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ココアの口腔内衛生への応用

歯周病関連菌に対するココアの抗菌効果

歯周病(※)は、う蝕(虫歯)と並んで歯科の二大疾患の一つであり、成人が歯を喪失する大きな原因となっています。 歯周病は、生活習慣病と考えられていて、現在成人の80%以上が歯周病にかかっているといわれています。
また、厚生労働省による「健康日本21」運動の中でも「歯の健康」は重要視されています。 そして、歯の健康を維持するための対策として、セルフケアの重要性が強調されています。

ココアは長い飲用経験があり安全で美味しい飲料として親しまれています。今回の研究の目的は、歯周病関連菌に対するココアの抗菌効果を検討し、嗜好飲食品として以外にもお口の健康に貢献する飲食品としての可能性を検討することです。

※歯周病とは、
歯と歯肉の間に歯周病の原因となる歯周病関連菌が感染することにより、歯を支持している組織が破壊される病気です。

試験管内での抗菌試験

歯周病関連菌に対するココアの抗菌効果

まず歯周病関連菌に対するココアの抗菌効果について説明します。このグラフは、歯周病に関連する主要な菌、即ち、ジンジバリス菌(P. gingivalis) ,フゾバクテリウム菌(F. nucleatum),インターメディア菌(P. intermedia)に対する抗菌効果を示しています。
横軸が培養時間を、縦軸が生菌数を表します。
3種類の菌ともに、ココアの添加量が多いほど抗菌効果が強く見られることが分かりました。
飲用濃度に近い3% ココアを添加した場合では、 ジンジバリス菌では培養1時間後、 フゾバクテリウム菌では培養3時間後生菌数は検出限界以下になりました。 またインターメディア菌においても、ジンジバリス菌、フゾバクテリウム菌ほどではありませんが、抗菌効果が見られることが分かりました。

以上の結果から、ココアは今回試験した3種の歯周病関連菌に対し、 非常に優れた抗菌効果があることがわかりました。

今回は詳しく記述しませんが、この抗菌効果を有する主な成分を検討した結果、ココアに含まれるポリフェノールであることが明らかとなりました。

歯周病関連菌に対するココアの抗菌効果

飲用時の一般的なポリフェノール濃度

次に、ポリフェノールを含む他の嗜好飲料とココアの抗菌効果を比較しました。
今回試験に使用したのは、ココア、紅茶、烏龍茶です。
通常飲用に使用する量をそれぞれ熱湯で抽出してから、各抽出液のポリフェノール濃度を測定すると、ココアは紅茶、烏龍茶に比較し約4倍のポリフェノールが含まれていました。
そこで、各抽出液のポリフェノール濃度を揃えて抗菌試験を行いました。

ポリフェノール濃度0.15mg/mlにおける
ジンジバリス菌に対する抗菌効果比較

ジンジバリス菌に対する抗菌試験の結果を示したグラフです。

それぞれの飲料をポリフェノール濃度をそろえて添加したときの生菌数の減少はココアに次いで紅茶が顕著であり、ココア及び紅茶が強い抗菌効果を有していることがわかりました。

しかし通常飲用するときのカップ一杯あたりのポリフェノール量は、ココアは紅茶に比較して約4倍多く含まれていますので、これらを総合すると通常の飲用状態ではココアが最も抗菌効果が高いことが分かります。

臨床試験

臨床試験スケジュール

試験管内で歯周病関連菌に対する強い抗菌効果が見られたので、次に歯周病関連菌が感染している人を対象に、ココアを飲むことによってその菌数に対する影響の有無、また、口臭の低減効果の有無を検討しました。

この図は試験のスケジュールを示しています。

試験に用いたココア

ポリフェノール濃度0.15mg/mlにおけるジンジバリス菌に対する抗菌効果比較

試験に用いたココアは、試験結果に及ぼす他の成分の影響を無くすため、 出来る限り単純な組成としました。
この飲料は森永純ココアを8g含有し、飲み易さを考慮して歯に影響を与えない甘味料を添加しました

唾液の分析

歯周病関連菌の菌数及び口腔内常在菌の総細菌数は、各被験者の唾液サンプルを社外臨床検査会社において定量PCR法と呼ばれる方法で測定しました。

口腔内総細菌数の変化(18名の平均値)

口腔内の全ての菌数測定の結果です。
ボランティア18名の平均値を示します。

横軸に採取した回、縦軸に唾液中の総細菌数を表しました。

この結果、ココアを飲んでも口腔内全ての菌数には統計的に有意な変化は見られませんでした。
このことは、ココアは口腔内の常在菌には影響を与えないことを示しています。

歯周病関連菌比率の変化

口腔内総細菌数に対する各歯周病関連菌、ジンジバリス菌 , フゾバクテリウム菌, インターメディア菌の割合はココアの飲用によって全て減少する傾向が認められました。
つまり、口腔内の常在菌に対しては大きな影響を与えることなく、歯周病関連菌に対して菌数低減効果のあることが明らかになりました。

呼気のサンプリング

今回の臨床試験に参加していただいた被験者の内、口臭がある程度強い方(測定装置で測定可能な方)を8名選びココアの口臭低減効果を検討しました。

呼気の分析

口臭の主な原因は、口腔内の細菌が産生する揮発性硫黄化合物と言われています。
今回測定した呼気中の成分は、口臭の原因となる呼気中の硫化水素、メチルメルカプタンおよびジメチルサルファイド濃度を測定しました。

呼気成分の変化

ココアの飲用前に比較し、2週間飲用後は呼気に含まれる3種類の揮発性硫黄化合物の量が減少し口臭低減効果が認められました。
しかも、ココア飲用を中止するとその後口臭の強さが元に戻ることが明らかになりました。

臨床試験まとめ

2週間のココア飲用によって、口腔内の歯周病関連菌の数および、呼気中の口臭成分が共に減少したことから、ココアの歯周病予防効果の有効性を臨床試験でも実証することが出来ました。

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