本コラムは、ジュニアアスリートに焦点を当てて、エネルギーや栄養の情報を掲載するコラムです。
森永製菓では、ジュニアプロテインやジュニアプロテインバーなど、“ジュニア”※という言葉を表記した商品を販売しています。今回は、ジュニアアスリートに必要な脂質の量に着目し、どのような食材からとるかなど、具体例を交えて紹介します。
※ジュニアの定義については、「ジュニアアスリートがエネルギーをとることの重要性は?」(https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=19&category=special)
のコラムを参照してください。
脂質は、1gあたり9kcalを持つ栄養素で、重要なエネルギー源です。「低脂肪食」や「高脂肪食(ケトン食)」など、さまざまな食事方法がありますが、脂質の働きを知り、適切な脂質量を普段の食事からとることができるようにしましょう。
脂質は、エネルギー産生栄養素で、特に心臓を動かし続ける心筋のエネルギー源の多くは脂質です。それ以外にも「細胞膜などの構成成分となる・ステロイドホルモンの合成に関わる・エネルギーの貯蔵(体脂肪)を行う・脂溶性ビタミンの吸収に関わる」など、様々な働きがあります。
脂質は、様々な脂肪酸から構成されており、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。さらに、不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分類され、多価不飽和脂肪酸のn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は、体内で合成できないため、食事から摂取する必要のある必須脂肪酸です。
また、「あぶら」の表記には2種類あり、主に調味料として使用するサラダ油やオリーブオイルなどの脂質は、「油」と記載され、肉や魚などに含まれている脂質は、「脂」と表記します。
出典:https://www.instagram.com/p/CbOjxFBvd7h/?igshid=YmMyMTA2M2Y=
日本人の食事摂取基準において、脂質は目標量が定められています。1歳以上は、総脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率(%エネルギー)) で、20~30%エネルギーとされています。厳密に〇gが必要との基準ではなく、摂取エネルギーあたりで示されています。ジュニアアスリートのための基準値はありませんが、運動と成長の両方においてエネルギーが必要なジュニアアスリートは、運動量が多くなるほど必要なエネルギーも増加します。そのため、食事量も多くなることから、摂取エネルギーに見合った脂質の摂取が必要です。
また、脂質は炭水化物やたんぱく質と比較して、少量で高エネルギーを得ることができるため、エネルギー消費量の多いジュニアアスリートにとって、食事量を減らしつつ、必要なエネルギー量を摂取できるメリットがあります。極端に脂質摂取量を増やすことは体脂肪の増加のリスクになる可能性がありますが、適切なバランス(%エネルギーで20~30%)で摂取することはジュニアアスリートにとって必要です。
サラダ油やオリーブ油、ごま油など調理に使う油は、ほぼ100%が脂質です。それ以外にも、マヨネーズやドレッシング(ノンオイルを除く)などにも油が含まれています。また、肉や乳製品、魚にも脂が含まれていますが、食材中の脂質の量はわかりづらいため、知らず知らずのうちに脂質をとっていることも考えられます。
特に肉類の場合は、バラ肉や霜降りと呼ばれる肉類に脂質が多く、乳製品は、バターや生クリームは脂質を多く含みますので、極端な使用は注意が必要です。
一方で、サバやブリ、マグロのトロなど、比較的脂質の多い魚もありますが、魚の脂は食事からとる必要のある必須脂肪酸が多く含まれているため、日々の食卓に活用していただきたいと思います。
一例として、1日3500kcalが必要なジュニアアスリートの場合は、脂質の目標量が78~117g(%エネルギーで20~30%)です。下表に、一般的な定食での栄養成分を示しましたが、とんかつ定食のような脂質の多いメニューが続くと、常に脂質の摂取量が多くなってしまうため、練習量やその日の体調に合わせて、また、1週間程度で平均的にバランスがとれるように、食事内容を検討してみてください。
(文責者作表)
脂質の働きには、エネルギー源以外にも様々あり、食事からとるべき必須脂肪酸もあります。適切な量を毎日確実にとることは難しいと感じる方もいるかもしれませんが、1週間単位で食事メニューを検討することや、食材と調理法を変化させることで脂質の摂取量も調整できるため、様々な食材と調理法を活用するとよいでしょう。
〈参考文献〉
・厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』 2020年
・文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』2020年
(文責)
三好友香