すこやかな美肌をつくるために
必要な栄養素とは?

夏はベタつき、冬は乾燥。年々気になりだす、ハリや弾力。肌の悩みは一年じゅう尽きません。すこやかな美肌をつくるためには、何が必要なのでしょうか。前田憲寿先生に伺ってきました。

監修

東京工科大学 応用生物学部 教授
前田 憲寿 先生

九州大学大学院薬学研究科修士課程終了。東北大学大学院医学研究科(皮膚科学)、資生堂勤務を経て、2007年より現職。化粧品成分や美容食品、美容機器、香りによる心理・薬理効果など最先端の美科学研究を行う。

九州大学大学院薬学研究科修士課程終了。東北大学大学院医学研究科(皮膚科学)、資生堂勤務を経て、2007年より現職。化粧品成分や美容食品、美容機器、香りによる心理・薬理効果など最先端の美科学研究を行う。

元気肌のキーワード・・・「コラーゲン」

皮膚の約40%はコラーゲンというたんぱく質で構成されています。ハリや弾力といった力学的な強さをつくるために必要な“真皮”のほとんどを占めるのがコラーゲンなのです。コラーゲンは、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンという、3つのアミノ酸がいくつもつながってできています。

グリシンには、快眠作用やリラックス促進作用があるので、ストレスを緩和することで肌にも良いと言えます。ヒドロキシプロリンはコラーゲンにしか含まれていないのですが、肌の水分量を上げる作用があり、化粧水などにも配合されています。保湿作用のあるアミノ酸はいくつかありますが、肌の水分量を上げる作用はヒドロキシプロリンが強いので、非常に特徴的なアミノ酸なのです。

コラーゲンは年齢とともに減少する!?

細胞というのは、歳をとるにつれて色々なものをつくらなくなっていくものです。コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出す線維芽細胞も同様です。年齢とともに自分でつくれなくなってきてしまい、コラーゲンやエラスチンなどが減少してしまうことで、弾力性が下がると思われます。皮膚がどんどん薄くなったり、シワになったり、ちょっとぶつかっただけでも修復力がなくなって青あざになってしまったりするのです。

コラーゲンは肌だけではなく、髪や爪も丈夫になるという論文があります。コラーゲンそのものには糖分・脂質がなくヘルシーです。足りないぶんを補うことは、美容だけではなく体型・スタイルを維持するためにも良いことだと言えます。減ってしまうと元に戻すには何十倍も努力をしないといけませんから、減らないように予防するのが一番良いかもしれません。

美肌のために良い栄養素の摂りかた

コラーゲンは天然の素材を使っており、まず安全であるというのもおすすめできる点です。食品からですと、たとえば鶏皮や牛すじなどから摂ることになります。しかし、そういうものには脂肪もついています。脂肪の摂りすぎや、糖質を必要以上に食べることで肥満につながってしまうこともあります。野菜とたんぱく質を摂るのが健康には一番良いのです。コラーゲンには必須アミノ酸がそんなに含まれていないという点でも、コラーゲンだけをたくさん摂るよりは、コラーゲンと他のたんぱく質を一緒に摂るのが理想的です。

また、細胞分裂でコラーゲンをつくるときにはビタミンCが必要になります。ビタミンCがあったほうが、コラーゲンがよりたくさんつくられますので、ビタミンCは毎日摂ってもらったほうが良いですね。黄パプリカやイチゴなどの野菜に多く含まれています。 また、ビタミンB群は不足すると肌荒れを起こしますので、美肌のためには、ビタミンとコラーゲンとたんぱく質を摂るのが良いでしょう。

すこやかな美肌づくりには保湿も大事!

皮膚呼吸という言葉がありますが、皮膚というのは吐くばかりで吸うことはしないのです。中からの水分が蒸発して出過ぎてしまうのを、保湿をして防ぐことが大事になってきます。コラーゲンを化粧品に入れる一つの目的は、保湿作用があるからです。保湿作用、そして弾力性をあげることによって、うるおいとハリを与えるのが、コラーゲンの肌への良い影響だと言えます。 すこやかな美肌をつくるためには、バランスのとれた食事と適度な運動、快眠、紫外線対策、そして冬の乾燥時には特にしっかり保湿することが大切です。冬場は皮脂が少なくなるので、お風呂に入る際は熱いお湯に気をつけましょう。また、ボディーソープを洗浄力の強くないものにするなど、季節ごとに自分に合ったものに変えてみるのも良いかもしれません。

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