「Eルチン」とは、そばやアスパラガスなどに含まれる成分「ルチン」を酵素処理したもので、酵素処理ルチン=Enzymatically modified Rutinの略です。プロテインと同時に摂取することでプロテインの働きを強め、効率的なカラダづくりに役立ち、森永製菓が筋肥大に関して特許を取得しています(特許第6029257号)。
Eルチンに関する研究は様々行われていますが、今回は、アスリートを対象にサプリメントのプロテインパウダーにEルチンを配合することで、体組成に与える影響を調査した論文をご紹介します。
アメリカンフットボールをしている日本人男性40名を対象とし、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を実施しました。Eルチンを配合したホエイプロテインを摂取する群と、Eルチンを配合しないホエイプロテインを摂取する群に分けて、練習直後のタイミングで週に6回、4か月間試験を実施しました。体重は、体組成計(MC-190;TANITA、日本)を用いて試験開始時と4か月後に測定し、体組成パラメーター(骨塩量、脂肪量、筋肉量)は、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA;QDR-4500A;Hologic社、日本)を使用して、試験開始時と4か月後に測定しました。酸化ストレスは、活性酸素代謝物の誘導体(d-ROMs)と生物学的抗酸化力(BAP)を、フリーラジカル分析システムを用いて評価しました。
結果として、Eルチン配合のプロテイン群において、下肢筋肉量が平均930g増加し、Eルチン配合なしのプロテイン群と比較して約3.6倍の増加量でした。また、Eルチン配合のプロテイン摂取群において、抗酸化指数(BAP/d-ROMs)が上昇しました。
Eルチンとプロテインを同時に摂取することで、Eルチンが酸化ストレス状態を緩和するため、筋肉の合成が効果的に進むことが期待されています。1)
なぜならばプロテインを摂取すると分解されてアミノ酸になります。アミノ酸は、体内に吸収されて筋合成に使われますが、筋トレの炎症によって生じた活性酸素2)からダメージを受けると考えられているからです。
1)筑波大学との共同研究(麻見直美ら, 薬理と治療, 48(1), 51 (2020))で得られた結果に基づき導かれた仮説
2)活性酸素
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になること。他の物質を酸化させる力が非常に強い酸素
(文献)
昨今ではプロテイン商品が多数販売されており、各種商品によって成分の配合や味が異なり、どれを選べばよいか迷う方もいるかもしれません。たんぱく質を摂取することとあわせて、ビタミンやミネラルが含まれている商品を選択することもおすすめですが、効率的なカラダづくりを目指す方は、Eルチン配合のプロテインを選ぶことも良いかもしれません。
アスリートは、オフ期になると翌シーズンに向けたカラダづくりのために、ハードなトレーニングを行うことが多くあります。その際、選手それぞれの栄養補給計画を立案し、栄養サポートをする中で、プロテインはほとんどの選手が摂取していますが、特に筋量の維持を考えるアスリートには、Eルチン配合の商品をおすすめしています。例えば、高強度のトレーニングを行った直後は、すぐに食事や補食(固形物)を摂取することができないアスリートの場合、運動後の栄養補給にプロテインを活用します。リカバリーのためにも運動直後の栄養補給は、欠かせないポイントの一つかと思いますので、それぞれの目的に合わせて栄養補給を行うと良いと思います。パウダータイプのプロテインであれば、常温で保存可能であるため、シェイカーにパウダーを入れておき、練習やトレーニング後に水を入れてすぐに補給することができます。
今回ご紹介した論文以外のEルチンの研究では、たんぱく質の吸収を助けることや運動時の筋合成に効果的に働く理由も明らかになっています3)。運動やトレーニングをする人が飲むイメージが強かったプロテインも、健康志向の人が飲むものになってきているように感じます。健康維持を目的としてプロテインを摂取する方でも、Eルチン配合製品を活用してはいかがでしょうか。
3)麻見直美ら, 薬理と治療, 48(1), 51 (2020)
筋量維持を考えるアスリートはもちろん、健康維持などの目的でプロテインを摂取する方にも、活用できるEルチン。トレーニングをする時期や、余裕がない時期などには特におすすめです。食事からたんぱく質を摂取することに加え、Eルチン配合のプロテインを役立てていただきたいと思います。
(文責)
山上はるか