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医療現場でのココア利用事例報告

当ページは医療従事者の方を対象としています

CASE REPORT:褥瘡会誌、2012, 155にて報告

ココアを臨床に応用したきっかけと目的

当院は慢性期医療の病院で、他院や他施設からの長期療養目的の入院時、既に褥瘡罹患している方が多く、最近では難治性の症例が増えている。
私達の病棟は54床の介護療養型医療施設で、平均年齢が86歳、80%が寝たきりだが、早期発見、早期対処に励み、ここ2〜3年間は、開放性湿潤療法(ラップ療法)を基本処置とし、褥瘡有病者が3名以下に留まっている。
同一部位に褥瘡の再発を繰り返す症例に頭を抱えていた時、NHKテレビで『ココアによる創傷治癒促進効果』をヒントに安全食品のココアを試みた。

データおよび説明

ココアには、創傷治癒に有効とされる亜鉛・銅の含有量が多く、特にそのポリフェノールには、過剰な炎症反応を抑制する働きがあり、薬物や処置の変更ではなく副作用のない食事として使用できるのが最大のメリットである。

1)当初に、 両第五趾外側部にⅡ度とⅣ度の2箇所の褥瘡がある陳旧性の脳梗塞患者に試みた。
この症例は、両下肢が90度に硬く屈曲し、股関節の拘縮も強く下肢の開脚が困難で、体位変換に工夫を凝らしても患部が常に圧迫され、治癒と再発を繰り返していた。方法として調整ココア30gを85mlの白湯で溶き、全体量を100mにして1日1回胃瘻から注入した。
Ⅳ度の褥瘡には、ポケット形成があったが2週間で褥瘡はⅡ度まで改善し、3ヶ月で治癒した。

2)上記の症例で著しい効果が認められたので、その後も、9例の褥瘡患者にココア療法を実地した。
上記の方法による治療症例10名の内訳は、胃瘻注入が5例で、経口摂取可能な5例はココア液をそのまま、或いはトロミ付きで飲用させた。ほぼ1から3ヶ月で著しい治癒効果が現れることが判明した。特に良性肉芽の盛り上がりが顕著で、難治性の深い褥瘡症例に使用すると効果が大きいと思われるので、現在このような症例を重点的に選んでココア療法を継続、試用している。

コメント

私たちの病棟は介護施設であるため、痛み、苦痛を伴う治療、あるいは高価な治療材料の長期使用が困難である。ココア療法に出会いおいしく飲んで頂きしかも創傷治療に効果があるとの情報は画期的だった。再発の繰り返す症例に試用して効果がみられたのは嬉しかった。現在、Ⅳ度の褥瘡で他院から私達の施設に入所した2人にココア治療を試みており、良好な効果を期待している。ちなみに、ココアの投与により便秘の改善がみられる症例があることも新朗報である。今後も、ココア療法を積極的に継続、推進していく予定である。

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