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医療現場でのココア利用事例報告

当ページは医療従事者の方を対象としています

CASE REPORT:第26回及び第27回日本静脈経腸栄養学会にて報告

ココアを臨床に応用したきっかけと目的

10年ほど前に銅欠乏性貧血の症例に対して、文献を参考にココアで治療しました。その過程で、下痢を改善する効果があることに気付きました。また在宅患者さんの銅欠乏症の治療にココアを使用した所、それまで困っていた下痢の劇的な改善を認めました。当院では難治性の下痢に対しては栄養サポートチーム(NST)が対応していますが、このような経験を踏まえ、現在ではココアの補充を難知性下痢症の治療の選択肢として採用しています。

データおよび説明

これまでに学会で発表した4例の紹介をします。症例1は脳梗塞で寝たきりの患者さんです。嘔吐を繰り返すため経胃瘻的空腸瘻を造設し、栄養管理をしていましたが、在宅診療開始後も約8ヶ月間に渡り1日2−4回の水様下痢が続いていました。この間、消化態流動食、プロバイオティクス、食物繊維を使用しましたが無効でした。経過中銅欠乏症を発症し、治療目的にココアの使用を開始した直後から水様下痢は消失しました。
その後報告した3例は当初から下痢の治療目的にココアを使用した症例です。全例経管栄養が行われており、NSTが介入し、下痢改善の為に可能な対処を行ったものの効果が見られなかった症例です。ココアの使用で、すべての症例で下痢の改善を認めました。便の性状の変化は水様便が泥状便や軟便に変化した程度ですが、この程度の改善でも看護や介護にとっては大きな負担軽減につながります。
もちろん、患者さんの栄養状態や肛門周囲の皮膚状態も改善しました。

  栄養経路 ココア初回投与量 ココア投与期間 便性状の変化
症例1
90代女性
経胃瘻的空腸瘻(PEG-J) 45g/日 90日間 水様便→軟便
症例2
70代男性
経鼻経管栄養 45g/日 37日間 水様便→泥状便
症例3
90代女性
胃瘻(PEG) 45g/日 40日間 水様便→軟便
中止後泥状便
症例4
90代女性
経鼻経管栄養 45g/日 23日間 水様便→軟便
中止後水様便

コメント

ココアの使用量は、当院では1日量45g(1日3回に分けて流動食に混和して注入)から開始し、便性状の改善が見られたら徐々に減量または中止しています。
ココア使用の利点は食品である事から、安心して使用できることです。ただし多くのミネラルを含んでいるため、腎機能が悪い患者ではカリウムやリンの上昇に注意が必要です。
ココアには不溶性食物繊維のリグニンによる便性状改善作用や腸内細菌の改善効果の他、カカオポリフェノールによる小腸のCl-イオン輸送阻害作用があると報告されています。また便秘の改善効果や便臭改善効果の報告もあり、病院入院中の患者さんや施設入所者などで、排便に介助を要する経口摂取患者にも応用できるものと考えております。

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