自転車教室でアスリートの理想の食事について学ぶ~ジュニアに向けて~
スポーツをする人や支える人は、身体づくりやコンディション維持などのために、食事に気を付けていることも多いと思います。ジュニアアスリートの場合は、保護者の方も栄養に関する興味関心を持たれているかもしれません。そういった選手や保護者に役立つ栄養情報は、近年インターネットなどで容易に入手できる一方で、適切な情報選択も重要だと思います。
2021年度から森永製菓inトレーニングラボは、神奈川(横浜)と静岡のマウンテンバイク教室Bicycle Academy(以下BA)のトレーニングと栄養のサポートを開始しています。トレーニングは準備運動のプログラム作成、そして栄養は動画配信を通して、生徒たちが健康に楽しく自転車の練習を続けることができ、さらに上達していけるようなサポートを目指しています。 BAには小学生低学年~高学年(一部中学生)が参加しています。詳しい教室の情報は、BAのHPを是非ご覧ください。(https://bicycleacademy.jp/)
これまで、成長期のジュニアアスリートの身体や、水分補給について、配信した栄養動画を基にコラムにまとめています。
・成長期のジュニアアスリートの身体について
https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=14&category=special
・水分補給について
https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=33&category=special
今回のコラムでは、「アスリートの理想の食事」の動画の一部をまとめましたので、ご紹介します。
身体のなかでの栄養素の役割
食事からとった栄養素が実際に身体のなかでどのような働きをしているか、車に例えて説明してみます。身体を動かすためのエネルギーとなる栄養素は、炭水化物と脂質でガソリンに例えることができ、身体をつくる栄養素は、タンパク質で車体に例えることができます。そして、身体の調子を整える栄養素はビタミンとミネラルで、エンジンオイルに例えることができます。
どの栄養素も身体にとって必要で、それぞれ重要な役割を担っています。特に成長期のジュニアアスリートが運動をする場合、全ての栄養素が日々不足することなく揃えられていることが、健康な身体や将来のパフォーマンスにとても重要です。
炭水化物
炭水化物は、ごはん、餅、パン、麺、いも、果物などに多く含まれています。1日3食の食事では、主食を揃えることや、果物をデザートとして揃えることがポイントです。また、運動をするときの重要なエネルギー源になるため、運動前にも補給することが重要です。inゼリーにも炭水化物が含まれているため、日々練習やトレーニングに励むアスリートは活用することも多いです。
より詳しく炭水化物について解説している別のコラムもありますので、参考にしてみてください。
・ジュニアアスリートに必要な炭水化物の量と、そのとり方は?
https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=43&category=special
脂質
脂質は、炒め油や揚げ油など調理に使用する油、マヨネーズやバターなどの調味料、オイル入りやクリーミーなドレッシング、お肉の脂身などに多く含まれています。少量で高エネルギーなのが特徴で、主に主菜などのおかずに含まれ、食材や調理方法、調味料の選択で脂質の摂取量が変化します。成長と運動に重要なエネルギーを効率的に摂取するには便利な脂質ですが、摂りすぎると体重や体脂肪の増加に繋がってしまう可能性もあります。
より詳しく脂質について解説している別のコラムもありますので、参考にしてみてください。
・ジュニアアスリートに必要な脂質の量ととり方は?
https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=35&category=special
タンパク質
タンパク質は、肉、魚、卵、大豆製品、牛乳・乳製品に多く含まれています。主に主菜を揃えることに加えて、副菜にもタンパク質を多く含む食材をプラスすることや牛乳・乳製品を揃えることで、食事からのタンパク質を確保できます。inゼリープロテインやinバープロテインは、手軽にタンパク質をとることができますが、あくまでも食事で揃えることを大前提として、不足する場合や補食でタンパク質をとりにくい状況の場合に、上手に活用することが重要です。
より詳しくタンパク質について解説している別のコラムもありますので、参考にしてみてください。
・ジュニアアスリートに必要なタンパク質の量と摂り方は?
https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=26&category=special
ビタミン
ビタミンは、種類によって含まれている食材が異なります。まず、身体を守る力である「免疫」に関わるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが重要です。ビタミンAは、色の濃い野菜やレバー、うなぎ等に含まれています。ビタミンCは、柑橘系の果物やじゃがいも、パプリカ等に含まれています。ビタミンEはナッツ類等に含まれています。続いて、身体でエネルギーをつくり出すときに必要なビタミンB群は、B1、B2 、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB12など種類が多い特徴がありますが、玄米、豚肉、にんにく、うなぎ、くるみ等のナッツ類、赤身魚などに含まれています。そして、骨や筋肉の健康維持に重要なビタミンDは、鮭やしらす等の魚や、卵、きくらげ、干ししいたけに含まれていますが、これら以外の食品にはほとんど含まれていないので、苦手であったり普段摂取する習慣がなかったりすると、不足しやすい特徴があります。また、ビタミンDは日の光を浴びると皮膚で活性化されるため、屋内で過ごすことが多い場合は、より意識して摂取する必要があります。
ミネラル
ミネラルにも様々な種類がありますが、特に成長期のジュニアアスリートが意識する必要があるのは、鉄とカルシウムです。まず、鉄は血液の中の赤血球のヘモグロビンに含まれ、酸素を全身に運ぶ役割があります。成長期には身体が大きくなり、その分血液の量も増えます。赤身の肉や魚、レバー、小松菜、ほうれん草、あさりなどに含まれる特徴があります。続いて、カルシウムも成長期に不足しないように注意が必要です。骨ごと食べられる小魚や小エビ、牛乳やヨーグルト、チーズ等の乳製品に含まれています。
アスリートの食事の基本形
それぞれの栄養素が重要であることは分かっていたとしても、そのひとつずつを意識して揃えることは簡単ではないと思います。どんな献立であっても、主食、主菜、副菜、乳製品、果物を揃えることがポイントで、これがアスリートの食事の基本形です。日々の食事でメニューを考える時に、アスリートの食事の基本形を意識して、揃っているか?不足しているものは何か?何をプラスすればより良くなるか?を考えてみてはいかがでしょうか。パッと見て「彩り」が良いことや、何か一つの食材に偏ることなく、様々な種類の食材を組み合わせることも、アスリートの食事の基本形を意識する上で重要です。
BAで配信している栄養動画は、アカデミー生と保護者の両方に見てもらえるように工夫しています。ジュニアの時から、日々の食事で「アスリートの食事の基本形」を意識することが、将来にも役立つ重要な習慣になると思います。健康に成長することとパフォーマンスのためにも、自分事として日々の食事に落とし込むことが大事だと思います。スポーツを頑張っているたくさんの小中学生とその保護者の皆様にも役立つ情報になれば嬉しいです。
(文責)
高倉 弥希