ボジョレー・ヌーヴォー解禁!
身体にやさしいワインの楽しみ方

毎年11月に入ると、ワイン売り場などで「ボジョレー・ヌーヴォー解禁!」というPOPやポスターを目にすることが増えませんか? ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は、毎年11月の第3木曜日。今年は11月16日です。今回は、ソムリエの青木先生にボジョレー・ヌーヴォーをはじめ、ワインの楽しみ方を伺ってきました。

監修

ララクリニック総院長
ワインスクール レコール・デュ・ヴァン講師
青木 晃 先生

1961年、東京都生まれ。防衛医科大学校医学部卒業後、自衛隊医官として防衛庁に勤務。防衛庁退職後は恵比寿アンチエイジングクリニック院長、順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授、横浜クリニック院長を経て、現職。「老化が病気を引き起こす」という観点からアンチエイジングのフィールドで活躍する抗加齢医学の第一人者。赤ワインに含まれるレスベラトロールのアンチエイジング効果を研究する中で2011年に日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を取得。2013年からはワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」でワインの講師も務める。

1961年、東京都生まれ。防衛医科大学校医学部卒業後、自衛隊医官として防衛庁に勤務。防衛庁退職後は恵比寿アンチエイジングクリニック院長、順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授、横浜クリニック院長を経て、現職。「老化が病気を引き起こす」という観点からアンチエイジングのフィールドで活躍する抗加齢医学の第一人者。赤ワインに含まれるレスベラトロールのアンチエイジング効果を研究する中で2011年に日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を取得。2013年からはワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」でワインの講師も務める。

なぜボジョレー・ヌーヴォーは毎年話題になるの?

ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランスはブルゴーニュ地方の南側にある、ボジョレーという地区で造られる新酒のことです。

北半球では9月の終わりから10月の半ばにかけて葡萄を収穫し、アルコール発酵を起こさせてワインを造っていきます。通常ワイン、とくに赤ワインは瓶に詰める前に少し樽で寝かせて熟成させるのですが、熟成させずに1ヵ月半ほどで造る新酒がボジョレー・ヌーヴォー。1800年代頃から、はじめは収穫を歓ぶお祭りのような形で始まりました。

11月の第3木曜日が解禁日と決まっているのですが、日付変更線の関係で、その日を世界で一番早く迎えるのが日本なのです。日本人の早いもの好きも相まって、日本ではボジョレー・ヌーヴォーに関心が高いのでしょう。

ボジョレー・ヌーヴォーのおいしさとは?

ブルゴーニュ地方はとても良い赤ワインと白ワインを造るところです。白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールという葡萄の品種を使いますが、ボジョレーはガメイという少し変わった品種が使われています。ボジョレー・ヌーヴォーには赤ワインとロゼワインしかありません。白のボジョレー・ヌーヴォーはないのです。

赤ワイン、とくにカベルネ・ソーヴィニヨンという品種は、しっかりと渋みがのっていて色が濃く、少し重い感じがします。対してボジョレー・ヌーヴォーは1カ月半ほどで造ってしまうので、基本的にはフレッシュでとてもフルーティー、ジューシーなワインです。ふつう赤ワインは冷やすと渋みが強く出てしまうため常温で飲むのですが、ボジョレー・ヌーヴォーはタンニンという渋みがあまりついていないので、少し冷やして飲むとおいしくいただけます。アルコール度数もほかのワインと比べると低く、葡萄ジュースにちょっとアルコールがのったくらいの軽いお酒なので、すぐ開けてすぐ飲むのが適しています。セラーに寝かせることはせず、あくまで収穫祭のニュアンス、イメージで楽しみましょう。

ワインが身体に良いイメージがある理由って?

「フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)」というお話があります。
バターなどの脂分を多く含む、こってりしたフランス料理を頻繁に食べていると、動脈硬化を起こしやすい食生活になりがちなのに、フランス人には心筋梗塞で亡くなる人が少ない。それは赤ワインを常飲しているからだ、ともいわれています。その説が有名になって、赤ワインは身体によいのではと人気になったのかもしれません。

赤ワインにはポリフェノールが豊かに含まれています。赤ワインは、葡萄の汁と一緒に皮と種ごと入れて酵母菌で発酵させて造ります。アルコールが抽出成分になって、皮・種に含まれているポリフェノールがどんどん出ていくことで、赤ワインの中にはポリフェノールがたくさん入っていくのです。レスベラトロールというポリフェノールが皮に含まれているのですが、これは長生きの遺伝子を活性化させたり、色々なアンチエイジング効果や美肌効果があるという研究結果も出ています。色が濃くて渋みが強い(タンニンが豊富)ワインのほうが抗酸化力は高いとされています。

一方、白ワインははじめに葡萄ジュースを絞り、皮と種は外してから、葡萄ジュースだけを発酵タンクに入れて酵母菌で発酵させるので、赤ワインに比べるとポリフェノールは少ないのですが、白ラインには、むくみに良いと言われているカリウムが多く含まれています。また、カルシウムとマグネシウムのバランスが良く、腸内細菌のバランスを良くする作用もあります。

二日酔いや悪酔いを防ぎながらワインを楽しむテクニック

二日酔いや悪酔いの原因のひとつはアルコール度数にあります。分解できるアルコールの絶対量は人によって、体質によって様々ですが、その限度を超える量を飲んでしまうとアルコールが分解しきれずに二日酔いや悪酔いになってしまいます。それを防ぐために、アルコール度数をひとつの目安にすると良いでしょう。ワインを飲んだら同じくらいのお水を飲みながら楽しむのがオススメです。

アルコール度数で言うと、白ワインでは11.5%~13%ほど、赤ワインでは12.5%~15%ほどと、ワインによっても幅があります。ニューワールドと呼ばれる、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランドで造られたワインは、アルコール度数がちょっと高い。温暖な場所だと葡萄がよく熟すので、糖が増すと、豊富な糖がみんなアルコールに変わることでアルコール度数が上がるのです。

また、辛口のワインは糖がすべてアルコールに発酵しているので糖質は少なく、100ccあたり0.06~0.2gとほとんどありません。一方で、貴腐ワインやアイスワイン、ポートワインには糖がたくさん入っているので、飲み過ぎると太りやすいので、太りたくない方は気にしてみると良いかもしれません。

たんぱく質や食物繊維が豊富なおつまみと合わせて健康的にワインを楽しもう

ボジョレー・ヌーヴォーはフレッシュでジューシーなので、軽いスナックのようなおつまみがオススメです。 よくチーズとワインはセットで考えられますが、ワインが造られた地方やその近所で造られているチーズはすごくマッチングします。普段、油断していると不足しがちなたんぱく質を摂る意味でもチーズは最適です。

また、ボジョレーはほかの赤ワインと違ってライトなのでお魚にもマッチ。 お魚も良質なたんぱく質が摂れますし、オリーブオイルはワインに合うので、カジキをオリーブオイルで焼いたものなどが僕のおすすめです。 ボジョレーのさっぱり感にはマリネなどもマッチ。食物繊維を豊富に含むキノコを加えることで糖質・脂質の吸収もゆるやかにしてくれます。

ワインにはナッツも合いますね。 赤ワイン、一部の白ワインは樽熟成と言って、ワインができた後に樽で寝かせるのですが、樽は内側を焦がしているため、焦がした香りがワインについてくるのです。その「樽香」のひとつの代表選手がナッツ。ワインの香りを「ナッティーな香り」や「アーモンドの香り」と表現することもあるくらいです。ワインは香りを楽しむ飲み物でもありますから、樽香のついている、“樽が効いた”ワインにナッツを合わせるのはとても良いです。また、チョコレートやドライフルーツなら、食物繊維を含むものを意識的に摂るといいですね。
ボジョレー・ヌーヴォーのシーズン、さっぱりワインの味わいと健康的なおつまみのバリエーションを楽しんでみてください。

からだにいい食材たっぷり!ワインにぴったりのひと手間レシピ

1. かじきのグリル オリーブソースかけ 【材料】
かじきまぐろ … 2切れ
塩 … 小さじ1/5
こしょう … 少々
ブラックオリーブ(種なし) … 8粒
にんにく(みじん切り) … 1/4片方
アンチョビ … 1本
オリーブオイル … 小さじ1
白ワイン … 大さじ1
レモン汁 … 小さじ1
プリーツレタス … 1枚
プチトマト … 4個





【作り方】
①オリーブはみじん切りにする。アンチョビは細かくたたく。フライパンにオイル、にんにくを入れて火にかける。
②香りが出たらアンチョビ、オリーブを炒め合わせる。ワインを加えて煮立て、レモン汁を加える。
③かじきは塩、こしょうをし、魚焼きグリルで両面を焼く。器に盛り、レタス、プチトマトを添えて②のソースをかける。

2. きのこのギリシャ風マリネ 【材料】
しめじ … 80g
しいたけ … 3枚
エリンギ … 大1本
コリアンダー … 5粒
タイム … 少々
ローリエ … 1/2枚
白ワイン … 大さじ1
オリーブオイル … 大さじ1/2
レモン … 1切れ
塩 … 小さじ1/5
こしょう … 少々





【作り方】
①しめじは石づきを取って、小房に分ける。しいたけは石づきを取り、4つに切る。エリンギは半分に切り、さらに縦に4~6等分する。
②鍋に①、Aを入れて中火にかける。中がチリチリしてきたら、弱火にして10分煮る。そのまま冷まして、味をなじませ、器に盛る。

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