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プロプレイヤーインタビュー JUPITER ta1yo選手

2019/10/10

プロゲーミングチーム「JUPITER」に所属し、人気FPSゲーム「オーバーウォッチ」部門で活躍するプロゲーマーta1yo選手。

各国の代表選手同士が優勝を目指して戦う世界大会「オーバーウォッチワールドカップ」の日本代表として2017年、2018年そして2019年と3年連続で選出された実績を持つ、トッププレイヤーta1yo選手にプロ意識の部分やトレーニング、メンタルに関する話題までお話を伺いました、

――毎日夜遅くまで練習されているかと思うのですが、普段どのようなスケジュールで動かれているのでしょうか。

ta1yo選手:朝起きるのは7時か8時頃ですね。12時から13時くらいまでは自主練をしていたりします。その後、夕食の時間くらいまでは自分の時間があって、18時くらいからチーム練習が始まります。早ければ22時頃、遅ければ24時頃まで行います。その後、深夜2時には寝るようにしていますね。

ただこのスケジュールは大学の休み期間のものなので、大学が始まるとライフスタイルは変わると思います。大体午前中は講義を受けて、夕方からの練習に参加するといった形になると思います。

――朝の時間はどのように過ごされていますか?

ta1yo選手:比較的にリラックスして過ごしています。テレビを見たり本を読んだりしていますね。大会の配信等を確認するのもこの時間帯です。アメリカの大会は朝の時間帯に中継されていることが多く、最近も決勝トーナメントの結果を確認するために8時に起きていたことがあります。

――今までゲームをプレイしている中で、体が痛くなったことはありますか。

ta1yo選手:背中、腰ですかね。あと猫背なので首が凝ることもあります。感度が低いマウスを使っているので腕回りに疲労がたまることもあります。プレイ中はアドレナリンが出ているので痛みを感じないのですが、終わってから一気にきますね。

――フィジカル面でのトレーニングはされていましたか?

ta1yo選手:サッカーをしていた中学時代はトレーニングしてましたね。ただ高校に入ってゲームをやり始めてからはトレーニングをしておらず、筋肉が少し落ちてきたのが悲しいです。

――トレーニングに対する意識はいかがでしょうか。

ta1yo選手:運動する事で自信につながることが少なからずあると思います。実際にパーソナルトレーナーを入れている海外チームは順位が上がったという結果も出ているので、大事だと思います。

――食生活に関してはどのような状況でしょうか?

ta1yo選手:基本的には母が作ってくれた料理を食べています。とても理解のある母で日本代表の試合に観戦に来てくれました。STORY [ストーリィ]という婦人雑誌に特集記事として2人で載ったこともあります。

――お母さんの助けがあってこその今なんですね。

ta1yo選手:昔は不健康だったのですが、母のおかげです。ゲームをする上でも健康な方が得だと思っています。不健康だと集中力が落ちてきますし、イライラすることもあるので、チームの迷惑にもなってしまうと思っています。

――プロゲーマーになったのはどのようなキッカケでしょうか?

ta1yo選手:それが無いんですよね。高校時代に友達とオーバーウォッチをプレイしていたら順位が上がっていったので、ゲーム上手いんだな~ぐらいの感覚でした。その後、スカウトされて今のチームに入りました。プロを目標にするのは良いことだとは思うのですが、プロになって何をするかの方が大事だと思いますね。

――ご自身のロール(役割)の特性上、必要だと考える能力は何でしょうか?

ta1yo選手:自信が本当に大切です。僕がやっているロールは個人技のぶつかり合いで、自分のスキルが相手より劣っていると思ったら駄目なんです。自分の方が上だと確信を持つことが重要です。相手のことを上手いと認めることも大切だと思うのですが、試合中に弱気ではまず勝てません。技術面でそこまで差は無いと思うので、強気に動くことで圧をかけるのが重要ですね。

――個人技が重要とのことですが、自信をつける上で特別な練習は何かされていますか。

ta1yo選手:筋肉に動きを記憶させることに時間を注ぎ込みます。マウスの動きは筋肉が自動で動くことが大事なので、チーム練習前の個人練習で徹底的に訓練します。
あとは負けた試合のことを大切に考えることです。勝ったときは自分のミスと向き合うことが難しいので、負けた試合の時にしっかりミスを精査することが大事です。

――遠征の時は長時間の集中が必要だと思うのですが、オンオフの切り替えはどのようにされていますか?

ta1yo選手:2つの大会が同じ日程で重なったときがあり、6時間くらいぶっ通しでした。チームメンバーとはゲーム以外のことを話して切り替えていましたね。

――海外の大会は環境がかなり違うと思いますが如何でしょうか。

ta1yo選手:2年前に出た初めての世界大会は未だに覚えていますね。決勝大会への最後の枠を取り合う大会だったのですが、オーストラリアのファンは熱心な方が多く、ヘリコプター用の防音のヘッドフォン越しにも応援が聞こえてきました。

特に足音が凄くて会場が揺れているのが分かる程でした。初めて3000人近くの前で試合をしたので緊張しましたし、アウェイって辛いなってつくづく思いましたね。

――特別に行うルーティンなどはありますか?

ta1yo選手:僕の憧れの選手が試合中に手を擦るので、僕も真似してました。ただあまり意味はなかったです(笑)。ゲーム中と普段では眼鏡を変えて気持ちを切り替えたりもしていますね。

――チームメイトとの連携が必要になると思いますが、チームワークを育む上で意識されていることはありますか?

ta1yo選手:まだ実施していないのですが、ゲーム外でもしっかりとコミュニケーションを取ることですかね。日本のチームで在りがちなのが、負け始めるとお通夜状態になって誰も喋らなくなってしまう状況です。海外のチームだとリーダーが率先してチームを盛り上げるんですよ。ムード面の配慮に関しては日本のチームにないポイントなので、自分のチームで導入したいと考えています。

――最後にTa1yo選手の今後こうなりたいという目標を教えて下さい。

ta1yo選手:まずは溢れ出る程の自信をつけたいです。あとはチームのムードメーカーになりたいので、自ずと余裕が必要になると考えています。以前は、「ここで自分が頑張らないと!」って思う場面もありましたが、それは味方を信用できなくなることにも繋がります。しっかりと味方同士を繋ぐことができる選手になりたいですね。