本コラムは、ジュニアアスリートに焦点を当てて、エネルギーや栄養の情報を掲載するコラムです。
森永製菓では、ジュニアプロテインやジュニアプロテインバーなど、“ジュニア”※という言葉を表記したタンパク質を含む商品を販売しています。今回は、実際にジュニアアスリートに必要なタンパク質量に着目し、どのような食材から摂取できるのかなど、具体例を交えて紹介していきます。
※ジュニアの定義については、「ジュニアアスリートがエネルギーをとることの重要性は?」のコラムを参照してください。
タンパク質は、主に身体をつくる材料となる栄養素で、身体の様々な働きに利用されています。特に身体が発育・発達する時期であるジュニア期には、タンパク質が重要であることはわかっていると思います。とはいえ、必要量以上にとることは、代謝することへの負担が大きく高くなる可能性もあるため、個人に合わせた適切な量をとることが重要です。
タンパク質の必要量は、日本人の食事摂取基準2020年版に記載されている目標量を参考にします。表1の目標量は、日本人の平均の体格から必要なエネルギー量を算出し、その13~20%のエネルギーをタンパク質から摂取できるように調整された数値です。そのため、体格が大きい場合は、より多くの量が必要となります。また、日々運動をしているジュニアアスリートの場合は、身体活動レベルが高いため、Ⅲ(高い)の数値を参考にします。
ジュニアアスリートに特化したタンパク質摂取のガイドラインはありません。そのため、日々の運動量と体重変化、身長の変化を考慮し、個人に合わせた食事量を調整することが重要です。また、身体では常に分解と合成が行われているため、タンパク質は一度にまとめて食べるのではなく、3~5時間ごとにこまめに摂ることが推奨されています。
ここからは、日頃の食事を想定して、具体的な例を示します。
10歳で35㎏の男の子、週5回サッカーをしているSくんの場合、上記の表から考えると、1日に必要なタンパク質量は、80~123gです。3食と補食1回の計4回でとる場合、なるべく均等に振り分けられることが理想ですが、朝食が少なく、夕食が多くなるケースを想定したいと思います。このようなケースの場合、私は表2のように振り分けられれば概ね良いと考えています。
実際の食事で考えると、図1のような内容になります。
タンパク質を多く含む食品は、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品です。それらを1人前の量を参考に、タンパク質を含む食品を群分けしました(図2・3)。
肉/魚群は1食あたり80~100gで、タンパク質量が15~20g程度、また、卵/豆/乳群は、1食あたり5~10g程度のタンパク質を摂ることができます。これらを参考に、1食に肉/魚群から1品、卵/豆/乳群から1品を使用していただくことで、概ね必要なタンパク質を確保することが可能です。朝食では、肉や魚を食べることが難しい場合もあると思います。その場合は、卵/豆/乳群から3品使用することで、必要なタンパク質量を確保できます。1つの食材を倍量で準備することでもタンパク質量を満たすことはできますが、その食材に含まれている栄養素だけを多く摂ることとなり、栄養素が偏る可能性もあります。また、肉類の主菜では脂質が多くなる可能性があるため、色々な食材を活用することが理想的です。
今回は、「ジュニアアスリートがタンパク質をどのように摂るか」をまとめてみました。改めてお伝えしますが、ジュニアアスリートに特化したタンパク質摂取量のガイドラインは示されていません。したがって、個人の練習量や成長に合わせて調整することが必要です。さらに、朝食や補食を含め、毎食こまめにタンパク質を摂ることができるように工夫してみてください。
(参考文献)
・日本人の食事摂取基準2020年版(参照日:2021年12月1日)
・日本食品標準成分表2020年版(八訂)(参照日:2021年12月1日)
(文責)
三好友香