6.0g・脂質0.3g)
しじみ(エネルギー64kcal・タンパク質7.5g・脂質1.4g)
貝類は100g中のタンパク質量は魚介類にくらべ少ないだけでなく、1回の食事で100g摂取することはほとんどありません。したがって、貝類でタンパク質を補給しようとするのではなく、あさりに含まれるヘム鉄やシジミに含まれるアミノ酸であるオルニチンなど微量栄養素をとりいれるためと考えましょう。トレーニングで疲れた体を良好に導いてくれます。
おすすめ料理:汁物にいれて摂るように心がけましょう。
<ツナ缶・魚肉ソーセージ・かまぼこ・はんぺん>
■ツナ缶・水煮ライト(エネルギー71kcal・タンパク質16.0g・脂質0.7g)
ツナ缶・油漬けライト(エネルギー267kcal・タンパク質17.7g・脂質21.7g)
ツナ缶は手軽に料理に加えられる万能食材です。油漬けではなく水煮を選ぶことで、カロリーコントロールが容易になります。
■魚肉ソーセージ(エネルギー161kcal・タンパク質11.5g・脂質7.2g)
かまぼこ・蒸し(エネルギー95kcal・タンパク質12.0g・脂質0.9g)
はんぺん(エネルギー94kcal・タンパク質9.9g・脂質1.0g)
水産加工品でおすすめなのはかまぼこやはんぺんです。加工段階の水さらし(魚の血液や脂肪を洗い流す)で低脂肪となり、消化吸収に優れています。魚肉ソーセージは加工段階で豚脂を加えるため脂質があがります。
これらの水産加工品は食塩量が増えることも知っておきましょう。
魚介類でも栄養バランスは様々です。まずは頻度高く食べている魚介類に多く含まれる栄養素を確認し、自分に不足している栄養素を探し出してみましょう。栄養バランスをとるためにも1週間に1回でも多く魚料理を取り入れてみてください。
魚だけでは摂取しにくい栄養素もしっかり摂取する必要があります。
「inバープロテイングラノーラ」は高タンパク低脂質で朝食で足りない栄養素の補給や、間食・運動後のタンパク質補給におすすめです。
またこちらの記事も参考に、魚介類と他の高タンパク質食品を比較してみましょう。
タンパク質が多い食品を紹介。高タンパク食品を手軽に摂取!
参考
栄養がわかる 体によく効く食材辞典 廣田孝子監修 学研パブリッシング 2014
七訂 食品成分表2017