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アスリートは、競技特性によって、ウエイトコントロールが有効な場合があります。
例えば、ラグビーのフォワードは、体を強く大きくするためにトレーニングと食事量を増やして、増量するアスリートがいます。柔道では、出場階級の体重に合わせるため、試合前に減量を行うアスリートがいます。さらに、スポーツクライミングの競技特性は、指1本で体を支えることもあり、必要以上の体脂肪は重りとなり、競技に影響する可能性があるため、ウエイトコントロールを行うアスリートもいます。しかし、減量時はエネルギー不足の状態になりやすいため、体脂肪量だけではなく、除脂肪量(主に骨格筋量)も減少する可能性があり、パフォーマンスの低下を招く危険性も潜んでいます。したがって、出来る限り除脂肪量を維持して減量するための方法を行うことが必要です。実際に、選手と減量を行うと決めたときは、さまざまな情報を収集し、また、こまめに現状を確認しながら進めています。
今回は、体組成とパフォーマンスの観点から、アスリートの減量時のタンパク質摂取量について述べられているAmy J. Hectorら(2017)のレビュー論文の概要をご紹介します。
エネルギー摂取量の制限中の運動能力を維持または改善するために、推奨量よりも多くタンパク質を摂取することは、明確なメリットが示されています。エネルギー摂取量の制限を受けているアスリートのタンパク質の推奨量は、体重1㎏あたり1.6〜2.4 g /日です。減量率や体組成などの要因に応じて変化する可能性がありますが、タンパク質エネルギー比率では10~35%の範囲内です。総タンパク質摂取量の増加に加えて、良質なタンパク質(主に動物性食品)の摂取、1日を通してタンパク質を均等に分けて摂取、さらにレジスタンストレーニング後に良質なタンパク質を摂取することが有効です。ホエイプロテインなどのサプリメントは、筋タンパク質合成を促進するためのタンパク質の摂取量を確保するために役立つ場合があります。
(文献)
Amy J. Hector, Stuart M. Phillips, (2017) Protein Recommendations for Weight Loss in Elite Athletes: A Focus on Body Composition & Performance, Int J Sport Nutr Exerc Metab, 28, 2, 170-177.
今回のエビデンスにある1.6~2.4g/kg/日を参考に、サポートしているアスリートの減量時は、必要なタンパク質量が摂取できるよう栄養摂取のプランを検討します。
一例ですが、体重50㎏の選手の減量では、タンパク質摂取量を2.0~2.3g/kg/日に設定しています。1日のタンパク質量は、100~115gになり、この量を1日で振り分けていきます。エビデンスにあるように、1日を通して均等にタンパク質をとることが必要ですので、1食でたくさんとるのではなく、3食と補食の計4~5回に振り分けます。朝食・昼食・夕食で、各30g、練習後の補食で10gと設定します。
その際の、食事例をご紹介したいと思います。
<1日の食事(体重50kgの選手の場合>
朝食:鶏むね肉80g、卵1つ、ごはん130g、味噌汁、サラダ、ヨーグルト、果物
昼食:豚もも肉80g・豆腐150g、ごはん130g、味噌汁、お浸し、果物
夕食:鮭1切れ、納豆1パック、ごはん130g、味噌汁、サラダ、ヨーグルト、果物
補食:プロテイン(練習後)
上記の食材を食べることで、約100gのタンパク質を補うことができます。
減量時は、脂質を摂り過ぎるとエネルギー過多になる可能性があること、さらに食事量を減らすことによって、その他栄養素の摂取量が減る可能性もあることから、練習後はビタミンやミネラルも含まれるホエイプロテインを活用しています。
最近、タンパク質を多く含む商品が、コンビニやスーパーでも多数見受けられるようになっていることから、私自身は注目されている栄養素であると考えています。しかし、全体のエネルギー量やその他栄養素のバランスが大切なので、タンパク質だけをむやみに増やし過ぎないように気を付けてほしいと思います。今回の例でも示したように、肉や魚1人前(80g程度)に、納豆、卵、豆腐を追加することで全体のタンパク質量を整えています。減量時は、納豆や豆腐などの植物性タンパク質に偏りがちなこともあるかと思いますが、ひとつの食材だけを多用すると、栄養素もその食材に含まれるものに限定されてしまいます。肉類、魚介類、卵類、大豆製品を、バランスよく摂取するように心掛けてください。
※2015年版食品成分表より
今回提示した一例を参考に、減量時のタンパク質摂取量を1.6~2.4g/kg/日として計画し、その中で動物性食品を取り入れ、1日3~5回に分けて均等に摂取することを実践してみてはいかがでしょうか。また、運動後には動物性食品やホエイプロテインを摂取することも重要です。一方で、エネルギー摂取量が増加してしまうと増量する可能性もありますので、タンパク質を追加する場合は、その他の栄養素から摂取するエネルギー量を調整してください。出来るだけ除脂肪量を落とさず、パフォーマンスを維持できる減量になるのではないでしょうか。
(文責)
三好友香
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